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私は普段お風呂に入る時、目を瞑っている。

いつも本を見たり、PCを見たりと目を酷使しているので、少しでも休めようと思ってのことだ。

というのは建前で、実際は私流の現実から逃避行動である。


普段視界を通して見る景色は実に雑多な色に満ち溢れている。意識して見ると本当に様々だ。よくこんな場所で生きて行けるなと感心するほどに。しかもこの世界には見え無い色も存在し、私はその色の対応に常に四苦八苦している。

しかし目を瞑るとそんな色の氾濫する混沌の世界も、一瞬で統一感のある単色の世界に様変わり。


風呂場で目を瞑っていると、瞼から風呂場の光が透けてぼんやりと視界は赤くなる。グッと目に力を入れると若干だが黒に近づく。

電気を消せばほぼ完全な黒だ。

風呂に入りながらそんな単色の世界に浸っていると、目を開けて湯から出たくなくなってくる。

なんでわざわざあんな色に溢れたごちゃごちゃした世界に戻らなければなら無いのかと。

この世界こそ楽園だ。余計な色は無いし見る必要も無い。


しかし段々湯は冷めてくる。明日も仕事で寝なくては。そんな思いが一色だけの平和な世界を侵食し始め、不本意ながら私は目を開けて風呂を出る。

そうしてまた、雑多な色に満ちた下界に降りてあっちこっちに奔走するのだ。


辛いなあ、と思う反面そのお陰で文字が読め、映画を見ることが出来るのだから感謝しなければなら無いとも思う。

でもそれも結局は現実からの逃避が目的な気がするしなあと思う。

そんなことを友人に電話したら「中学生が書くポエムみたいなこと言ってないでとっとと寝ろ!」と怒鳴られましたので、今日は寝る事にします。

おやすみなさい。







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