符亀の「喰べたもの」 20200927~20201003

今週インプットしたものをまとめるnote、第二回です。

漫画

水は海に向かって流れる」(3巻) 田島列島

下宿先で出会う2人のボーイミーツガール物語。ただしヒロインの母親は10年前主人公の父親とW不倫して家を出ていった。ヒロインはそれを知っているが主人公は知らない。そんな話。

2巻までは「口当たりのよく後味さっぱりな毒」という感じでしたが、最終巻の3巻ではまた表情を変えてくれた感じがします。

なんというか「アイドルマスターシャイニーカラーズ」に似ているところがあって、しんどいけどやさしい世界の話だと思います。順風満帆ではないですし、そのジャンル(これはボーイミーツガール、あっちは萌え系ソシャゲ)ではなかなかないようなキツいシナリオや「やってくれたな」感のある展開を畳みかけてはきますが、最後はハッピーエンドではないかもしれないけどビター~グッドエンドぐらいで終わってくれる感じ。

どっちかのファンの人は、もう片方も試してみてください。そして相違点についてコメントください。

お近づきになりたい宮膳さん」(2巻) 秋タカ

お嬢様学校出身のヒロインとヤンキー中学出身の主人公とのラブコメ。

あーそうか。Twitter連載漫画で「男と女がつかず離れずの距離で特に進展ないままイチャイチャしてる」やつが多い理由って
「飛び飛びに読んでもOK」「たまたまRTで回ってきても分かる」というTwitterに最適化された仕様なのか。
https://twitter.com/R_Nikaido/status/1145933557346394113?s=19

このつぶやきを見て非常に納得した覚えがあった(そして今回無理矢理探し出してきた)のですが、その点この漫画は「お近づきになりたい」という三歩進んで二歩下がるをメインテーマに据えており、進展しないことが作品の味にできているのが見事なポイントだと思います。

といいつつ巨視的に見れば少しずつ関係が進んでおり、雑誌連載化してからは過去編のようなずっと読んでいる人向けの話も入れ、さらに単行本書き下ろしにはその話のヒロイン視点をぶっこむなど、ターゲティングとそれへの最適化を考えるのに非常にいい例だと思います。

鬼滅の刃」(22巻) 吾峠呼世晴

言わずと知れた超人気漫画。この巻は、ラスボス1体に主人公サイドが総力戦を挑むラストバトルの巻です。

鬼滅というのは少年ジャンプのバトル系漫画の中ではかなり静かな漫画(例として、誰かが斃されたときに味方が大声で叫ぶシーンがかなり少ない)という印象だったのですが、この巻ではラストバトルの盛り上げのためか、珍しく熱い演出が多用されている印象を受けました。

ですが何が「熱い印象」を与えるために有効に働いているのか、何が今までの巻と違うのかについてはまだ表面的な部分しか分析できておらず、今後他の巻と比較することで論を深めたいと思います。

マッシュル-MASHLE-」(3巻) 甲本一

家族を守るため、魔法学校で主席を目指すこととなった主人公。しかし主人公には魔法の才能が無く、その代わりに筋力による魔法(っぽい力技)によって敵達に挑むのだが、という話。

私も3巻読むまで気づかなかったんですが、これ当然主人公以外の登場人物は魔法が使えるので、今回みたいに仲間の活躍を描いたり分断されて主人公関係ない戦闘に話使ったりすると普通の魔法バトルになるんですよね。

他のキャラも濃いので今のところ普通に面白いのですが、やはり変わり種的な作品で普通に話が進むのは読者が飽きるリスクが高いと思うので、これからどうなるのかに注目していきたいところです。

先週予告した積読についてはあまり崩せず、崩したやつに限ってハズレだったりもしたんですが、体力を使うからと後回しにしていた「水は海に向かって流れる」がとてもよかったので今週は満足です。


