一周年

キリンさんのキャンペーンだからというわけではないが(笑)、桜木町にあるキリンシティでの思い出を書こうと思う。

10月26日、私たちの結婚記念日の前日に、キリンシティを予約した。

私の強い希望で事実婚をした私たちは、大好きな人たちにだけ結婚を告げてお祝いしていただき、入籍などの手続きでも式でもなく結婚指輪を作った日を結婚記念日にするなど、マイペースに日々を重ねてきた。障害もあってお互いできることは限られているが、家事は性別ではなく得意で分担するなど、形式にとらわれずにしあわせに暮らしている。

2人で暮らすために、物心ついた時から住んでいた横浜を離れたパートナー。コロナ禍でまともに帰省もできていなかったので、かつてよく訪れていた桜木町に、有給を取って滞在したのだ。夕飯はどうする?と話したとき、2人では行ったことないがお互いがキリンシティにまた行きたいと思っていることがわかり、すんなりと予約した。

混雑を避けて16:00に来店した私たちは、貸し切り状態を堪能した。視線を感じるでもなく、それでいて呼べばすぐ来てくれる店員さんに囲まれて、私たちはとても穏やかでしあわせな時間を過ごすことができた。普段は、お酒に弱いパートナーはあまり飲まないのだが、ここではノンアルコールドリンクもあるので、大人の時間を楽しむことができた。

10月初旬に、私は妊活を終了した。妊活の終了がわかった直後に、子どもを産んだばかりの中学時代の友達とオンライン通話という過酷な時間を過ごし、心身ともに疲弊してしまった。しかし、ここで今日お酒をこんなに楽しく飲めたのは、妊活をやめたからかな―そう気づくと、「最近は悪いことばかりではなかった」と思えたのだ。この翌日に、パートナーの姪っ子が産まれるから会いに行くことになるのだが、今度は疲弊どころか心からお祝いすることができた。

この日を境に、私は朝早く起きれるようになった。この夕食を共にして、パートナーが一段と愛おしくなった。このひとときがあったから、仕事でつらいこともまた乗り越えられる気がした。

食事をする、とても当たり前で有難いこと。それを、特別な日に特別にすることは、決して容易ではない。食事の内容、食器、雰囲気、作る人や運んでくれる人とのやり取り(直接的でも間接的でも)、盛り付け・・そして何より、誰と食べるか/一人で食べるか。そのすべてが特別だったこの日の食事で、私はしっかりと回復した。今は、ちょっと落ち込んでも「またキリンシティに行けば回復するから大丈夫。行ける日までがんばろう。」と思いながら、日々過ごせている。

#ここで飲むしあわせ