見出し画像

幼馴染は彼女じゃない 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 アニメ第11話感想

高咲侑と上原歩夢は幼馴染であって、彼女ではない。
交際しているから一緒にいるのではなく、幼馴染だから一緒にいる。

本編中に高咲侑が生徒会役員に言ったように「好きに早いも遅いもない」のだから、幼馴染が他の異性に勝る点は『出会いが早い』という優位性だけ。

それを活かせず、恋愛対象になる異性が登場してからでは、もう遅い。
高咲侑の関係性が広がる前に、地盤を固められなかった上原歩夢は、ただの敗北者なのだ――

画像1

「新しい好きを見つけるって、素敵ですよね」

わたしの知らない幼馴染

画像14

「歩夢が部屋に来るの久しぶりだね」

本編では高咲侑がピアノを始めた時期について明確な示唆はないが、中川菜々と音楽室で邂逅した時にはすでに購入していたor購入を検討していたのだと思われる。

ピアノというのは一般教養で習うものではなく、普通の人は鍵盤のドレミファソラシドもわからない。
だが、高咲侑があの時点で拙いながらも演奏できたという点からすると、彼女が優木せつ菜と出会ってすぐに――スクールアイドル同好会に入部をした直近で練習を始めていたのではないだろうか。

つまり6月には幼馴染がピアノの練習を始めていたことを、上原歩夢は夏休みが終わるまで気づかなかった=高咲侑の部屋に長期間行っていなかったという構図だ。

恋愛モノのテンプレだとヒロインが幼馴染の部屋を掃除しに行ったり、双方が部屋を行き来したりするものだが、高咲侑の部屋を見れば分かるように――

画像2

特徴がなく、片付いた部屋なのだ。
プライベートな時間に二人でお茶しようとなると、必然的に上原歩夢の部屋が選ばれるのだと思われる。

普通のカップルだと『好きな人の部屋』という要素が高揚感に繋がるが、彼女らは幼馴染なので『見慣れた部屋』にしかならないのもポイントだ。

画像3

また、OPで示唆されているように上原歩夢の部屋は幼馴染が泊まれるように環境が整えられている。

画像14

時間だけではく、一緒に思い出を積み重ねたい上原歩夢にとって、自分の部屋のほうが都合が良かったのだ。

伝えたかったのは……

スクスタとアニメの最大の違いは『あなた』と『高咲侑』の異差。
幼馴染が高校生になるまでの背景としての変化も当然あるし、上原歩夢がスクールアイドルとなる経緯も変わった。

スクスタでは、スクールアイドル同好会を再始動させるために一番はじめに誘われるのが上原歩夢で、

スクスタ_2020-12-13-21-07-04

スクスタ_2020-12-13-21-12-01

スクスタ_2020-12-13-21-10-14

スクスタ_2020-12-13-21-10-26

「上原、オマエは虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の柱になれ」

上原歩夢が一歩一歩努力する姿を見て、同好会の皆が頑張れるように、あなたが一番に信頼している幼馴染として勧誘した。

だから、上原歩夢がスクールアイドルを始めるのは『あなたのため』という軸があったし、同好会でも上原歩夢の頑張りが皆に良い影響を与えていた。
あなたのために頑張る幼馴染は、輝いていた。

アニメでは、上原歩夢が自分の気持をまっすぐに伝えたくて、自分を曝け出すためにスクールアイドルを始めた。
勇気を出して「一緒に夢を見て欲しい」と幼馴染に伝え『じぶんのため』にスクールアイドルを始めたんだ。

高咲侑のためじゃなく、自分のために頑張る幼馴染の輝きは――

彼女の始まりの歌であるDream with Youを聴くと、歌っている本人の現状へと刺さりすぎていることに気付く。

11話現在の上原歩夢は、この曲をはじめて歌ったときのなりたい自分になれているのだろうか?

