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酒造大手のココがスゴイ!(2) 白鶴酒造

前記事に続きまして、業界第2位の白鶴についてお話ししたいと思います。一言で言うと、「技術の白鶴」、これに尽きます。

【基本データ】白鶴酒造

会社名: 白鶴酒造株式会社 http://www.hakutsuru.co.jp/
創業: 1743年(寛保3年)
本社所在地: 兵庫県神戸市
酒蔵所在地: 神戸市東灘区(御影郷)
酒造子会社: 桃川(青森県)、梅錦山川(愛媛県)
銘柄: 白鶴、まる、忠勇、別鶴 など
   (参考:公式サイト ラインナップ


①『研究・開発力』がスゴイ

白鶴と言えば、やはりここが最大のポイントですね。
社内にろくなマーケティング部門も作らず(マジで首位抜かれてから作ったっぽい←)、国内清酒出荷量トップを16年間ひた走っていたというのだからホント半端ないです。(…でも、抜かれたら危機感は持ったのね←)

…え、全然けなしたりしてないっすよ?←

関連ページ・参考記事:
 ・400種以上の“自社開発酵母”が日本酒の新たな個性をつくる─ 革新的な商品を次々と生み出す白鶴酒造が培った酵母研究(SAKETIMES)
 ・白鶴、米こうじ飲料で初のトクホ(日本経済新聞)
 ・アルコール8%のライトな日本酒「Hakutsuru Blanc」ができるまで─ 変わる白鶴酒造、変える日本酒市場(SAKETIMES)


②『別鶴』がスゴイ

で、このまま商品開発ネタに繋がっちゃうわけですが、コイツがマジでスゴイんです。

『別鶴(べっかく)』は、「新しい日本酒の世界を覗こう」というコンセプトで、日本酒を飲んだことのない人も楽しめるお酒を目指して造った新ブランドで、2018年末~2019年初めにかけてクラウドファンディングを実施していた3種のお酒です。

 リンク:公式サイト/クラウドファンディングページ

「日本酒に馴染みのない人には『新しいお酒』としての驚きを。
 日本酒が好きな人には『今までにない日本酒』としての驚きを。
 同じお酒を飲んで、どちらの立場の人からも『おいしい!』『新しい!』と言ってもらえるようなお酒をつくろう。」
という思いで作られたお酒なのですが、極個人的な感想を言うと、

 「日本酒でしか実現できない味わいなのに、
  良い意味で日本酒離れしている。まさに『別格』」

…もはや、金貰ってんのかよ!ってなる感想ですね。
(マジで貰ってません。むしろください!←)

百聞は一見に如かずなので、マジでこれは飲んでください。
飲んだ方が良いです。

プロジェクト開始のきっかけとなったエピソードとかも熱いので、是非とも別鶴を片手に関連記事を読んでみてください!

関連ページ・参考記事:
 ・「別鶴プロジェクト」トーク&試飲イベントレポート(SAKETIMES)
 ・前例破りの酒 白鶴、新ブランド「別鶴」で若者開拓(日本経済新聞)


③『白鶴錦』がスゴイ

一つ前が、自社内の開発ネタだったので、次は自社以外にも多大な影響があるところに行きましょう。
ということで、前述の別鶴にも用いられ、個人的に『推し米』にしている『白鶴錦』です!

「白鶴錦とは、山田錦を超えるべく生み出された、山田錦の妹分である」

遺伝的な話とか、細かいことはこの辺を見ていただくとして、さっくりまとめると、「『酒米の王様』とも呼ばれる山田錦を超えるべく、山田錦の両親品種(山田穂・渡船)とその純系淘汰品種(新山田穂1号・渡船2号)を交配しつくりだされた酒米」です。
山田錦に近い味わいと、栽培が難しいことで有名な山田錦と比較して少し容易に栽培できる特性があります。
醸造後の官能評価での比較では、大きな違いは無いものの、山田錦はより「すっきり」「まろやか」であるのに対し、白鶴錦はより「きれい」「味わいがある」という違いが出ています。

もうひとつ大きな白鶴錦の特徴は、
「白鶴の名を冠しているが、白鶴酒造で独占していないこと」です。

子会社2社の他、名だたる銘酒蔵に白鶴錦を提供しています。

 相原酒造(広島県/雨後の月)、亀の井酒造(山形県/くどき上手)、
 五町田酒造(佐賀県/東一)、清水清三郎商店(三重県/作)、
 澄川酒造場(山口県/東洋美人)、高木酒造(山形県/十四代)、
 新澤酒造店(宮城県/あたごのまつ)、阿部勘酒造店(宮城県/阿部勘)、
 梅錦山川(愛媛県/梅錦)、桃川(青森県/桃川)、
 木屋正酒造(三重県/而今)

最近、このうち6蔵(白鶴+5蔵)を飲み比べる機会があったのですが、ぶっちゃけ全部旨かったです…(細かい感想は当該ツイートをば)

ちなみに、実は食用にも売ってます!←

関連ページ・参考記事:
 ・独自酒米「白鶴錦」の誕生(公式サイト)
 ・「白鶴錦に関する意見交換会」レポート(公式サイト)
 ・山田錦と双璧をなす酒米を目指して─ 白鶴酒造が開発した酒米「白鶴錦」に秘められた可能性(SAKETIMES)


◆まとめ◆

はい、2社目の白鶴酒造についてざーっとお話ししました。

冒頭は「マーケティングやる気無かったんじゃないの?」みたいな、ケンカ売ってんのかよって書き出しでしたが(※くれぐれも売ってませんのでよろしくお願いします←)、なんだかんだ「わざわざ作らなくてもなんとかなってたくらいの商品開発力がありながらも、首位抜かれちゃったからテコ入れしました」くらいの感じだってことをわかっていただけたら幸いです。


この記事は、次の月桂冠で一旦ラストになりますので、もう少しだけお付き合いのほどよろしくお願いいたします。
See you next note!!

Vol.1:宝酒造 Vol.3:月桂冠

"歌う唎酒師"、ヒューぽん@よいどれクソメガネです。SSI認定唎酒師、情報処理安全確保支援士、日本酒/焼酎/ビア/ワイン/スピリッツナビゲーター。都内東側在住のよっぱらい男子です https://huepon.tumblr.com/