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人生ではじめて同人誌に寄稿して、二次創作と真剣に向き合った話
これは、おっさんがアニメにハマって学生時代の熱量を思い出し、良い企画があったのでホイホイと参加して人生ではじめて同人誌に寄稿することになった話だ。とっても良い経験だったので、自分の同人遍歴やスタンスとダイレクトマーケティングを含めて適当に書いてみる。
同人遍歴
人生ではじめて購入した同人誌のことは今でも覚えている。
T2 ART WORKSのカラドボルグというfateのえっちちな本だ。
もっと読みたいのにあまりの薄さに絶望したけど、絵柄の線の細さと眉毛と色調が好きでカラーページを何度も見直してしまう魅力があった。
これをきっかけにTonyさんの画集を買ったり、パン屋のアニメを見て愛をぎゅっとこねこねした音楽をループ再生したりもした。
――けど、ほかに買った同人誌にはここまで感情を動かされるものはなく、学生の金銭事情もあってすぐに買うのをやめてしまった。
薄い本を1冊買うなら同じ値段でページたっぷりの単行本やアンソロジーコミックが買えるというのを許容できなかったのだ。
表紙は良くても内容が微妙というのは罠すぎる。
当時はBlogが流行るさらに前、個人のホームページを開設していたような時代なのでpixivやTwitterなんてものはなく……
作者のことを知らぬままに表紙買いをして、性癖の不一致を感じるというのは普通のことで内容に対してのギャンブル性が高かったのだ。
(身内に詳しい人がいない学生時代を送った人の認識)
――同人という括りでは月姫(ノベルゲーム)を触ったのが最初だったので『同人活動をした結果の創作物』に期待値があがりすぎて、買うたびにガッカリして『やっぱり公式しか勝たん』となったのも大きな要因かもしれない。
そんな感じの人間だったので、以降でアラサーになるまでに購入した同人誌は公式同人のような版元と関係のある作品だけである。
(インディーズゲームならSteamでたくさん買ったけど、これは同人ジャンルに含めてよいのかよくわからない)
オトナになってから理解したこと
社会人となり平均的な収入を得た結果、趣味に投資できるお金は増えたけど時間は少なくなった。
そんな中で『なろう』に小説の投稿をはじめて、感想をもらったり反応がなかったり叩かれたりで一喜一憂していたときに『同人活動ってこんな感じだったんだ』と思うことがあった。(厳密には違うが)
自分の作品が形になるだけでも楽しいんだけど、読み手からのレスポンスがあるとめちゃくちゃ嬉しいのだ。
学生時代に委託書店でなく即売会に同人誌を求めにいったら、人生が違っていた――は言い過ぎだけど、同人に対する価値観は違っていたんじゃないかな。
『同人を買う人も参加者で、本屋で買うお客様の立場ではない』のようなニュアンスの言葉をたまによく見かけるけど、これが腑に落ちた。
『あふれた愛が形になったのが同人で、同人は愛を求めて買うもの』
わたしの今の認識を言語化すると、こんな感じ。
愛というのは俗に言ってしまえば性癖なんで、ここの許容範囲がどれだけあるかで楽しめるか否かの線引がだいぶ変わってくるのはご愛嬌。
――そんなこんなで同人を自分なりに理解したわたしだが、積極的に手を伸ばしてイベントに参加したり、同人を買おうということはしなかった。
だって、二次創作を買っても原作者が儲からないじゃん。
一次創作も無料の投稿サイトで供給過多すぎるので、お金を払ってまで新規開拓する必要なんてナイナイ。(すいません)
同人に参加したきっかけ
社会人になって独身のままブラックに近い環境で働くと病んできて、好きだったゲームも頑張らないとプレイできなくなってくるし、コンテンツを追いたくても時間が足りないので避ける理由を探してしまうし、昔から好きなものにすら受動的になってしまうし、手軽に布団の中でプレイできるという一点が強すぎてソシャゲ(複数形)ばかりをやっていた。
しかも、そのソシャゲたちが時限イベントを強要してくるので、すっごくストレスなんだけどシナリオが人質なのでやめられないという……
しかし、そんな生活に転機があった。
スクスタくんがアニメ化したので軽い気持ちで見たら――
ハマった。
これがもう、すごいハマった。
久々にリアルタイムでアニメを見ようと頑張ったし、なんならアニメ放送前の声優さんの生放送まで見たし、毎週パソコンの前に座って感想を書く習慣ができるまでにハマった。他人の感想もよんでニヤニヤできるし、くたびれていた精神が高校生の頃に戻ったような錯覚すらあった。
休日は筋トレ時間以外は寝たきり生活だったのに、本当に生き返ったよ。
もう虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会が大好きすぎて……
――この気持、まさしく愛だ!(超越してないので大丈夫)
わたしの推しとは別だが、一般層に興味を持ってもらうならこの動画が最適だろう。そんな気持ちでりなりーのMVを貼らせてもらうッ!
――今日のりなりーは幼馴染すら凌駕する存在だ!
