この世は無常である(法話)

『これらすべてのものは無常であり、苦しみであり、変滅する本性のものである』(『ウダーナ』Ⅲ・10)

 仏教の経典ではあちらこちらで「すべては無常である」「無常」とは「移り変わり少しもとどまらない」という意味です。
 では、何故それほどまでに無常であることを強調するのでしょうか。それは、すべてが実際に無常として存在しているからであり、同時に、わたしたちがその無常に気づかないからなのでしょう。なかなか気づかないから、何度も強調しなくてはならない。
 無常であるものを、いつまでも変わらないものだと思い込んでいる。しかし、思い込みは必ず現実とのあいだにズレが生じます。そして、そのズレは苦しみとなって現れます。
 よく観察すると、私たちの身体も心も、また、世間にあるすべても、永遠に変わらないものは何もありません。無常なのです。無情を説くブッダの言葉は、このありさまに気づくことが、何よりも大切なのだと教えているのです。

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