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アムステルダムのカルチャーシーン9・10月編_オランダ日記・2023/10/16

アムステルダムのカルチャーシーンで最近見たものをただただ羅列しちゃう回。


bring your own book (byob) fair

期間:2023/9/15-2023/10/15
場所:ENTER ENTER

Gerrit Rietveld Academieの学生グループが2021年に立ち上げた自主出版物のブックフェア。名前の通り「自分で本を持ち寄るブックフェア」で、申し込みをして自分の本を持ち込めば誰でも参加できる。
今回*1はヨーロッパ中から学生、デザイナー、アーティストなど500人以上の本が集結して、しかもENTER ENTERで1ヶ月間も開催されて、着実に規模が大きくなってたし、オープニングもめっちゃ盛り上がって、認知も広がっていてすごい!
byobはEXTRA INTRAから支援を受けている*2らしく、学生のポケットマネーとガッツだけではどうしてもできない規模だなと感じていたので、ちょっと安心したし、さすがオランダ、、、!と思った。
*1_前回の5月 11月〜26日の2週間にわたってリートフェルト大学構内で行われていたbyobも行ったけど、学祭って感じで楽しかった。
*2_ENTER ENTER ウェブサイト

byobのENTER ENTERでのオープニングの様子


ÖTZA Ontologically SPEAKING

期間:2023/9/15-2023/10/01
場所:mutter

mutterで行われたÖtzaのパーフォーマンスに行ってきた!
Ötzaは先史時代のドラッグクイーン。Ötzi(エッツィ)というニックネームで知られる約5300年前の男性のミイラの姉とか妹とか、そういう間柄という設定だったと思う。文字がなかったとされる先史時代を生きた彼女は現代に甦り、科学によって書かれた偏った彼女の物語を自ら書き直そうとしている。真実や科学、(ファン)フィクション、歴史、物語、理論、ポップカルチャー、権威とか盛りだくさんのテーマについてドラッグクイーンとして面白おかしく話して、笑いを誘う、超ハイコンテキストなパフォーマンスだった。ので、正直わからないことも多かった、、、!
ÖtzaはLevi van GelderLeila El Alaouiの二人のアーティストによって考案され*3て、Levi van Gelderが演じる。
Levi van Gerlderの大学院卒業制作はThe Wedding (2020)という自らの結婚を通して、結婚という儀式とか、ビザとか、そういうことをユーモラスに問うパーフォマンスだったらしい。社会とか文化を可笑しく豪快につついちゃうようなプロジェクトをたくさんしているよう。
Levi van Gerlderのウェブサイトも充実しているけど、インスタの方が最新情報チェックできるみたい👀
*3_W139ウェブサイト(https://w139.nl/en/w139-hosts-week-7/

mutterでのÖtzaのパーフォマンスの様子

Ötza is a cryodesiccated fanfiction writer from the neolithic that has been rising to fame since she emerged from her cooling cell in March 2023. As an advocate for prehistoric literacy and as self-proclaimed connoisseur of theory-fiction, she has been sharing her writings throughout Amsterdam in venues like Perdu, De School, Rijksmuseum, Gerrit Rietveld Academy, Sandberg Instituut and during a solo show in Mutter titled “Ötza, Ontologically Speaking”.

W139サイトの紹介文より(https://w139.nl/en/w139-hosts-week-7/)
ÖTZA Ontologically SPEAKING - Instagram screen shot
ÖTZA Ontologically SPEAKING - Instagram screen shot


Christopher D’Arcangelo: A Museum for Everyone

期間:2023/10/06-2023/10/13
場所:kunstvrein

アムステルダムを拠点とする女性主導の非営利会員組織/出版社/キュレーション事務所であるkunstvreinでは故Christopher D’Arcangeloの作品集の出版を記念して、誰でもラジオのホストになってライブの音声(会話、音楽など)を放送できるパーフォマンスを1週間開催していた。7日 x 24時間の枠に申し込めば誰でもkunstvreinの展示スペースに建てられたテンポラリーなラジオスペースから、各々の話したいこととか、流したい音楽を放送できたようだ。申し込みサイトをチラッと確認したところ、一応放送したい内容も添えて申し込む必要があったみたいだけど、申し込んだ友人たちはみんな一枠ずつゲットしてた。

遮音カーテンでぐるっと一周囲われたテンポラリーなラジオ放送空間


NeusWijzer - all of the Dutch Smells

期間:2023/10/12
場所:Mediamatic

身内ネタになるがMediamaticで「NeusWijzer - Geuratlas van de Lage Landen」(ざっくりと訳すと「オランダの香り地図」)という本の出版を記念して、オランダの香りをテーマにしたOdoramaを開催した。Odoramaは2015年からMediamaticが開催する香りや嗅覚をテーマにしたトークセッションでファンも多く、今回は80人以上の方が集まった。本がオランダ語だったので、イベントもオランダ語だった。(Mediamaticはほとんどのイベントが英語なので珍しい。)私はオランダ語が分からないのでプレゼンの内容は画像を頼りになんとなく掴めたくらいだったけど、香りは言語を超えて感じることができるので面白かった。(ただ、香りの捉え方とか、香りの持つ意味は文化に依存するのも面白いポイント)

NeusWijzerのプレゼンテーションの様子
写真左奥にうっすらと映るのダイソンの扇風機を用いてスプレーで噴射した香りを会場に拡散する



etceteras: feminist festival of design and publishing

期間:2023/10/05-07
場所:Universidade do Porto

番外編はポルトガルのポルト大学で開催された出版、デザイン、アートにおけるフェミニズムについての祭典etceteras。女性やノンバイナリーの方によるトーク、ワークショップ、ブックフェアなど盛りだくさんの3日間だったようだ。私は金曜日の朝と夜のトークに参加した。(ワークショップは申し込みたかったけど、すぐに満席になってた。悔しい)Dailogue Booksのディレクターを務めるSharmaine Lovegroveのトークがめっちゃパワフルだった。イギリスの黒人女性であるSharmaine Lovegroveは自分の本屋さんを開きたい!という子どもの頃の夢を追いかけ、追い越して、今やイギリスの大きな出版社でマイノリティーにフォーカスした部門のディレクターにまで登り詰めた強者だ。他の参加者の多くは、どちらかというと小規模に活動している団体や個人が多かったので、フェミニズムやインターセクショナリティーを掲げて出版業界のど真ん中で戦う人の話も聞けたのが良かった。ブックフェアは「小規模ながら、ぎゅっと詰まっている」と他の国で大規模なアートブックフェアを経験した友人が言ってた。

etceterasの看板。個人的にロゴが好み。

以上、アムステルダム(とポルト)で見たこと・聞いたこと・嗅いだことまとめでした!

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