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図書館の人ってカウンターにいない時は何をしているの?

北海道大学附属図書館(本館閲覧担当) 小林果音

 初めまして。カウンター等でお会いしたり、館内で姿を見かけたりしたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、こうして長々とお話を聞いていただける機会というのはきっとこれが初めてだと思います。

 私は2022年の4月から北大の図書館に入職しました。3月まではこの北大ではないものの学生として大学に所属していた、社会人としても図書館員としてもまだまだ未熟な人間です。
 働き始めて半年の人間が諸先輩方のような素晴らしい文章を生み出すことは、余りにもハードルが高いので、今回は普段私が担当している仕事について少しご紹介します。

 失敗や学ぶことの多さに毎日を生き抜くだけで精一杯ですが、まっさらな状態からスタートした人間から見えているもの、普段カウンターにいる人がカウンターにいない時にしていることを少しでもお伝えできたらと思います。

 主に私が担当している業務はカウンターでの利用者対応を除くと、掲示物の作成・管理と図書リクエストの受付が多くの割合を占めていますので、まずはこの二つについてお話させていただきます。また、私は普段、北大に複数ある図書館(室)のうち、附属図書館本館で業務を行っていますので、基本的に本館内のことについてお話していると思っていただけますと幸いです。
 なお、自身の経験や思考について書き連ねることは、筆者の得意とする文章形態ではないため、稚拙な文となってしまうことをご容赦願います。

 まず掲示物の作成・管理についてです。4月から、館内で行われる設備点検や開館日程の案内の作成・掲示を担当しています。昨年度から本館に足を運んでくださっていた方は、雰囲気などが変わったように感じる方もいらっしゃるかもしれません。
 日々の掲示も利用者の方にわかりやすくお伝えできるよう、試行錯誤しつつ作成しているのですが、ここでは開架閲覧室の配置が少し変わったことに伴って作成したものをご紹介します。

 8月後半に3日間ほど本館は休館していましたが、その際に「教員著作物コーナー」の配置場所が変更になりました。
 「教員著作物コーナー」は、利用者の方からも度々「場所がわかりにくい」という声をいただいており、4月に初めて図書館の中を歩き回り仕事をしていく中で、私自身も場所がわからず迷うような、一目では見つけにくい場所にありました。
 そこで移動を機に、すぐに配置場所がわかる目印となるような案内の作成を行いました。助言もいただきながら、北大のスクールカラーに近い緑を基調として、北大図書館公式キャラクターのほのかとうららも目を引くような看板を作成しました。

 移動してからは配置場所について尋ねられることもほとんどなくなったこともあり、良い掲示ができたのではないかと感じる今日この頃です。
 まだご覧になったことのない方は開架閲覧室3階の蔵書検索端末の後ろにありますので、ぜひ「教員著作物コーナー」を訪れて、図書を手に取ってみてください。

 次に、図書リクエストについてお話します。みなさんは図書館HPの図書館Webサービスの項目の1つに、学生向けの図書を推薦できる「図書リクエスト」があることをご存知でしょうか。実際に推薦できるのは学内の方のみですが、それ以外の方も閲覧室の掲示板でどのような図書がリクエスト・配架されているのか確認することができます。

 では、大まかにではありますが図書リクエストで私が担当している業務の流れを紹介します。
 Webサービスのフォームから送信されたリクエストはメール画面で確認できます。メールが届いたら、リクエストされた図書の情報を確認・調査し、担当内で選定するために1つのファイルにまとめます。電子ブックのリクエストがあった場合は、どのプラットフォームなら取り扱いがあるのか、同時にアクセスできる数はいくつか、などについても下調べして記載しておきます。
 ファイルは大体1週間に1度の頻度で担当内選定にかけます。そこで、北大内の他の図書館に所蔵があるかどうかや価格などを参考に購入の可否を決定します。高額な図書がリクエストされた場合には、担当内の選定の後に選定部会での選定も必要となるため時間がかかる旨の連絡や、それに伴って必要となる資料の作成も行います。
 購入が決定したリクエスト図書は実際に配架する場所を決めた後、図書の購入を担当している別の部署に発注を依頼します。その後図書が届き配架する準備が整い次第、利用可能となった旨が申込者の方に伝えられます。以上が図書リクエストの大まかな流れです。

 実際には発注や配架までスムーズに行かず、申込者の方に確認や連絡をとったり、こちらで流通が確認できない図書が本当に購入できないのか他部署の方に相談したりすることもあります。

 このような流れを経た後に、館内でリクエスト図書が貸し出されているのを見かけた際や、カウンターに受け取りに来られる方の対応をしたりした際には、行っていた業務が実ったように思い、嬉しくなります。

 少し余談ですが、私は図書リクエストの業務以外でも図書の選定を行っています。具体的に説明しますと、図書館には部署を横断したワーキンググループがあり、私は選書作業部会というワーキンググループに参加しています。そこでの業務として、それぞれに割り当てられた分野の図書を選書しています。
 リクエストされた図書の選定とは異なり、1から北大図書館に所蔵されるべき図書を考え探し出すのはまた違った難しさがあります。ですが、図書リクエストとこの業務の両方に携わっていたことで、新たに発見できたこともありました。
 以前「その分野の図書が少ない」という理由で送られてきたリクエストがありました。その図書が担当分野の図書だったこともあり、それ以降の選書作業部会の業務として行う選書では、少し意識してその主題を扱っている図書も探すようになりました。
 選書作業部会で担当している分野には、私自身が明るくない分野も含まれているため、実際に利用している方や学んでいる方の声がバランスの良い選書を行う上で助けになることもあります。一見すると、それぞれが独立しているように見える普段の業務も、そこで得た発見を別のところで活かすことができることに気がつきました。

 最後に、日常的な業務からは少し離れますが、図書館で開催している展示についてご紹介させてください。
 現在「ダイバーシティ・インクルージョン推進本部」と共催で、4つのテーマに関する図書展示を本館2階のオープンエリアで行っています。こちらは昨年度の「北海道大学がダイバーシティ&インクルージョンについてちょっと考える6か月 図書展示」に続く第2弾として開催しているため、見覚えのある方もいるかもしれません。
 今年のテーマは「“ジェンダー・セクシュアリティ”について考える」「“DEI”について考える」「差別やバイアス/偏見に気づく」「“生き方”を模索する」の4つです。今回は付箋を使った交流ボードも設置していますので、みなさんも付箋での交流を通してさらに考えを深めてみてください。
(ダイバーシティ&インクルージョン図書展示開催期間は2022年12月1日~2023年1月31日です。)

 ここまで私の普段行っている業務をご紹介してきました。カウンターに立っている人が普段カウンターにいない時はどんなことをしているのか、少しは伝えることができたのではないかと思います。図書館で働く人、並びに大学図書館をこれまでよりも身近に感じていただけたら幸いです。

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#北海道大学附属図書館 #エッセイ #仕事


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