「私」という、ワンダーランドへ

 3年前にジョギングを始めました。東日本大震災の後、思うところがあって、自宅の小さな菜園を耕し始めたのですが、腰は入らないわ、立ちくらみはするわ、あまりの体力のなさにショックを受けたからです。
 子育てとフルタイムの仕事の合間に、週2回約1時間をなんとか確保、まずウォーキングから始めました。目標は1年後のかすみがうらマラソン大会。少しずつ体を慣らして、10マイル完走にこぎつけました。
 数あるスポーツの中で、なぜジョギングなのか。理由は単純です。強度の近視で緑内障の私が、この先症状が進んでしまっても、走ることなら継続できそうだったからです。そんな消極的な動機でしたが、実際に体を動かしてみると、思わぬ発見の連続でした。汗っかきで暑さにバテやすいとか、太ももが痛みやすいといった、自分の弱みを把握できたり、走っている最中の心や思考の働きで、抱えている課題やストレスが解消されたりしました。走る?走らない?と、自分の体に問いかけながら、月経初日にハーフマラソンを完走できたことも、嬉しい体験の一つです。

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(写真キャプション)「坂東市いわい将門ハーフマラソン大会」のゴールで。40歳で初挑戦のハーフマラソンを完走しました。今年も3回目のエントリーです。

 ヒトの体は、半年ほどで、その構成物質がすっかり入れ替わるそうです。時と共に移ろいながら、「私」を保つ生命の不思議。60兆個もの細胞で成り立っている、私という小宇宙に何を発見するか。生まれて、産んで、老いて、死んでいく。この体に立ち現れるもの、失われるものをいとおしみ、その面白さを伝えるために、生命と身体へのセンス・オブ・ワンダーを磨き続けたいと思っています。

(常陽2014年10月29日付掲載・13回連載中13回目)

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