劇場版『ガンダムSEED』を見てきた感想
見たいものが見れたという意味では満足度が高いけど、ガンダム要素を除いて純然たる映画として考えると40点くらいになってしまいそう――そんな映画だった。
種に関しては『昔見ていたガンダム』くらいの解像度だけど、スパロボWでアストレイにハマり、ガンダムバトルデスティニーが楽しすぎてやりこんで、ガンダムブレイカーでドラグーンしまくり、バトルアライアンスで終わらない明日へを稼ぎ周回しまくった程度にはガンダムが好きな人間視点での感想になります。
以下、ネタバレを含んだ形になるので注意。
キラとラクス
丁寧に洗脳NTRの描写があるの草だし、ラクスに隙がありすぎるのエロ同人かと思いました。キラ・ヤマトさんは精神に干渉された影響もあるんだけど、エゴの塊になりすぎていて愛は人を狂わせてしまうな、と。
愛に飢えていたラクスはドスケベおっパイロットスーツを着て、辛うじて息をしていたシリアス展開をブレイクしてくるし、最後は浜辺でパイロットスーツを脱ぎ捨てて二人で全裸になるあたり、完全にトチ狂っている。
劇中での二人の関係を見ていて『お互いが多忙すぎてセックレスなのがいけない』とか思ったけど、最後の大団円という場面での衣類パージで性をみせてくるのはフリーダムすぎる。
超強化されたフリーダムの改修機+バックパックの状態があまり強いと思わないのは、全部G-セルフってやつの仕業なんだ……
最終決戦でEN切れという要素はどうしてもGレコを意識してしまう。
特殊な装甲をしているMSをぶった斬るための実体剣が、アロンダイトみたいな系統の兵装ではなく日本刀なのはとっても良い。
ガーベラ・ストレート大好きなので嬉しいし、ジンハイマニューバにも採用されていたレベルの信頼と実績のサムライソード、かっこよすぎる。
ムウとマリュー
キラたちカップルの対比になっていた人たち。
セックスを通じて濃密なコミュニケーションをしていそうな大人で、関係は盤石。メンタルが絶好調なので、マリュー艦長は戦艦単騎で吶喊するし、ムウは不可能を可能にする――この二人は終始かっこよくて人間味もあって最高だった。
マリュー艦長、劇場版はおっぱい揺らすくらいで出番少ないよなー、とか思っていたらガッツリあって満足。
欲をいえば、アカツキの活躍をもっと見たかった。
単騎でコロニーレーザーを反射するとか、オーブの技術力は世界一であることが証明されすぎてて草しかない。
ゴツいパーツを装備した状態でグイグイ動くのは後発のゲームとかガンプラのブンドド(セルフ)に期待したい。
これ、なんで設定資料に影も形も掲載されていないのさ。
シンとルナマリア
学生時代の延長線上にある感じの人間関係構築してるなー、と思っていたら意図してそんな描写になっていたようで。
特典の小説がスクールの話で、これを読んでから本編を見ていたらまた違った楽しみ方ができたのにぃぃぃ、という仕様になっていた。
これが限定配布はおかしいですよ公式さん!
小説ではルナマリアに元彼いた描写があってユニコーンを信仰する人たちのことが心配になったが、当時の彼ら――自分を含め――も大人になってNTRでもBSSでも楽しめるよう育ったよねとか思ったらニチャァとしてしまった。
シンくん17歳、まだ子供で成長の余地を残しながら『おもしれー男』ポジションを確立しており、目立つ立ち回りなのにいぶし銀の活躍をするのが最高に好き。眼帯の人との終盤の連携最高かよ。
デスティニーはゴットフィンガーだけでなく分身殺法ゴッドシャドーまで獲得してどこに至るのか。
何も考えていないのか!のトコは自分の中にいる超兵が『思考と反射の融合だァ!』とか叫んでいた。実際は反射だけで動いているのかな。
ギャグっぽくされてたけど、レイや議長に評価されていたコーディネーターとしての才能がバッチリ開花しているの好き。
イモジャくんは機体特性が合わなかったのと、シンがアスランを嫌いなためマイナス補正がかかって低評価されているのが可哀想でござる。
アグネェェス
この子は特典小説を読むことで圧倒的に解像度があがるキャラ。自己肯定感高くて男性をトロフィーにするタイプなんだけど、愛情深い部分はあるので良い男とさえ交際できてれば人格矯正されてた感がある。
逆にクズ男に騙して貢がされ、おちんぽ快楽堕ちしそうな感もあるのでキャラ造形てきには魅力的に映る。
勝手に闇落ちしたのはアグネスなんだけど、間接的にはルナマリアさんが原因で(小説ノリで学生時代を過ごすなら、ルナマリアにコンプレックスこじらせまくってるハズ)諸悪の根源。
ルナマリアさんはアグネスに彼氏寝取ら経験しているし、マウンティングされまくっているのに憎しみの感情薄いのこわい。ナチュラルに、無意識に見下してそう。
アスランとズゴック