一般書籍

横井軍平ゲーム館」 横井軍平、牧野武文

ダックハントやロボット(共にスマブラのアレ)、ゲームウォッチ、ゲームボーイの産みの親である横井軍平氏が、自らの作品について語ったインタビューの文庫版。

一言で言って最高でした。氏の哲学として「枯れた技術の水平思考」というフレーズが一人歩きしている面がありますが、この本では氏の思考過程をなぞるエピソードをふんだんに紹介しており、その脳内の一部を覗けたような気分になります。

ゲーム作りだけでなく、製品や作品といった全ての「モノ作り」に関わる人が読むべき本だと思います。

昨日かなりよさげな本を数冊仕入れてきたので、再来週ぐらいからそれらについても紹介できればと思います。


Web記事

ぼくが面白くなかった『Fall Guys』、妻が楽しんだ『Fall Guys』。対戦マルチプレイゲームでひとりのコアゲーマーが振り返った「楽しい」の感情

タイトルが長い。あと一文字で3行になるところだったしスマホだと3~4行で表示されている気がします。

それはさておき内容ですが、端的に言えば「練習しなきゃ勝てねーゲームなんか普通のプレーヤーには面白くねーんだよ、まあそういうのが我々は好きなんですけどねー」という感じ。

この辺は格ゲー全盛期から衰退期にかけての議論や、PUBGの大ヒットからフォートナイトにシェアを奪われるまでにも通じるところがあります。
(余談ですが、入り口が優しかったり勝つ以外の楽しみが用意されていたり以外はフォートナイトの方がやることが多く難しい点、上記記事ではどちらも「楽しい」ゲームとされている点も面白いです。また、フォートナイトには一人用のオフラインモードがなく、本番の前に練習することすらできないのも興味深い点です。)

せっかくなのでボードゲームにも視野を広げると、そもそもほとんどのボードゲームで「一人で練習する」というのが想定されていない感があります。
トレーディングカードゲーム(遊戯王とか)では、「一人回し」という作ったデッキが本当に機能するかを一人で試す文化がありますが、それ以外ではせいぜいカードを覚えて各戦略が成り立つ確率を数学的に求めるぐらいな気がします。

まあその辺が嫌いだからいわゆる「重ゲー」をやらない人も多いのだと思いますし、その辺が「テラフォーミングマーズ」が人気な理由な気もしますが、本編から離れてきたのでこの辺で。

デジタルカードゲーム時代にデッキ構築を面白くする手法を考える

一番いいデッキが即研究出来て即広まって即コピーできる今、デッキを作る面白さをどう担保できるのかを考察した記事。この「デッキ構築」とは、「ドミニオン」などのデッキビルド系ゲームのことではなくトレーディングカードゲームで自分のデッキを考えて作ることを指します。

これを見て連想したのがポケモンでして、今ポケモンの最新作は
・使用率上位のポケモンがランクマッチ(ガチ戦みたいなモノ)で使えない
・キャラ数が多すぎるので、トップに対してメタになるマイナーなポケモンがいる確率が高い
・そもそもまだ一部のポケモンが使用できないので、今までの王道戦術がそのまま流用できない
・先にお互いの手持ち6体を見せ合い、その後その中から使うポケモンを選ぶため、メタ要員を実際に使うかは相手を見てから決められて活躍させやすい(邪魔にもなりにくい)
・この選出時も実際の戦闘時も制限時間があり、1ターン分のアドバンテージが大きいので、マイナーで何してくるかわからないのも強みになる
・ポケモンの育成方法(育成論)を投稿する巨大なファンサイトがあり、そこで斬新なものを投稿することが十分研究へのモチベーションになる
・研究が辛い人は、上記サイトから強そうなのをコピペしたり、レンタルされているパーティを使えばいい
など、研究したい勢とそうでない勢とのバランスを考える際に参考になる点が多いと思います。まあ一番は巨大なIPによるファンコミュニティの大きさとデッキパーツ(ポケモン)の多さが強みなんですが。


一般書籍を大量に仕入れたり、入荷しなかったせいで買いそびれていた漫画を一気に注文したりしたので、再来週あたりからより濃いものをお届けできるかもしれません。
まあその辺からゲムマに向けて忙しくなってくるので、普通に更新するのかすら不明なんですがね。

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