符亀の「喰べたもの」 20230219~20230225
今週インプットしたものをまとめるnote、No. 127です。
各書影は「版元ドットコム」様より引用しております。
漫画
「19番目のカルテ 徳重晃の問診」(7巻) 富士屋カツヒト(漫画)、川下剛史(医療原案)
分野ごとの専門医に分業化した医療界において、本当に必要な医療を見つけ出すためのジェネラリストである総合診療医が患者と対話していく話。第九回以来の登場です。
キャラクター性を表すのに他のキャラと比較するという手法、今までも見てきたとは思うのですが、ちゃんと有効性を認識できていなかったなと感じました。比較によってわかりやすくなるだけでなく、2キャラ分の描写ができ実質的な情報量が増えるぶん文字が多めでも気になりにくいのも、利点だと思います。あと久々に本作を登場させられたのも地味にうれしいです。
「裸一貫!つづ井さん」(5巻(完)) つづ井
オタクで腐女子(1話より引用)な作者とオタクで腐女子(1話より引用)な友人4人が楽しむ様子を描いたコミックエッセイ。第七十七回以来の登場です。
内容は最後までハチャメチャでしたが、主人公であるつづ井さんの描かれ方が感情を押し出しすぎない少しスンッとした感じなおかげで、キツすぎない読み味になっていたと思います。感情表現が乏しいわけではなくむしろ無茶苦茶豊かなのですが、では何がそういう印象を抱かせているのかというと、目の描き方ではないでしょうか。つづ井さんの目はまぶたの下側の線と黒目だけで表現されており、目の形が一見わかりにくいです。さらにまつげが描かれておらず、まぶたの線をそれである (まゆげではない) と認識するのが一瞬遅れます。これらが各表情のフレーム (脳内に典型として浮かぶ表情) との差を生み、感情を過剰に感じにくくしている気がしました。
…なんか書いているうちに論が進みすぎてしまった気もしますが、まあとりあえず連載お疲れさまでした。
「ヤニねこ」(1話) にゃんにゃんファクトリー
ヤニ (タバコ) を吸うねこの漫画です。
「かわいいキャラがクソみたいにタバコを吸う」だけで絵面が強く、さらにそこから動くたびにクズ度が上がるのが、いい意味で終わっています。オチの上にさらに酷いのを天井させられたらそりゃ笑うでしょうよ。
また、「クズ」も「カワイイ」も「バカ」を共通項にできるのにも気づかされました。ねこだから知恵がなくてかわいい行動をしているように見えて、冷静に考えたらクズでヤバいことをしているから酷いオチが待っている。そんな展開のブースターを違和感なく盛り込めるのが、「バカ」の強みだなと感じました。
彼氏の実家にデートに来たと思ったら因習村の生贄にされた女子の、ホラー系ギャグ漫画です。
一回見たシチュエーションを立場を変えてもう一回やるのが、ギャグとして結構強いなと感じました。特に今回の「1回目の被害者は主人公で、加害者はその敵。2回目の被害者は1回目の加害者である敵 (と主人公) で、加害者は味方」の場合ですと、「敵は自分がやられるとは思っていない」「主人公は加害者を味方だと思っていない (敵の増援が来たと思っている)」「読者ももう一回同じリアクションを見ると思っていないし、なんか1人増えてる」と多数の「暗黙のうちに心に入り込んでいた誤り」が解消されるため、面白さが増大しているのかもしれません。
Web漫画のおかげで文字数は稼げていますが、インプット量は足りていなかった週でした。次回頑張ります。
一般書籍
先週まで重たいのと戦っていたので、今週は休みです。この言い訳が使える間はずっとサボる予定です。
Web記事
ゲーム体験を作るためには商品としての4要素 (①メカニクス②世界観③テクノロジー④ストーリー) に加えて⑤ゲームの解釈が重要だとし、その解釈をどうデザインするかについて考察されたnoteです。
言われてみれば確かに似たようなことを考えていた気もしますが、言語化し共有していただけるのがありがたいです。一方、ゲームの解釈のための道筋として挙げられていた以下の4つは全て私にはなかった見方であり、積極的に真似したいと思いました。
また、謎解きやリアルライアーゲームは「ゲーム後解説を含めてエンターテインメントという認識が参加者にある」というのも私になかった発想で、これも面白いと思いました。
ボードゲームカフェの店長さんが、自身がカードをスリーブに入れるかどうかの基準をまとめられた記事です。
「ゲーム中、カードを手札に長く持つか」という視点は私にはなかったので、なるほどと思いました。
漫画というメディアの面白さについて、【異なるテキストタイプのコンビネーション】【漫画における場面転換】【二次元世界における表現の開拓者】【二次元世界における表現の開拓者】の4つを挙げて考察されたnoteです。
上記の4要素自体は私も思ってはいましたが、前半2つを成立させる要因が絵と文章あるいは複数の絵を同時に表示できるところにあるというのは目から鱗でした。
「【伝説の寿司ドラフト】マジック:ザ・ギャザリングのドラフトを知らない人に、その面白さを寿司で伝えたい」
マジック:ザ・ギャザリング (MTG) のルールの1つである「ドラフト」を、パック寿司から1つずつお寿司を選ぶ寿司ドラフトで表現した記事です。
中心のネタは各人のお寿司の選び方なのですが、サブとしてMTG用語ネタが入るのが面白かったです。MTG知識のある人が2人いて、片方の用語ネタにもう片方が寿司との差異にツッコんだり乗っかったりするのも、展開が読めずに飽きにくくなっていたと思います。
「社長室からの電話プレゼンからはじまった『車のサブスク』が申込者数15万人を突破。『定額カルモくん』の成長の裏側。中古車のサブスクが成長を早めたワケ。」
車のサブスクサービス「定額カルモくん」へのインタビュー記事です。有料部分もありますが、私が読んだのは無料部分のみです。
どの情報も面白く、勉強になりました。ただの営業電話と思われないように社長が直接電話していることを暗に伝え、本命の会社には準備を整えてから直接出向いた話は、営業のやり方として参考になりました。納期を必要日数でなく期日で表示すると欲しい日に間に合うかわかりやすくなった話など、顧客心理の対応面で興味深い内容も多かったです。
ゲームマーケット2023春に向けて、そろそろ製作が忙しくなってきました。インプットに割ける時間が減るのはこの連載にとってつらいですが、いい感じにサボりつつ頑張ろうかと思います。
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