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シン・エヴァ劇場版を見て少年時代の情景が吹き飛んだ話

このnoteにはシン・エヴァンゲリオン劇場版のネタバレが含まれます。映画は楽しかったし、目立った伏線は回収されてスッキリしたけど――心残りというか、心に引っかかってしまった気持ちがあって、吐き出すための感想です。

まだパンフレットや他人の感想なんかは見ていないので、解釈が間違っている部分もあるかもしれないけど――見たその日の感じたままの気持ちということで、見逃してください。

ぼくとエヴァンゲリオン

わたしはリアルタイムで放送されていたエヴァはまばらにしか見ていなくて、そんなにハマった記憶もなく――友達がボスのコラボ缶コーヒーを大事にしているのを冷ややかに見ていた人間だ。

しかし、スーパーロボット大戦をきっかけにエヴァというコンテンツを見直して、スパロボαぐらいの頃に劇場版をレンタルで見てコンテンツに深入りした。漫画版を買い、綾波レイというキャラの造形が好きになり――彼女のセリフを覚えたり、真似したりする黒歴史を積み上げてしまった。

「私は死んでも代わりはいるもの」(裏声)

当時からエヴァは人気があり、オタクの間では綾波とアスカ(とカヲルくん)誰が好き?みたいなのがあったんだけど、わたしは圧倒的に綾波派だった。

クローン、包帯、月を背景にした白い少女、透明無垢――
なんとも、なんとも童貞まるだしであったオタク心を揺さぶられる存在だ。

対してアスカは――はじめの印象がすごく悪かったのを今でも覚えている。

『おじいちゃんのマジンガーZを馬鹿にした女』

これだ。
おもいっきりスパロボ補正がはいっているけど、コレなんだ。

大車輪ロケットパンチを信仰していた気持ち悪い子供だったわたしは、圧倒的にアスカより兜甲児が好きだったのだ。

――だが、このスパロボによる補正っていうのが半端なくて、貧弱な零号機に乗る綾波よりも攻撃的な弐号機を駆る惣流・アスカ・ラングレーにわたしは徐々に心惹かれていくのだ。

『一万二千枚の特殊装甲とォ、A・Tフィールドが! あるんだからァァァァ!』

このセリフが好きすぎて今でも定期的に脳内フラッシュバックするし、車を運転する最中に無意味に叫んだりする病気が治らない。

おっさんとエバンゲリオン

歳を重ねるにつれ、エヴァへの興味関心は薄くなっていった。
色んなものとコラボしても心動かされなかったし――シンカリオンコラボは胸が熱くなったが――漫画版も途中で買うのを止めたまま、劇場版もリアルタイムで足を運んで見ようという気持ちにまではなかった。

だけど、まあ、やっぱり、エヴァンゲリオンというコンテンツは好きなままだったので、自分の中の解像度がエバンゲリオンレベルになってもブルーレイはちゃっかり購入して楽しんでいたりする。

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シンの前にQを見ようと久々に引っ張り出したら保管状態が悪く、とても悲しい気持ちになった。破だけ謎の日焼けをしているのは仕方ないにせよ、なぜ序の箱テープまで劣化しているのか……

――しかし、スパロボシリーズはわりと最近までプレイしていたのもあって、定期的にシンジくんとアスカの恋愛周りの描写を何度もなんども――ループかのように反復していた。
おかげでエヴァというコンテンツは自分の中で風化することなく、常に身近に感じていた。

……シン劇場版を見た人はコレで何が書きたいのかわかったと思う。
わかったと思うけど、もう少し前座の文章を続けさせてください。

劇場へ集う運命を仕組まれた大人たち

今までBD派だった人間が、なぜ映画館に足を運んだのか。
それはとっても単純で、Twitterを運用するようになって必要ない情報がたくさん入ってくるようになったので、ネタバレを警戒してのことだ。

歴史を積み重ねてきたコンテンツの最後ぐらい、ネタバレや誰かの感想で汚染された精神ではなく、頭をまっさらにした状態で見たかったのだ。

わたしが劇場に行ったのは公開二日目の最初の時間だけど――平日に関わらず、会館前から大勢の人が並んでおり大盛況といった感じ。

――感じだっただけで並んでいる人(自分含め)以外はそこまで来場は多くなく、席を間引きしているコロナ対応型映画館でも十分に人が収容されたような状態であったんだけど、それもなんか楽しくて、なんだかとってもワクワクした。田舎の映画館に集う熱心なオタクたち(偏見)に仲間意識をとても感じた。