ほんと良いアニメなんだよ、アニガサキって。
コンテンツの構成がすっごいポジティブで、見るだけで元気になる。
毎週今日も元気に頑張るぞいという気力が湧いて、アニメ放送期間は人生充実している感がすっごいあった。
毎週のように新しい楽曲とMVが追加されて大興奮し、虹の数だけ良さがあって何度もなんども同じ曲を聴いてはニヤニヤして……わたしの幼馴染は最高だし、足をぎゅっとするのも幼馴染だし、幼馴染のことを一番最初に可愛いと思っていたのは幼馴染だし、本当に幼馴染――虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会は最高すぎましたよ。
でも、どんなコンテンツも終わりがある。
アニメの最終回を迎え、これからは想い出を糧に生きていこう――そんな風に思っていたときに『皆でそれぞれのピースを持ち寄ってアニメの後夜祭(同人誌の制作)をしようぜ』という趣旨のツイートがあって、うおおあああああってなって引用RTしたらその主催者に背中を押してもらえてうおおあああああってなって参加をすることにしたのだ。
実は主催者である環月紙袋先生ェのことは以前から知っていて、
非オタの知人に「同人ってもうかるの?」と聞かれたので、印刷費申し込み費委託経費移動費送料、制作にかかった時間を分かりやすく説明したら、「ただのお金のかかる趣味やん!」と言われたのが今日のハイライトです
— 環月紙袋🐡新刊委託中3月虹後夜祭合同🐬♦✨ (@kanduki_lily) January 31, 2020
そうだよ🥳
このツイートがバズっていたときに同人の制作費とか調べたりして、二次創作の薄い本を売ることで得る利益やもろもろに対して間違っていた認識が是正されたというのが今回のハイライトだったりするのがおもしろい。
自分のことながら、不思議なところで縁が繋がるというのは、なんだかとっても素敵なことだなって思う。
複数人で作る同人誌
わたしが参加させてもらったのは複数の作者で同じテーマの元に作品を持ち寄る同人誌――いわゆる、合同誌というジャンルのものだ。
絵が書けなくても小説や考察で参加でき、同じテーマの元に全員が書いているので『ライバルだけど仲間』という意識で取り組めるのも参加しやすかった。
原稿さえ送付してしまえば作業は完了。印刷などは関わらなくて良いというのも敷居が低く、いざリアルで仕事が忙しくなってもどうとでも対応可能な範囲内というのが社会人としても安心であった。
学生時代に型月とかスパロボのアンソロジーコミックをたくさん読んでいた程度には作家が集合するお祭り感がすごく好きだったし、一次創作を孤独に書いていて作家陣とは交流したことがなかったというのもあり、大勢の中に参加できるというのは未知の体験でワクワクした。
実際の告知ページがコチラ。
なんだか、とっても楽しそうでしょう?
この企画、実に47名の参加者がいるという規模に膨れ上がり、薄い本の背幅が24ミリ、ページ数にして300ページという薄くない本化してしまったのが本当に笑えて大好き。
二次創作と向き合うこと
ガンプラはどんな自由な発想で作ってもいいんだ!
そんな名言と同じように、同人誌に書く内容だって決められた枠内(ガンダムという定義)にさえ収まっていれば、自由な発想で好きに書いても良い。
だけど、二次創作は版権を借りることを黙認してもらうので、そのへんある程度考えてから執筆をしようと思った。
①公式にお金が還元されない
ファンとしては公式に一番儲けてほしい思いがあったので、普段なら購入しない範疇の公式グッズを購入して貢ぐことにした。
へ、部屋着に使うから……
クマ・ヴェルデのポーチは……何を入れればいいかわかんないけど……飾る?
――ともかく、欲しかったパンフレットを購入すると共に不要なグッズを購入することで『必要ないものを買って貢いだ』ので版権を使っている企画に参加させてもらって良いだろうという、自分の中での精神安定を得た。
(3rdライブの事前販売がなければ、デジタルで買ってる音源をCDで買い直すつもりだった)
普段同人に目を向けていない人間でも『同人ゴロ』と呼ばれる概念は認知しているので、好きでやってる自分を正当化したいという完全なエゴである。
あとは金銭だけじゃなく、少しでもファンの人が虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会というコンテンツに触れるきっかけになってくれるように『たのしい』を共有していくことで公式の益につなげたい。
このnoteもそういう面で書いている部分があったりもする。
(残りは趣味と宣伝が半分)
②製作者への利益還元
今回の企画では参加者に原稿料などなく、完成品を1冊もらえるというのが対価だ。利益がないけどノーリスク。
でも、参加者が47名もいるとかなりの量で、発起人の紙袋先生は赤字になってしまうのでは――そんな心配をしてしまった。
同人でお金のことを考えると、少し前に話題になったこの件を思い出す。
わたしは賛成反対どっちの意見も共感できてしまい、どっちつかずでスルーしていたけど立場を明確にしないといかんよなぁ、と。
趣味というのは基本的には消費活動なので、娯楽費に計上されるし同人誌だって赤字になるのは当然だと思う。趣味で儲けたらそれはもう副業だという認識もある。
でもさ、金銭のやり取りをしているのに収支がマイナスになるとか人間の精神衛生的に厳しいなと思ったりもするんだ。