この映画の良心と言いたくなるぐらい、アスランがでてきてからぐっと話が面白くなった。序盤のノリで最後までじゃなくて本当に良かった。
ズゴックだけどドラグナー3型で意味不明なんだけど、とにかく劇中でのズゴックが格好良すぎたのでガンプラが発売されたら間違いなく購入する。
中身がジャスティスじゃなくて『さすがズゴック、こんな攻撃なんともないぜ』のように無双してくれたら理想だった。
アスランの乗機では初代のイージスが一番好きなので、ゲテモノ感があるというだけで心が躍る。
ジャスティス系列になってからは奇抜さが足りないと思うんだ。
しかし、ドラグナー3型っぽい電子戦形態?が活躍しすぎたせいで、自分の中のタップたんが「どすこぉい!」をずっと脳内で連呼している。
なんで2型(ガンキャノン)っぽい機体がいないのさ。
ディアッカとイザーク
ありがとうデュエル、ありがとうバスター。
まさか改修機がミーティア装備で登場するなんて、最高のサプライズだった。
初代の機体の改修機というのは、本当に燃える。
骨董品大好きです。
金型リニューアルして再発売お願いします。
金髪とイングリット
なろう小説の悪役転生前の悪役と、何故か悪役を慕う少女というテンプレのど真ん中を見せてもらった、そんな気持ちだ。
態度からもダダ漏れな恋愛感情が精神感応で伝わらないの、設定的におかしいと思うのだが……そんな根源的な感情をコントロールできますまいて。
彼らアコードをみていると、コーディネーターはせっかく遺伝子操作したのにコミュニケーション性能を軽視しすぎていて、設計思想も情操教育も失敗していたんだなぁと思ってしまう。
大人になって理解る、コミュニケーション能力の大切さ。
ナチュラルが(比較的)持っているもので、コーディネーターが失ってしまったもの、それが対人能力(対話)なのだ。対人能力(物理)ばかりが過剰なコズミック・イラは恐ろしい歴史。
ストーリーや設定
何も救いがなく戦果が拡大したままに終わったことに震える。
恋愛が軸で人間ドラマを優先した結果だと思うけど、世界がさらに混沌に進んでしまい、このまま黒歴史(文明の崩壊的な意味で)に突入してしまうのではないかという疑惑が……。
ラクスを信仰している人たちが多いのも、アコードとしての力を無自覚で使用していて国民を洗脳していたのでは疑惑がでて本当にこわい。
アコードの精神感応に関しては描写がご都合主義だったので、途中から考えることを放棄して感じてました。
設定関係はギャグ描写を織り交ぜていたせいでハチャメチャ感があって、総じて説得力がなくなってしまったような気がする。フリーダムのエネルギー残量とか、敵のフェイズシフト装甲よりもつよい装甲へのダメージ関連のアレコレとかその場の気分すぎる。
エンタメとしてはツッコミどころ含めておもしろいんだけど、物語としての完成度が犠牲になってしまったのだ、犠牲の犠牲にな……。
劇場に行く前にこの動画を見たせいで、無双すると思ってたら苦戦が多かったのもストーリーをマイナスに感じてしまう要因かもしれない。
旧ツイッターで言っている人がいたけど、マジで夏のアニメ劇場版的なノリなんだわ。
まじめに種の設定や世界観が好きだった人はどう感じるのか。
メカニック
あ、これダークダガーLじゃない?こないだプレバンの受注でみた!
――そんな滑り出しから始まって、最後まで隠し玉あり変化球ありで大いに楽しむことができた。
前述したけど、デュエルとバスターの改修機はすごい良き。
あとはムラサメの改修機もすごくかっこいい、ウェイブライダーが編隊組んでるみたいで興奮……しちゃいましてね。
ムラサメの飛行形態かっこよすぎてライフリトイモジャ何なのってなってしまうわ。
ライフリとイモジャは劇中の活躍がアレだったこともあってアレなんだけど、脇役を固める機体はすごく好みに刺さる。
ネェル・アーガマポジションの戦艦もカッチョ良いし、劇場にストーリーではなくモビルスーツの活躍を見に行った人間としては満足しかない。
不満というならフリーダムではなく本家本元のエールストライクの系譜やアストレイの系譜をもっと推してきてほしかったけど、本当にそれぐらい。
願わくば、ガンプラの元キットが古すぎるので追加装備ではなく金型リニューアルしての新発売を――。
おわりに
割引で1,000円で見たのもあって、値段の割に満足度が高い。
映画を見て劇中のMSの活躍を知ることにより、ガンプラという楽しみができるのもあって、俺がガンダムなので俺がガンダムです。
冒頭の野に咲く花が散ったときは、ダブルオーに対して意識的な描写かと疑心暗鬼になりましたが、最後まで見ると花が散るのに納得ができるストーリーでした。これ絶対意図してそうで最高に草。
対戦ありがとうございました。
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