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「月は満ち欠ける」制作裏話 #4

平安時代、男女が逢瀬を重ねるのは夜だった。それもあってか月は人の内面を表したり、恋愛の和歌のモチーフにもなったりした。今回はそれを使わせてもらおう。
月の呼び名にはいろいろなものがある。ちょっと月の名前を復習してみよう。

  • 新月 ほぼ太陽と同じ方向に出て影になっているので空に溶けて見えない。

  • 三日月 三日目の月。1日目2日目に比べて光っているところが多くなってくるので朝の9時ぐらいに出てくるけれど、明るすぎて見えない。夕方お日様が暗くなってくると空に浮かんでいるのが見える。太陽の後を追って午後8時ぐらいにはもう沈んでいる。建物もあるから夕方空が完全に暗くなる前に浮かんでいる感じと言ったらいいだろうか。これから月が満ちていくので曲の冒頭の二人が愛し合っている感じの時に使わせてもらった。(^^)

  • 七日月 上弦の月のこと。光っているところが多くなってきたので、お昼ごろ地平線から出ることもあるが午後3時ごろ空に浮かんでいるのが見える。夕方午後6時ごろ、おひさま沈んだら真南の高いところにいるのではっきり見える。日の出の時間はほんの少しずつしか変わらないので気づきにくいのですが、お月様は1日違うと50分ぐらい遅くなるので体感としても出てくるの遅いなと感じます。

  • 十五夜 満月、望月のことを言います。厳密には十五夜と満月がずれることもあるのですが、基本満月や満月の夜のことを表します。

  • 十六夜 十五夜の次の日ですね。「躊躇する」とか「ためらう」とかの動詞、「いざよう」からきていると言われています。なかなか出てこない月の感じを言っているのでしょう。高校の時の古典の先生が、さあ今から酔いましょう。「いざ酔わん」と言って遅れた月が出る前から飲み始めたんだと言っていたので、それを採用しました。諸説ある中の少数派です。

  • 十七夜 立ち待ち、月が立って待っている頃出てくるので「たちまち」といいます。

  • 十八夜 居待ち、立つのが疲れて、月が座って待ってないと出てこないので「いまち」。

  • 十九夜 寝待ち、月が座っているだけでなく、寝っころがってないと出てこないので「ねまち」。

  • 二十夜 更け待ち、さらに夜が更けてこないと出てこないので「ふけまち」。もうこの頃になると午後10時過ぎに出てきて、ちょうどよく見えるようになるには1〜2時間後、もう日付が変わる前ぐらいに見るのでしょうか。

  • 二十三夜 下弦の月のころです。二十三夜講をやっている地方もまだあるのかな。ちょうど0時ぐらいに出て正午に沈みます。

  • 二十六夜 これは三日月のちょうど逆の形をしています。出てくるのは午前2時とか3時ぐらいです。それで上がってくるのは朝の4時5時ぐらいですから、明け方になっても残っているので有明の月と言われています。

でもこれってとってもマニアックですね。わかりにくいかなぁ。(^^;)

月の名前

いろいろと月の名前は地方のよって違うので、人によって違うこともありますね。
今回は十六夜、十七夜、十八夜、二十六夜を歌詞に使いました。

十六夜は彼が少し彼女から気持ちが離れてきている「いざよう」、ちょっと気持ちが離れているというのを表すのに使いました。出てくる時間も遅くなり、月の形も少しかけているあたりも含めて、彼の気持ちを表すのに使いました。残念ながらその気持ちに彼女は気づきませんでした。満月だと思っていましたから。

それで、十七夜、十八夜と徐々に気持ちが離れていっているのにまだ気づかないんですよね。気づいていたかもしれないけれど、それを認めたくなかったのかもしれません。私がこんなに愛しているのだから彼も愛していると疑わなかったのかもしれません。

決定的なのが二十六夜です。夕方6時ごろ日が沈んだあと出るまん丸の満月、夜中の2時3時に出て明け方お日様が出る時に残っている有明の月、全く持って正反対になって初めて気づきます。しかも以前彼と見た夕暮れの三日月と形は同じだけれど、向きが反対側。これも彼の気持ちを表していると思うんですよね。

月の形と昇る時間を、すれ違っていく恋心になぞらえました。そんなことを思いながらこの曲の歌詞を書くと一発で書き上がりました。リテイクなしの歌詞です。本当に出る時は出るのだなぁと感心してしまう。あんなに出なかったのに。

一度作った動画の歌詞を直して完成。なんとか今回もできました。まだ誰も聞いたことのない自分の曲を聴いていいなと思ってしまう。まあ自己満足の世界だけれど、こんな曲が作れて自分を誇りに思おう。

なんとか無色透名祭の投稿フォームにて投稿を終える。イヤァ、短い時間だったけれどなんとかなったなぁ。
ちょっと疲れたので次の日は山に登ってきました。曲ができたあとの山登りは気持ちがいい。



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