だから、自分のスタンスとしては『勤め先の規約に反していなければ少額だったら儲けていいじゃない』だ。
一次創作ならバリバリ儲けていいと思うけど、二次創作なので――少額。
③原作との乖離の許容
ここからは、二次創作ならではのふつうの悩み。
乖離というのは俗にいうキャラ崩壊というヤツで、本編にはないパンツの匂いを嗅いでクンカクンカスーハースーハーする設定やら、公式ではないカップリングをどこまで許容するかの問題だ。
以前は『二次創作はしょせん公式ではないので割り切って何でも楽しめばいい』と思っていたんだけど、アニメのデュ○○ラ!!で一部のカップリングを推すファンの声が大きいのがつらくて精神汚染され2期を見られなくなってしまったり、fg○で公式外のカップリングで漫画描いている人がバズってるのを見てNTR感で精神が破壊されそうになったり――、他人の目が届く創作物でどこまで設定を崩していくかというのは、かなり重要だと考え直した。無理なものは無理。
合同誌はいろんな人が参加するので、同じテーマに沿っても各人性癖は違って色々ぶち込まれるのは必然だけど、自分が書くなら設定に忠実でいたい。多くの人に無難だと思ってもらいたい。
他の人が書いたものを読むときは雑食性を発揮するので基本的には問題ないけど、受け入れられないものもあると知った。だから、自分で二次創作をするなら原作厨で――とか思っていたのが結論である。
そもそも原作から無理してキャラを崩そうなんて考える必要なんてなくて、自分が見たままの虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会を書けば良いんだけど、
虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会にはちょぼらうにょぽみ先生が描いた狂気の4コマが連載していた過去がありましてね……大好きなんですよ。
既に公式が壊れすぎていて、ヒャッハァ!してみたかった感もあるのだ。
でもまあ、ちょぼ先生並にはっちゃけるのは不可能なので、公式的に『ありそう』という展開以外は書かないという無難な方向性で最終決定をした。
ナイスちんちんはないので、安心して読める小説だよ!
(募集ルールでちんちん禁止だよ! ナイスちんちん禁止!)
④本編で描写されていない設定や関係性の構築
想像してそれっぽく書いた、としか言えないんだけどすっごい悩んだ。猫の性別だったり、時代背景だったり、スクスタ(原作)からアニメとなって消されてしまった(描写されていない)設定だったり……
前述した通り、無難と思ってもらいたいので『これ、ありそう』というのをかなり意識した。
⑤終わっていないコンテンツである
いちばんしんどかったのはコレ。執筆している最中にCDは発売されるし、声優の生放送とかあるし、スクスタくんのシナリオは追加されるし、複数媒体で展開していたりで嬉しい悲鳴ですごく忙しいの。
わたしは『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』という完結したアニメの同人誌を書くんだけど、厳密には世界線が違う他の媒体の設定も拾いたかったので、どこまでをどうするかを慎重に考える必要があった。
継続しているコンテンツということで書き直しを強いられたこともあり、クマ・ヴェルデがふんわりボイスで「ガオー」って言ってメガ粒子砲を撃つネタを書いていたら、
公式くんが「3rdライブのグッズを販売したよ、これがクマ・ヴェルデだよ」と提示してきて解釈違いに「うわああああああ」となったり。
わたしの中では口からエマさんの顔が生えてないといけなかったのだ……
エマさんだから、エマ・シーン(ガンダム)のパロディもあったのに消すハメに……悲しい思い出である。
――ふだんソシャゲの同人誌を書いている人は、どんなスタンスなんだろうか。追えてないコンテンツが結構あったりするのもちょっとドキドキで、他人から見たらどこまで設定の下地に穴があるのか気になってしまい夜しか眠れない。
設定の整合性を保持したつもりだけどガバってる部分は許してください。
おわりに
はじめて同人誌に参加することになって、二次創作と向き合った話はこれでおわりです。あとは参加した同人誌などの宣伝事項などをすこし。
これ、これが参加させていただいた『お台場後夜祭』です!
サムネイルからすごく良いでしょ、幼馴染の前で幼馴染がピアノ触ってるのめっちゃいいでしょ!!!!11
しかもこの同人誌、なんと――特典でしおりがついてくるのです!!!!
――ピンときた人もいるでしょう。
そう、しおり……栞がついてくるのです。
スクスタファンにはたまんねぇ要素だぜ、ヒャッハァ!
特設ページで全作家のサンプルが確認できるので、よければこちらも。
そして、主催者である環月紙袋先生の他の作品もよろしくネ!
わたしの作品はこんな感じのノリ。
文字数的にはこのnoteと同じぐらい、成田良悟先生の影響をモロに受けています。
一人称の短編なんで構成的にはそんなことないけど、意地でも原作要素を拾いに行くぞというスタイルがそれっぽく見える……ハズ。
そんな風に見えるといいなという、わたしの願望かもしれない。
みんなの虹を集めた『オダイバ後夜祭』、どうぞよろしくお願いします!!
成田先生のFate/strange Fakeもよろしくお願いします。(小声)
スキ好き。執筆活動の励みになります。