「秘密の魔法の薬」制作裏話 #3
ある男子の日記の断片
今日もデートだ。昨日デートしたことは違う子だ。お休みの日はいろんな子とデートで忙しい。そう僕はモテる。昔は自分がモテると思っていなかったが、父さんも母さんもイケメンで美人なのだから美形の自分が生まれるのは当然だ。その容姿を生かして女の子と付き合うのはいけないことだろうか?足の速い子が陸上選手、音楽の才のあるものが演奏家になるように、自分の持っているものを活用しているだけだ。
今日、ある女の子に目が行った。確かに美人だがキラキラした感じではない。どちらかというと冷たい感じのする美人だ。なんでだろう、つい声をかけてしまったのだ。
そうしたら彼女はちらと私を見た。その瞬間電流が走った。なんだこの衝撃は。そのあと話しかけるもスルーして行ってしまった。なんだよと思いながらもなんだか気になってしまった。見かけた場所で何日も探してしまった。
次に会ったときには話してくれる自信があった。なぜなら、「秘密の魔法の薬」を持っているからだ。これを飲むと魅力が増して女の子に嫌な顔をされない。むしろ好感を持ってもらえる。
ついに彼女を見つけて飲んでから彼女に話しかける。しかし今度は一度も目を合わせずに行ってしまう。
なぜだ、今までこの薬が効かなかったことはない。特に魔法使いには効くこの薬。彼女はどう見ても魔法使い。効かないわけがないのだ。その後も何度も何度も薬を使ってアタックするがすべて無視される。他の子には効くのだが、彼女にだけは効かないのだ。
最近の自分は疲れやすくなり元気が無くなっている。たぶんこの魔法の薬の副作用だ。古代文字で書いてあるから細かいところまではわからないが、副作用のことも書いてある。使いすぎると体力が落ちてくるようだ。確かに疲れやすいがまだいける。
何回使っただろう、効き目が弱いのか徐々に強くしてみる。それでも彼女は振り向かない。強い効果のせいなのか頭がぼうっとしてくる。でもまだ大丈夫。
今日もまた薬を使った。でも振り向かない。もうなんだか他のことはどうでもよくなってきた。この世界が破滅しても、彼女が振り向いてくれるならばそれでいい。
この頃少し目が霞んできてなかなか眠れなくもなってきたけれど、今日も薬を使って彼女に声をかけてみよう。もう最後のひと瓶になった。効き目が最強のこのひと瓶を使ったら振り向いてもらえるだろう。きっと今度は大丈夫だ。きっと…
だんだんと薬に侵されて意識も正常ではなくなった男の子の話です。この後の話はまたいづれ。(^^;)
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