【HUGノート】「削ること」に全力集中
こんにちは。HUG for ALL代表のあややです。大雪になったり、暖かくなったり、寒くなったり。天候の変化や花粉の飛散にどぎまぎしながらも、梅の香りに春の訪れを感じる日々です。
施設を訪問したときにも、活動している建物の窓から、梅の花が咲いているのが見えました。今日は2月の「あそびクエスト」での子どもたちの様子をご紹介します。
今回のあそびクエストは「スクラッチアート」。色鮮やかな下絵の上に黒を重ねた台紙から、黒い部分を削り取って絵を描いて作品をつくります。
これなにー?なにやるのー?
あそびクエストを準備していると、小3のしんやくん(仮名)と小2のたいきくん(仮名)が、興味津々でやってきます。以前は1人で行動することが多かったたいきくんですが、最近はこんなふうに他の子といっしょに何かやろうとすることが増えてきました。
「今日はスクラッチアートだよ」と伝えても、「???」という表情の2人。いつもいろんなアイテムがあるのに、今日はなんだか黒い紙があるだけだから当然かな。何をするのか予想もつかない…という顔です。
まずは興味を持つことから!と思い、まだあそびクエストの開始前ですが、「一枚ずつ練習でやってみる?」と声をかけると、2人揃って「うん!」とうれしそう。最初は付属の竹串で台紙を引っ掻いて削り始めました。
最初はランダムに線を描いていたのですが、いつの間にか「削る」ということ自体が楽しくなってきたのか、割箸を使って豪快に削り始めました。
「しんやくん、それどうやってやるの?」「たいきくんのはなんで黒いところ残ってないの?」など、2人で削るコツを相談し合いながら、ひたすら黒い部分を削っていきます。
1枚を1人で丁寧に仕上げようとするしんやくんと、人の力も借りて何枚も削り終えたいたいきくん。そんなところにも2人の性格が出ます。
私のところにもたいきくんからの指令が(笑)。最初は「この紙、削って?」と声がかかったのですが、私が少し他のことをしていて削り作業をやめてしまうと、台紙に「やってー」と書いて渡してきます。
自分の思いや願いを言葉で伝えるのが少し苦手だったたいきくんが、こんな風にお願い事ができるようになったんだなーと、このnoteを書きながら少ししみじみ。子どもの成長ってすごいです。
ひたすら削った、そのあとは?
何枚も削って、下絵の色の違いを楽しむたいきくん。「これ、キラキラしてる!」「こっちも、ここがキラキラ」と、発見したことを大人に伝えながら、どんどん台紙を丸裸に(笑)
想定していた遊び方とはちがっても、たいきくんが楽しくて、そこから何かを新たに知ったり、ほかの人に何かを伝えようとしたなら、それだけでもう大成功!たいきくんが細かな作業が得意だということも発見できました。
そのあと、ふと気づくと、たいきくんが台紙にカービィとドラえもんを描いていました!何も見ずに描いているのに特徴を捉えていて、たいきくんの観察眼の鋭さにびっくり!
まだ少しスペースが空いていたので「何か描く?」と聞くと「ベイマックス、かく!」と、ベイマックスを描き始めました。
描いてみたらベイマックスが気に入ったのか、今度は一枚に大きくベイマックスを…!2回目ともなると描きやすいのか、最初よりもすらすらと描き進んでいました。
実は緻密な作業も得意!
一方、一枚の台紙をキレイに丸裸にしたしんやくんは、もう一つ準備していたポストカードサイズの下絵付きのスクラッチアートに挑戦。
これ、私も事前にやってみたのですが…実は10分も持たずにギブアップしちゃったんです。
柄が細かくて難しいし、キレイに削るのは大変だし、うまく削れないと途中で放り出したくなるし…。めちゃくちゃ集中力が必要で、さらに根気や、折り合いをつける力も必要なあそびだなぁと実感していたんです。
それがふとみると…
しんやくん、めちゃくちゃキレイに削ってる!
さっきまでたいきくんとワイワイしてたのに、いつの間にか黙々とスクラッチアートに向き合うしんやくんの姿に、またまたびっくり!ずっと作品に向き合い続けて、1時間半。「帰って続きをやる」ということで、未完の作品を持ち帰りました。
繊細で根気のいる作業に集中して取り組むというしんやくんの新たな一面は、個人的にはなんだか嬉しい発見でした!
リクエストに応えて…
台紙を小さいサイズに切って作品作りをはじめたのは、こだわりのアーティスト、小5のしょうくん(仮名)。
最初は図書室にあったイラスト集を持ってきて、それを元に下絵を描くことからスタート。今考えると「どんな作品をつくろうか?」のイメージがまだ湧いていなかったのかも。
でも、下絵のサイズに合わせて台紙を切ってみたところから、創作意欲が湧いてきたのかオリジナルの作品づくりへ。
いくつか作りきったところで、満足したのか小休止しているしょうくんに「もう作るのやめる?もうちょっと作らない?」と声をかけると「あややは何か作って欲しいのある?」とのまさかのリクエスト要請…!
「んー、じゃあハートでなんか素敵なのつくってー!」とお願いすると、右下の写真のような作品を作ってくれました!ハートの中のハートとお花がなんとも可愛くて素敵。下絵の色もわからない中で、この色味の変化も絶妙です。
どこまで計算したのか、どこからが偶然なのか、想像を超えるしょうくんのハート作品。なんだかお守りにもなりそうです。
その後はたいきくんのベイマックスに刺激を受けてベイマックスの顔を作ったりして、気づけば合計七作品!
ベイマックスを作ったときに「たいきくんのベイマックス見て、このサイズで作ったらおもしろいかなーと思って…」と話していたのが、オリジナリティーを大切にしたい一方で「おもしろそう!」と思ったものは柔軟に取り入れたいという、しょうくんの気持ちの表れのようでとても印象的でした。
それぞれのオリジナル
しばらく下絵ありのスクラッチアートを楽しんだあと、波線を台紙いっぱいに描いて作品にしたのは、お絵描き大好きなひかりちゃん(仮)。
ふだんは「女の子」とか「動物」とか、イラストっぽい絵を描くことが多いのですが、じっくり作品に取り組む姿がとても印象的でした。
そして今回もう1人、得意を発揮していたのが今回初参加の中1の女の子、みあちゃん(仮名)。大好きな音楽とフクロウをモチーフに、迷いのない筆致でこんな素敵な作品を作っていました。
聞けばフクロウが大好きで、YouTubeでもフクロウの動画をじっくり見ているとのこと。「フクロウは威嚇するとき体を大きく見せるんだよ」とか、フクロウについての知識も披露しながら、作品を作り続けていました。
絵を描くのが本当に好きなようで、黙々と台紙に向き合っている姿が、まるで職人さんのようでした!
作品たちの行方
今回子どもたちが作った作品は、HUG for ALLでオリジナルのクリアファイルにする予定です。子どもたちはもちろん、施設職員さん、クエストフレンド、スタッフ、そして支援者の皆様にもお届けしたいなと思っています。
また完成したらお披露目もできればと思います。これからも引き続き、HUG for ALLの活動を応援いただけますと幸いです。
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