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捨てるための日記_31『書写という趣味』の連載を終えて

人格OverDriveさんで連載させてもらっていた『書写という趣味』がひとまず完結した。読んでくださった皆様がたには本当に感謝します。

編集の杜さんから「にわさんの書写エッセイが読みたいので書いてみませんか」と言われたときは、請われて文章を書いたことがなかったので、とても驚いた。とても驚いたけど、引き受けてよかったと今は思う。
ただ書写を楽しんでやってTwitterにアップしていただけだったから、何をどう書こうか少し悩んだけれど、「にわさんの目から見た書写の世界を知りたい」というテーマを杜さんから与えられたので、割りと自由に書かせていただいた。
しかし飽きっぽい性分なので、書写もエッセイも続けられるかしら? とも内心思っており、結果的にラストまで書ききれて今、こころの底から安堵している。

杜さんのおかげで、漫然と書写をやるより、書写について自分がどういうことを考えているのか、書写をつうじて自分が何をみたか自覚しながら過ごせたこの何ヶ月かは大変意義のあるものだった。
硬筆書写というのは、書道と違いあまりにも日常生活に近すぎるためか、ノウハウや指導についての文章はあるものの、「一般的な字を書く楽しみ」をまとめて綴った文章があまり見られない。書道やカリグラフィーの魅力を伝える本はあるけれど、実用以外の側面から硬筆書写という行為の楽しみについて語られているものが多くないのだ。私が『書写という趣味』を自由に書けたのはこの点が大きいと思う。
そして、序と結末がぼんやりと決まり、あとは間を埋めていけばいいかとこれまたなんとなく構成が決まって、月1~2回のペースで1000~2000字の文章を綴ることができた。

また、タイトルが書写のわりに、書写そのものについて書いてある部分が少なく、むしろ人に焦点を当てた文章になっていたので、毎回「これでいいんか…?」と思ったりもしていた。そして多くの物書きさんらが言うように、私もご多聞に漏れず、書いている最中は「これ、面白いか…?」という疑問を抱いていた。これに関しては、投稿したあとの杜さんの感想が肯定的でいつも励みになっていました。この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。

そして、定期的に書写のお題を提供してくださっているお題アカウントのみなさま、いつもありがとうございます。書写活動はお題アカウント運営のみなさんに献身に支えられていると思っています。
それと、xアカウントでフォロー関係にある書写アカウントのみなさまにもお礼を申し上げます。エッセイを読んでくださった方々ありがとう。

最終回のまとめにも書いたけれど、書写という活動はあまりにも個人的な営みである。SNSでの横のつながりはあれど、この趣味そのものを個人的な体験として、または俯瞰で語るには、裾野としての広がりが足りないのかもしれない。そういう意味で、『書写という趣味』という小さなひとつのエッセイが活動を広げる手助けになれればいいと思っている。

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