画像11

幼稚園の頃から手をつないで、背中を押してくれた幼馴染。
スクールアイドルをはじめて、一緒にいる時間は少なくなった。

涙をこらえる中須かすみに手を差し伸べ、停滞してしまった優木せつ菜の背中を押し、同好会のメンバーが前へ進めるように応援をする。

――それは、上原歩夢が叶えたい『一緒の夢』の中での出来事。
『一緒の夢』をみているハズなのに、上原歩夢は主人公ではなく『同好会のメンバーの中にいるひとり』。

画像7

だから、上原歩夢は強く在れない。
脆いし、逃げるし、嫉妬もすれば狂気も宿してしまうのだ。

画像13

優木せつ菜がいないのが嬉しい。
幼馴染と二人きりで、一緒に帰れるだけで――

彼女が伝えたい本当の気持ちは、言葉にされない。

自滅のYAIBA

画像8

高咲侑の言いたいことを封殺してしまった上原歩夢。
夢を見る前は隣にいてくれた幼馴染が、夢を見ることで前を歩くようになり。

どんどん、遠くに行ってしまう高咲侑に置いていかれるのが不安になって――身体を使ってでも、繋ぎ止めたかった。

画像9

このまま『侑ちゃんだけのスクールアイドル』として退廃的な生活をするのも、上原歩夢にとっては本望だろう。

上原歩夢にとってスクールアイドルは、大好きを表現する形だ。
一番見て欲しい幼馴染が側にいないなら――スクールアイドルなんてやる必要はない。

画像10

「いいよ、侑ちゃん――」

次回の幼馴染(願望)

「ねぇ、歩夢。覚えている――」

過去にも、二人がすれ違って喧嘩をしたことがあった。
だけど、いつだって仲直りをして、その度に絆は深まった。

「はじめてで拙いけど、歩夢のために作ったんだ」

はじめて聴く幼馴染の演奏。曲に込められた、自分への想い。
上原歩夢はピアノを弾く幼馴染を後ろから抱きしめて、歌詞を当てる。

「ふふっ、私たち、いつも一緒だね」

その姿は、未来も寄り添う二人を連想させた――

おわり

たまには感想じゃなくて考察的なことをしたかったけど、何か妄想で適当なコトを書いただけになった感があって申し訳ない。
でも書いてる本人は楽しかったです、自分が楽しけりゃいいんだよ!

10話の感想にも書いたけど、自分の中で上原歩夢の話はスクールアイドル軸じゃなく恋愛軸として捉えているので、今回のような話をアニメ本編でやってくれるっていうのが嬉しくてうれしくて、たまんなかった。

侑ちゃんの「違うよ!」とすぐに切り返すシーンとか最高にイケメンなんだけど、3話の「ラブライブなんて――」というせつ菜回と同様の切り口なのが闇深いし、そのあとに紡がれる言葉が自分に都合の悪いものとなるとすぐに口封じをする上原さんの闇の深さが最高に好き。

今回や前回の上原さん、すごく期待した表情で幼馴染のことをチラチラ見るんだけど、何回も何回も期待を裏切られて曇って……抑圧していたものが限界まできて、想いが爆発する過程が丁寧に描かれているのがとっても良かった。

あれだけシンプルな侑ちゃん部屋に幼馴染と写った子供時代の写真があるというのも良いし、上原さんから侑ちゃんにキスしているようなポーズなのも好きだし、『ぱ』の文字もすっごくらしくて好き。

高咲侑は、きっとラブライブ世界でのボボボーボ・ボーボボにハマり『ぬ』ならぬ『ぱ』のシャツを着ていたに違いない。

侑ちゃんは絶対ところ天の助が好きだし、笑いすぎて何度も腹筋が死んだけど、その度に蘇ってきて上原さんが介抱しながら呆れていたに違いない。

他にも、生徒会副会長とか、果林さんの顎クイとか、善意で買い出しに同行するのに上原さんからのヘイトがたまる中川さんとか、電撃組が揃ったお菓子とか、上原さんにファンがいる描写とか、裁縫部のアニマル衣装とか、なんかもうむっちゃ良かった。

生徒会の人数が減ったことと、彼方ちゃんが重要な場面でのすやぴに戻ってしまったことはなんか気になった。
中川さんを超える真の生徒会長とか、遥ちゃんとのデュエットの曲作ってたとか、そういう伏線だったら最高だけど、どうだろう――

来週はよ。



スキ好き。執筆活動の励みになります。