『遊星からの物体X』 午後ローを予習する。

 もう八月になり、外では蝉がうるさく鳴いているわけですが、それも来月になったらめっきりと静かになり、寂しくなるのだろうと思います。
 そんな先のことを思い描いては、ついめそめそとしてしまうのです。
 あんなに騒がしかったはずの、蝉の声が、どこか懐かしい響きに変わるころ、やがて来る、厳しい冬を感じて、私も日の光をいっぱいに浴びなければと思うのでせう。
 てなわけで本日の午後ローは八日目の蝉ことジョン・カーペンターの『遊星からの物体X』だぜ。一九八二年の作品だぜ。
 いや、もう説明の必要がないほどの、八十年代を代表するSFホラーの大傑作なのでもう説明の必要がないと思われるのだが、説明が必要な方のために説明をしようかね。必要ないと思うけどね。
 あ、でもその前にさあ『まんが道』の話をしてもいい? あの藤子不二雄A大先生の半自伝的マンガ作品の話なんだけどさあ、すっげえ面白いよね。なにを隠そうって隠すほどのことでもないんだけどさあ、俺も昔は漫画家に憧れを抱いていたわけよ、どうやったら漫画家になれるかなあなんて考えたりしてね。そんな時期に出会ったのが『まんが道』なわけ。もう人生のバイブルになるぐらいに熱中してさ、トキワ荘に俺も住みてえって思ったりしたわけ。そんで石ノ森章太郎の『マンガ家入門』とかを読んでさ、カラス口とか丸ペンとか製図用インクとかの道具を揃えれば自分も漫画家になれるんじゃないかなんて思って文房具屋を探したけれど見つからなくてしょんぼりしたりしてたわけよ。今はいいよなあ。デジタルで描けるんだもんなあ。すげえよなあ。ああ、話が脱線したので戻すけどさあ、その『まんが道』で主人公がある映画から着想を得て『白魔きたる』ってSFホラーを描く話があるのね。その作品ってのが『遊星よりの物体X』ってタイトルの一九五一年の映画とその原作小説『影が行く』なわけ。そうなの、この『遊星からの物体X』はその再映像化作品になってるってわけよ。そういう思い出があって、俺はこの映画を観ると、あの頃を思い出して、そして『白魔きたる』のエピソードが脳内再生されるの。自動的に。そんで肝油をなめて「アンマーイ!」とか言いたくなるのよ。馬鹿か。
 うん、じゃ、そんな感じで。
 
 補足。本作品の前日譚として二〇一一年には『遊星からの物体X ファーストコンタクト』という作品が作られている。主演はメアリー・エリザベス・ウィンステット。彼女いつ見ても大変な目に遭ってるなあって思った。

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