3 マラガ ベテラン撮影コーディネーターの気ままな旅日記
ある日曜日の本当の話 マラガ
朝方ネットで段ボールで作った百年の耐久性のある家を見つけた。デザインも良く、軽いのでうちの山に最適だと思った。しかも始めのデザインは坂茂さんのもので、販売元はオランダのWikklehouse。調度午後に会う友人がオランダ人なのでリンクを転送してみたら、なんと2017年10月のこの家の雑誌の切り抜きが返ってきた。メーカーにネットで問い合わせたらすぐにきちんとしたスペイン語で、「今はまだスペインには販売していないが何が起きるか分からないので、良かったら購読の登録をするように」という返事。早速登録。
待ち合わせには車で行った。日曜日なのでいつもなら割とすぐに路駐できるけれど、その日は何台もの車が私より先に停めて行った。まぁそういう日もある、と駐車場に行こうとしたら、役所の清掃の人が二度もコンテナ外に放置されたゴミを車に回収するために停まって私は待たされた。でもその方はきちんと待った人たちにお辞儀をしてまた仕事に戻って行った、スペインでは珍しく、気持ちのよい人だった。ふと見ると今その人が去って行った所は、平日は駐禁だが、今日は日曜日で停めても良い所だった。ラッキー。
今日はマラガのポンピドゥー美術館でソットサスの展示を16時以降の無料の時間帯に見ることが目的で、友人と待ち合わせた。若干の列を作り入場。ソットサスの会期は来週までなので紙のパンフレットはもう無いと受付で言われたが、展示会場の入り口にほんの数枚残っていた。やはり印刷物を持ち帰ってゆっくり読みたいのだ。ありがたい。
展示は小規模ながらデザインの持つ力を充分に感じさせる物だった。オリベッティのタイプライターにきれいな赤を使い、ポータブルでどこにでも持って行きたくなるような物を作ったのはすばらしい。その名もバレンタイン。ソットサスとイタリアのメーカーならではだ。
もう一つの企画展はPlace-ness Habitar un lugar /ある場所に住む という副題。なんとこのご時世色んなことが起きて、平和な生活を求めて田舎暮らしをしたがる人たち(まさに私)に、住む場所の色んな見方を提案する物だった。コーナーは、「決まり文句を解体する」「物質を返還する オマージュと足跡」「未定義の場所に住まう」「領土力学を再考する」「公共の場に存在する」「夢と現実を再構成する」といったテーマに分かれていて、最後のコーナーには、驚いたことに坂茂さんが1995年に神戸の震災で作った紙のログハウスが展示されていた。世界の震災者や、マイノリティのために作られた坂さんの初めての家の実物を今朝の展開から、偶然入った展示でこの目で見ることになるとは、全くどういうことだろう。オランダのあの紙の家との深い縁を感じる。
カフェ ラ・カナスタに行ったら、満員だったけれど調度2席が空いたところで、すんなり座る。日曜のおやつタイム、甘いもの好きのスペイン人や観光の足を休める外国人で一杯。
Wikklehouseはオランダとベルギーなどに段ボールの家を宿泊施設として建てていて、泊まることができる。交通の便なども考慮しながら、森の中、森林公園、ヨットハーバーなどといった異なった立地について、オランダ人の友人の見解を聞く。
以前日本に帰る時、トランジットで降りたったアムステルダム上空から見た、一面のチューリップの花をいつか見に行きたいと思っていたので、花の時期の名所である公園の会期から4月に行って、ゴッホ美術館やシーボルトハウスも見てこられたら、それは素晴らしい旅行になりそうだ。
そんな話をしていたら、アルゼンチン人の友人3人が突如斜め隣の席に座る。私も含めこの辺りに住んでいる人達でないだけに、再会を喜ぶ。不思議な事の重なるある日曜日の話。
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