自分はエヴァQの三人旅のような引きがすごく好きで、赤くなった世界を練り歩き徐々にシンジくんたちが仲を深めていく――なんて展開になると思っていたら、暖かな元クラスメイトや人間の中で綾波がひたすら可愛いのに死亡フラグを累積していくというポカポカするのに寂寥感を覚える展開に、優しくしてほしいシンジくんに優しい世界になっていたりして、予想とは違ったけど『らしい』感じがしてとっても良かった。

トウジくん、委員長、妹も良かった。

そっくりさんが制服をきたり、プラグスーツの色が白くなってパシャぁの描写はズルくもあり、シンジくんの決意もとっても好きです。

弐号機の使徒化は最高に格好良し。

あとはさ、マダオボイスのゲンドウくんがまるで駄目なおっさんで感情移入してしまって、少しズレた人類補完計画も良いかなぁって。

ゼーレが望んでいた補完計画も働かなくても良くなって虚無になるので最高かなぁって思うんですけどね……

ネルフがやはり正義だったのでは?

ゲッター線に支配された人類とエヴァ

破から14年、周囲の時間にシンジくんは取り残されて――Qで描かれたこのシチュエーション、頭ドワオの人間なら真ゲッターロボを思い出すだろう。

頭の中が熱血でフット―しそうになってしまうのは仕方がない。

破での初号機覚醒、Qで戦艦使徒撃破達成(熟練度+2)という自分の中で最高に良かったポイントがあって、今回こそ本命、改修された初号機がスーパーロボット的な活躍をすると期待していたんだけど……ない。

ない、ないんだ。
初号機の活躍が……ないんだ。あるようでなかったんだ。

シンクロ率無限、イデかな最高かよと思っていたら13号機に軽くあしらわれるという悲しみよ。

エヴァのパイロットとしての技量――14年分の経験を持つアスカやマリに比べてシンジくんが劣る描写でもあって正しくはあるんだけど、あるんだけど……ここは結構モヤモヤがたまった。

前座である弐号機や8号機がめっちゃ格好良いトコ見せてくれたので反動がすごい。Qでの13号機が不完全燃焼だったので、そういう意味でも期待していたところがあるので下回ってしまった感がある。

使徒の返り血を浴びて赤く染まった初号機で13号機を虐殺するぐらいの活躍を見せてくださいよ!わたしが見たかったのはマゴロクEソードを使う人形決戦兵器ですよ!

せっかく精神世界での戦いを描いてるんだから、もっと、こう、やりようが……ここは本当に残念なポイントだった。

エヴァの立体最高傑作だと思っているコレとか、

イフ世界のエヴァであるコレとか、

武装面ではかなり充実した設定があるのだから持ってきて欲しかったというのが正直な感情。

他の戦闘描写が良かっただけに……もうエヴァがこの作画力で映像化することはないんだなぁと思うと、心残りだ。

過去の情景にさよならを

これが本題で、まさかエヴァンゲリオンというコンテンツでNTR感を味わうというか、失恋に似た感情を抱くとは思わなかった。

アスカとケンスケのカップリングがつらい。

エヴァの恋愛事情だと、ゲンドウくんからユイさんへの確執とか、リツコさんとゲンドウくんの関係とか、ミサトさんと加持さんとか――子供が微笑ましい恋愛をしている中、大人が複雑でドロドロとしていたイメージがあるんだけど、アスカが大人の仲間入りしたのがかなりショックであった。

時系列的にアスカは肉体年齢14歳、精神年齢28歳。
大人のキスを約束したときのミサトさんが29歳。

そう思えばそうなんだけど、そうなんだけどさ……
わたしの中でアスカは14歳のアスカのイメージがとっても強くて、14歳の頃のエピソードを何度もなんども見ているせいで時系列に置いていかれてしまった感がすごくある。

