狩野さんと会話する part5

狩野さんの排泄介助にはヘルパー5人で交互に訪問している。
その中でも私が一番多く訪問している。
他のヘルパーさんは家庭があり、予定があって時間が決められているが
私には家族はないので、基本いつでも動くことができる。

家族の兄弟さんともすっかり仲良しになり、長男さんは特によく話しかけてくれる。
きっと、今まで狩野さんとずっと話していたんだろうな。
狩野さんが話が出来なくなって寂しいんだろうなと感じている。
そして狩野さんの排泄介助を行う。
いつも通りに声をかけながら介助し、少し座ってもらってお茶を飲んでいただく。閉眼しているが、この流れで定着してきつつあった。
すると、狩野さんゆっくり目を開けた。
「あ!!狩野さん!目が開いた」と言うと兄弟さんも
「本当だ!お母さんわかる?」と声をかけた。
すると狩野さん、うなずいたのだ。
わー!!すごいすごい!
みんなで拍手した。
「狩野さん、わたしふくって言います。春野学園でも何度かお話ししてたんですよ」と、再び自己紹介すると、
「ありがとう」と言ったのだ。
もう言葉にできないくらい嬉しくて嬉しくて仕方がない。
狩野さんの声を久しぶりに聞けた。
狩野さんと会話ができた。
狩野さん確実に少しずつ、元気になってきているのが嬉しかった。

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