『ホワイトハウスの陰謀』午後ローの陰謀。

 本日の午後ローは『ホワイトハウスの陰謀』。一九九七年の作品。未見。
 メインキャストがウェズリー・スナイプスとダイアン・レイン。内容は、ホワイトハウス内で起きた殺人事件を捜査する刑事がその裏にひそむ政治的陰謀に巻き込まれるというもの。いわゆるポリティカルサスペンスってジャンルですね。苦手である。
 ホワイトハウス関係者のセックススキャンダルが題材、九七年公開という共通点で、クリント・イーストウッド、ジーン・ハックマンの『目撃』やロバート・デ・ニーロ、ダスティン・ホフマンの『ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ』が連想される。前者は大統領の不倫と、その相手が殺害される現場を目撃してしまった泥棒が事件に巻き込まれるサスペンス、後者は選挙戦中の現職大統領が起こしたセックススキャンダルから国民の目をそらすために、他国に架空の戦争を仕掛けるというコメディ。ジャンルは違えどこういったホワイトハウスの醜聞に関わる映画が、この年には固まっていたようだ。探せば他にもあるのかも知れないが、詳しく調べたわけではないのでわからない。いずれにしても、この翌年に起こる一大スキャンダルに対する予兆らしきものが、すでに世間には浸透していたのだろうか、そして映画業界がそれを感じ取ってそういった主題の映画をいっせいに製作し始めたのか。過去を概観すればそういった見方もできるだろうが、当時の自分にはそんなことが起きるとは想像もつかなかったはずだ。
 その事件とは、一九九八年、当時のアメリカ大統領ビル・クリントンが起こした不倫疑惑。モニカ・ルインスキーとのセックススキャンダルである。
 そしてクリントンがスキャンダルについて証言した三日後、アフガニスタンのアルカイダ基地、工場などに向けてミサイルが発射された。
 映画公開の翌年に、それを想起させるような事件が起こる。奇妙な一致、符合、共時性というものがあるものだと思う。もっとも不倫関係は九五年から続いていたというから、内部の関係者や記者らの間では噂のレベルでは広まっていたのかもしれない。すでにそういった真偽不明の情報として人口に膾炙していたのかもしれない。僕が知らなかっただけで。そして世界情勢やアメリカの過去の対応を考慮すれば、そういった脚本になるのはさほど不思議なことではなかったのかも。そんなことを想像して楽しんでいる。

 ちなみにハリソン・フォードの名作『エアフォース・ワン』も九七年公開。
 この年もアメリカ大統領は散々な目に遭っていたようである。

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