符亀の「喰べたもの」 20230430~20230506

今週インプットしたものをまとめるnote、No. 137です。

各書影は「版元ドットコム」様より引用しております。


漫画

アンデッドアンラック」(16巻) 戸塚慶文

この世の理を否定する「否定者」たちが、神を斃さんとする物語。No. 124以来の登場です。

昔この作品の良さが「王道展開と意外な見せ場とを同時に進行させること」にあると分析し、最近はあまりその良さが発揮できていないように感じていたのですが、ここに来てむちゃくちゃ面白くなって興奮しています。今年ベストの5作には確実に入るでしょう。

ループ設定を活かし、各展開を「これもうみんな知ってるよね」で圧縮しているのが、曲芸のようなやり口で恐ろしいです。テンポがいいのは当然として、読者が「これ知ってる!」「これされたらこうなるよね!」と当事者として共感できるため、各展開による気持ちよさが増大しています。攻撃力と防御力を同時に上げるような一手であり、正直チートだと思います。どっかでパクってやるからな。


ハイパーインフレーション」(6巻(完)) 住吉九

体から超精巧な贋札を出す能力を得た奴隷の少年が、売られた姉を取り戻すため奮闘する物語。No. 118以来の登場です。

クライマックスに何度も勝利条件が切り替わるところ、気持ちよかったですね。それぞれのキャラの目的は変えずに、その達成のために相手に勝つ条件は変化させることで、話をブレさせずに展開を予想しにくくさせているのが見事でした。

「キャラの目的は変えない」「しかしどのキャラが勝ったのか判定する基準は大きく変える」必要があるため、この演出をゲームで実装するのは難しいかもしれません。プレイヤーの目的や一部の勝利条件をキャッチーにする、例えば「自分が生き残りさえすれば最悪世界が滅んでもいい (できるだけ全員生還を目指してほしかったけど)」とかになるのでしょうか。


ダンダダン」(10巻) 龍幸伸

幽霊を信じないオカルトマニアの少年(ターボババアに呪われる)と宇宙人を信じない少女(宇宙人にさらわれる)の話。No. 128以来の登場です。

最近は目標の提示が不十分でイマイチ乗り切れないなと感じていましたが、後半のThis manが大量に並んでからのバトルシーンは最高でした。モチーフがあるバトル漫画は、それを出した瞬間にThis man編が開幕したと絵で伝えられるのが強いですね。とはいえそれは、本作のそうはならんやろ的な展開に納得感を与えられる画力があるからこそ可能なところも大きいのですが。


今年ベスト5に入りそうな作品を2つも読めて幸せな週でした。おかげでゲムマも頑張れそうで…頑張れました。(これ書いてるのはゲムマ後のため)


一般書籍

ゲムマ1週間前に、歴史書を読む体力が残っているわけがない。


Web記事

『ぷよぷよ』『はぁって言うゲーム』天才ゲームクリエイターの“アイデア出し3種の神器”

『はぁって言うゲーム』の生みの親・米光一成の天才的発想術『フレームを疑う』とは

ゲーム制作者である米光さんのインタビュー記事、全3回のうち2本です。

上の方の記事 (第2回) は、第3回のタイトルにもなっている「枠組みを疑う」の話が一番面白かったですね。「を無視し」「を消し」「のキャラで」のような無茶ぶりワードがシールになった「むちゃぶりノート」で「枠組みを疑う枠組み」を作っているところも、私が「ミニマリアン」シリーズでやっていることに似ていて勝手に親近感を覚えました。

第3回の方は、ルールを削っていくなかで「ルールを言わなくてもわかるように」しているとおっしゃられていたのが印象に残りました。私は単に削るだけだったので、よりいい削り方をまとめた標語として、今後使わせてもらいたいと思います。


フラワーマーケットのデザイナーズノート

さとーふぁみりあさんの、「フラワーマーケット」のデザイナーズノートです。

ゲームに物語性を与えられた点として、いわゆる目標カードである花のバイヤーたちに性格を設定したことを挙げられていたのが、なるほどなと思いました。それを単なる裏設定に留めず、イラストの発注時にしっかり指定しているところも流石だと思います。


ショートショート71『その赤いソファー』

芸人のバイク川崎バイクさんによるショートショートです。あなたこんなのもいけるタイプだったんですか。

「座り心地がいい」というあるある的な感情を、異常に増大化させてホラーに持っていく手法が上手いなと思いました。これはギャグ漫画やコントなどにも使える方法で、そう考えると執筆したのがBKBさんであることにも納得できる気がします。まずはあるあるで共感させ、そこから猛ダッシュで離れていくことで面白さや怖さを引き出す。ウエストランドさんのネタをどなたかかが「やっぱあるあるネタって強いなって思った」と評されていた (「焚き火で語る」か「カズレーザーと松陰寺のチルるーム」かと思いましたが、惜しいやつしか見つけられませんでした) のを、改めて実感しました。


【ゲムマまとめ】行ける。行けない。行ける。行けない。行ける....はぁ。。占いしたくなる気分でゲムマ待ち焦がれてるからゲムマまとめ書くわ。〈気になるボドゲ・ゲームマーケット2023春〉vol.2
【ゲムマまとめ】やはりゲムマといえば気になるトリックテイキングの新作たち。相変わらず上手くはないが、ただただアタシはトリテが好きなのです。〈気になるボドゲ・ゲームマーケット2023春〉vol.4

宣伝枠です。って書くとこちらから依頼したみたいでよくない気がしてきました。

Vol. 2で「RATORO」を、Vol. 4で「シリアリアン」を紹介いただきました。ありがとうございます。


なぜか今更説明書を入稿して今週届けてもらったため、必死に折りまくっています。間に合うのでしょうか。当日朝5時まで折って間に合わせました。(これ書いてるのはゲムマ後のため)

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