短歌連作「Tsu-ki」

「Tsu-ki」


たきしめし君の衣のたちばなの香を五月の恋とこそ知れ
 
 
なよ竹のあなたが月を見て「つき」というくちびるのかたちいとおし
 
 
決して咲くことのない花を手渡して 百年待てますか と問う
 
 
おだやかに語尾がほどけていくように 佳宵 あなたと星をかぞえた
 
 
遠い約束だったかもしれないね、ってすべてを知ったかのような風
 
 
思い出すことは綺麗なものばかりThe Moon I saw with you that day.



初出:つくば現代短歌会『つくば集 第二号』2022年
   一部を再構成し、五首連作としたものです。


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