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5. チーズケーキ (Cheesecake)

日本でもチーズケーキは人気だと思うのだが、アメリカでもチーズケーキの人気は衰えることがない。数年前からアメリカでもフラッフィー、ジグリー、チーズケーキと言って、フワフワの揺らすと踊る日本のスフレチーズケーキに注目が集まっている。私は和を取り入れたベークドグッズを売りにしていたので、やはり、スフレチーズケーキは外せず、ファーマーズマーケットでも売っていたのだが、非常に人気があった。フワフワで、軽い。いくらでも食べられる〜!と言うのが大半のお客さんの感想で、その場でカプっとひとつ食べ、まだまだ食べれそうだと、いくつか追加で買って帰ってくれるお客さんが多くいた。特に人気だったのが、パンプキンチーズケーキ。アメリカ人のパンプキン愛は半端ない。季節ものとして、秋に販売していたのだが、夏にもリクエストがくるほどであった。しかし、私の常連のお客さんたちは、すでに和のテイストに興味のある人だったり、軽めの甘さ控えめのお菓子が好きな人が多かった。その中で、何人かの真のチーズケーキファンに日本のスフレチーズケーキの感想を聞いたところ、チーズ加減が物足りないということだった。非常に納得の感想である。

一般に、アメリカで言うチーズケーキとは、濃厚なニューヨークチーズケーキである。レシピを比べてもらうと分かるように、クリームチーズの量が圧倒的に多いのが、ニューヨークチーズケーキ。主な材料は大半がクリームチーズ、そして砂糖、卵、サワークリームを入れたり、小麦粉を入れたり入れなかったり。グラハムクラッカーを砕いて作るクラストも人気の一つである。ダイナーなどで見かけるいかにもなチーズケーキには、濃厚なチーズケーキの上に、これでもかと甘いイチゴソースやチェリーコンポートがかかっていたりする。私は正直、濃厚すぎて、味見はしたいのだが、一口で満足してしまう感じなので、レストランで注文することはあまりない。しかし、デザートバーの注文で作る一口サイズのチーズケーキは好きだった。

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また、日本では一般的なレアチーズケーキだが、こちらではそこまで目にすることはない。レシピなどを調べると、ノンベークチーズケーキと言われることが多いのだが、そこまで浸透はしていないようだ。これもレストランなどで作ったことがあるのだが、チーズケーキは苦手だが、これは美味しい!と言ってくれる人や、やはりニューヨークチーズケーキ好きには、若干物足りないなと言う人も。。。スフレチーズケーキだけでなく、レアチーズケーキでも物足りないのかと、やはりニューヨークチーズケーキの圧勝だなと痛感した。

そんなに愛されているニューヨークチーズケーキ。この国に住む人のチーズへの愛の現れだろうと思う。フレンチフライ、ホットドッグに、トルティーヤチップスにも、さらにはプレッツェルにもチーズソースは付き物だ。ベーグルにクリームチーズもたっぷり塗られるし、塗りやすいように加工されたフレーバー入りのクリームチーズもいくつ種類があるか分からないほどだ。それに比べ、日本の家庭にどのくらいの冷蔵庫にクリームチーズが常備されているだろうか。これだけ情報が行き交う世の中で、文化の交流も食文化の多様化も進む世の中だが、味の好みというものは、そうそう変わるものではないなと感じる毎日である。自分の好みと、お客さんの好み、どのあたりがスイートスポットなのか、メニューを考える時には重要である。その狙いが当たった時が、お菓子を作っていてよかったなと思う一番の瞬間かもしれない。

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