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捨てるための日記_30「映画『春画先生』覚え書き」
予告をみたときから、春画をモチーフに出してくる映画なんて珍しいと思っていた。出演する俳優も豪華だし、どんなふうに展開する話なんだろう、と。
鑑賞し終わってみると、コメディ寄りのファンタジーという印象。物語としては普通だったと思う。
役をみるならば、柄本佑さん演じる辻村はすごく良かった。あのプレイボーイぶりは最高だ。たぶん彼は少なくとも1回は先生と試してるでしょ。先生を色んな方向からつついて研究のやる気を出させるために。それでもダメだったから、先生の女断ちを認めていたし、周りの女の子も先生の了承を得て彼女たちと寝ていた。
エンディングを見たときは、どことなく『痴人の愛』に似ていると思った。共通点なんてカフェで出会う二人ということと、男が女を自分好みに仕立てるということ以外にないはずだけど。
春画を通じたヒロインの恋物語のような気もするし、春画研究者でマゾヒストの気がある男性の純愛というふうに見えなくもないが、春画の大らかな性愛とは方向がまるで違うので、ストーリーとしてはファンタジーという感じがした。大真面目にエロをやると笑えるという点ではコメディだけど、少なくともこの映画のサディスティックさは、春画の笑い絵とは違うし。
私自身が春画の特徴だと考えているすべての性愛の楽しみを肯定するような話とはちょっと思えなかったし、もしかしたらただの春画の解釈違いなのかもしれない。
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