符亀の「喰べたもの」 20230618~20230624

今週インプットしたものをまとめるnote、No. 144です。

各書影は「版元ドットコム」様より引用しております。


漫画

ジョジョの奇妙な冒険 クレイジー・Dの悪霊的失恋」(3巻(完)) 上遠野浩平(原作)、カラスマタスク(作画)、荒木飛呂彦(Original Concept)

ジョジョ第3部に登場する人気キャラであるホル・ホースと、第4部の主人公である東方仗助、そしてオリジナルキャラの3人を主軸にした公式スピンオフです。第九十二回以来の登場です。(3巻の書影が版元ドットコムさんになかったので、紹介していなかった2巻のものを使っています。)

前回は予言を漫画化するトト神のスタンドがスピンオフと相性がいいと書きましたが、そもそも敵の、過去の記憶を追体験させる能力が相性ばっちりでしたね。過去回想を違和感なく差し込めてファンサービスできますし、記憶の所持者と攻撃されているキャラとの精神力の差で行動が変わるという設定により短く主人公サイドの格を上げれます。何より、幻覚にすぎないので本体をどうにかすればいい分、読者の想定外の打開策が取れて「どうこのピンチを乗り越えるんだ?」という謎解きが気持ちいです。良質でよくまとまった、素晴らしいスピンオフでした。


ウマ娘シンデレラグレイ」(11巻) 久住太陽(漫画)、杉浦理史(脚本)、伊藤隼之介(漫画企画構成) (原作: Cygames)

オグリキャップを主人公とした、「ウマ娘」のコミカライズ。No. 101以来の登場です。

実際の競馬を元にしているため、本作には「抜きつ抜かれつの一進一退の攻防を演出しにくい」「主人公の戦略が大きく変わらないため結局同じことの繰り返しになる」「主人公が追い込み型のため最後の競り合い以外は実質無意味で読み飛ばせてしまう」などの弱点があったと思います。それがこの巻では、これまで登場したキャラを多数レースに絡ませるという力業により、「キャラの組み合わせごとに攻防を描ける」「キャラごとに戦略が違うため展開の味変ができる」「(史実を知らないと) 誰と主人公が争うかわからないので主人公が追い込みをかける前のやり取りも緊張感を持って読める」と、見事に解決していたと思います。こんな大盤振る舞いは何度も打てる手ではないですが、それでも若干マンネリ化していたようにも思えた本作をちゃんと追っかけてきてよかったと感じさせてくれただけで、いい巻でした。


ザファーストピッチセレモニーライフ」 山本登

一年に一度、始球式で勝負する幼馴染2人を描いた読み切りです。

クライマックスに向けて盛り上がっていくのもいいですし、最後の勝負の後に乱闘を始めて余韻を残さないのもいいですね。これによって、誰にも邪魔できない幼馴染2人の勝負である感じが強調されている気がします。不定期に読み返したいので、ぜひ紙の本で欲しいですね。


結構インプットできた気がして「ダイヤモンドの功罪」を次週に回したのですが、書き出してみたら2巻分しかなくて頭を抱えています。まあ今週は一般書籍も読み切ったのでセーフということで。


一般書籍

扇 性と古代信仰」 吉野裕子

神事における扇が男性のシンボルであるという仮説から、日本の古代信仰における性のありかたにまで論を広げた一冊です。

序盤に筆者さんがアカデミックなバックグラウンドを持たないことが強調されていたのと、本書の核となるアイデアが「扇の元になったらしい蒲葵、地面に刺さったチ〇コに似てね?」という突拍子もなさすぎる見立てから来ている (そしてwikipediaの画像以外、ビロウで出てくる画像がそれっぽくない) ことのせいで疑いながら読みましたが、読み終わってみれば名著でした。

古代における人の誕生とは、神の世界からきた種が女性と出会い、暗く狭いところで耐え忍んだのちに人の世界に生まれ出ることであるとした本書中盤の仮説、それを踏まえた性や祭りへの考察は、今後いろいろなものを考える際のリファレンスとして何度も思い出すと思います。


Web記事

令和5年度著作権セミナー『AIと著作権』

文化庁が行ったAIと著作権に関するオンラインセミナーのアーカイブです。事前に参加登録していたしていたのにすっぽかしてアーカイブで初聴きしました。

AI生成物が著作物の権利を侵害するかについて、その著作物を「享受」する目的の利用かどうかが判断基準例として示されたのが面白いと思いました。この辺りの概念は曖昧だったので、用語化してもらうだけでも少し具体的に考えられる気がします。著作権系の本は数冊買って積みまくっているので、どこかのタイミングで崩さないといけませんね。

あと、こういったビックデータ系の利用に対して平成27年から検討が始まっていたのにも驚きました。やるじゃん文化庁。補助金もくれたし。


40年休載なしの『こち亀』作者に学ぶセルフマネジメントの極意~秋本治の仕事術その1

「こち亀」の作者さんに対する、仕事術のインタビューです。

「こち亀」が最初「劇画風味のギャグマンガ」というアイデアからスタートしたこと、それで行き詰って下町をテーマにしたら再び好反応を得られたことが面白いなと思いました。画風の変化は単に時代によるものかと思っていたので、意識的な変化だったのには驚きました。

なおこのnoteを書いているときに、本記事が2020年のものであることやシリーズものであったことに気づいたので、もしかしたら2回目以降についても今後触れるかもしれません。


電音部」のライブが土日にあり、その余興として同会場で行われるクラブイベントの「電魂祭」というのも同日にあったのですが、その「電魂祭」の1日目にだけ参加しました。前座だけ行くなライブも見ろや。

初のクラブ系イベントだったのですが、2時間ずっとダウンでリズム取り続けて非常に楽しめました。とりあえずお布施としてベストアルバムも買ったので、これから聞いて「電音部」の方も勉強したいと思います。


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