分かりづらい例えだけど、仮面ライダーファイズ1話の木場さんみたいな……

周囲が順当に歳を重ねる中、エヴァの影響ということで見た目が変わっていないというオイシイ設定がマイナスに働いてしまった感がある。

アスカは精神年齢が28歳でも、言葉や態度なんかを考慮するととてもじゃないけどその年齢には見えないというのが納得しにくい原因になっていると思う。

あとは、ドロドロしたナニカの匂わせがすごい。

ケンスケがシンジくんを引き取った意図、トウジくんが言った「シンジに厳しすぎないか」という言葉。

贖罪のために責任を背負って沈黙しているミサトさんや、破の時に選択すらしてもらえなかったアスカが拗らすのはわかる。
しかし、ある程度事情を知っているケンケンの立ち位置でアスカとの生活の場にシンジくんを呼ぶというのは……別の意図もありそうに思えてしまう。

アスカの裸を見られる描写や「他は成長しないのに」「あの頃はシンジのことが好きだったと思う。でも先に大人になっちゃった」みたいなセリフとか、そういう関係性を示唆をしているし……

本編では語られていなかった(と思う)けど、アスカが村に行けない理由もケンケン周りっぽくて結構闇が深く感じる。

いちばん良くないのは入場時特典なんだけど、

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アスカ……なんだよ。
とってもかわいいアスカがもらえるんだ。

これは綾波と一緒じゃない単独!メインヒロイン!これで勝つる!とか視聴者(わたし)を勘違いさせて傷つける要因となったコレがいけない。

シンジくんとアスカが幸せになってハッピーエンドとオタクが妄想するきっかけを与えるこれがいけない。
そう思い込んで映画を視聴する人ばかりだと思うんだよ。

――確かに、アスカがケンケンを好きになるのは納得できるんだ。
加持さんに恋していたときのアスカを知っているし、30年以上生きてきたおっさんとしても実体験で恋がうつろう物というのも理解できている。

サバイバル知識があり「お天道様に顔向けできないようなこともした」ような環境で中心人物であっただろうケンケンはとっても良い男であっただろうし、彼は本編でも善良な大人で余裕を見せつけてくれた。

加えて、シンジくんは裏宇宙でのカヲルくんとの邂逅から『ループした世界があること』を認識していることを理解できる。そんな彼から祝福されるアスカを見て、シンジくんではどのルートでも彼女を幸せにできなかったんだろうなという諦めもある。
今までエヴァで辛い目ばかりにあってきたアスカが報われてよかったという気持ちもある。
なにあのぬいぐるみの中身、最高かよ。

ただ、幸せにする相手がシンジくんならもっと良かっただろうなって……そう思うんだ。
昔は両思いだったなんて描写いれてくるからさ……

成人式で昔に好きだった女の子が孕んでいた経験があるわたしだったから耐えられたけど、心がピュアなままのオタクは家にあるグッズ全損させるぐらい衝撃なんじゃないかなぁ……

……え?
アスカだけじゃなくて綾波とカヲルくんがカップリングされてる?
なにこれなにこれなにこれ?ゲンドウくんとユイさんのメタファー的な何かか?3番目の少年を好きになるように仕組まれた二人の実際はそうではなかったアレなのか?
クローンでも別人だから母に似た人を好きになるシンジくんも仕方ないんじゃなかったの?
これは30歳を超えても気持ち悪いのが治らないオタクの精神を破壊しようとする罠か?
嫌な想像させるのやめてくれぇぇぇ、うわぁぁぁぁああああ!

――わりぃ、やっぱつれぇわ。

すべてのエヴァンゲリオンにさよならと

ネガティブな面ばかりを長文で書いてしまったけど、パンフレットを購入するぐらいおもしろかったのは間違いないし、BDも購入してまた見る予定だ。

逆に言えば、恋愛事情と初号機が活躍しなかったコト以外は特に不満もなく、圧倒的な満足感がある。

おっぱい大きいお姉さんも好きなので、あの結末も嫌いじゃないし。

途中から購入していない漫画版も電子書籍で初めから買い直しちゃうし、他人の感想や小難しい考察なんかも、時間見つけて巡っていこうと思う。

――すべてのエヴァンゲリオンにさよならと、ありがとう。

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