符亀の「喰べたもの」 20230625~20230701

今週インプットしたものをまとめるnote、No. 145です。

各書影は「版元ドットコム」様より引用しております。



漫画

ダイヤモンドの功罪」(1巻) 平井大橋

スポーツを楽しみたかっただけの天才少年が、その才能のせいで自分ごと全てを不幸にしていく物語です。

グロテスクな話ですが、鬱っぽい感じはそこまでなく、これ系の話の中では読みやすい気がしました。その理由は、主人公の「野球を楽しみたい」という目的が叶う瞬間があるからだと思います。すぐ壊れるのが明らかだとしても、もしかしたらこの少年は幸せになれるのかもしれない、幸せになってほしいと思わせてくれるから、主人公の顛末が気になって読み進めてしまう。わずかに望みがあることで、鬱系の話でもハラハラできるというのが学べてよかったです。余談ですが、こういう先が気になる仕掛けを「ミステリー」と表す脚本系の本を途中までで積んでおり、引用のためにもさっさと読み切った方が良い気がしてきました。

また、このように幸せと不幸とをいったりきたりするためには、主人公が心から束の間の幸せを享受してくれないといけません。幸せの中で主人公すら「どうせすぐ終わる幸せだから…」と考えているようでは、もしかしたら幸せになってくれるのではという予感が生まれないからです。本作の主人公は愚かさを感じるほどに自分の才能の攻撃性を理解していませんが、それが本作のハラハラ感を増しています。最初に他の子どもから非難され、主人公を被害者として描いているのも、読者が彼に幸せになってほしいと思わせるための誘導として上手いと感じました。


神さまがまちガえる」(1~3巻) 中谷鳰

「バグ」が起こる世界の、非日常な日常を描いた物語です。

2巻終盤で主人公の生い立ちが判明してから、物語がより面白くなったと思います。ただこれが、バグる世界という世界観の謎だけでなく主人公の謎が判明したから面白いと感じた (世界を解き明かすだけでは面白くない) のか、本作における「ミステリー」が判明したから面白く感じた (バグる世界という設定は舞台設定にすぎずその原因が探られそうにないので「ミステリー」ではない) のかというのがまだわかっていません。他の作品と比べながら、いつか自分の中で結論を出したいと思います。


今回は、作劇における「ミステリー」について考察した週でした。さっさと元ネタの本を読み切った方がいいんでしょうね。そもそも積読がよくないんでしょうけどね。

そういえば3巻発売を機に積んでいた「神さまがまちガえる」を読んだわけですが、2巻以降が個人的な好みだった (逆に言うと1巻の時点で読んでいたら続刊を買わなかったかもしれない) ので、積んでいて正解だったのかもしれません。そんなパターンもあるのか。



一般書籍

先週1冊読み終わったばかりですが、今週も読破まであと一歩のところまでしっかり読書できました。じゃあ読み切れ。


Web記事

イーオンズエンドについての短考察:外殻としてのキーワード効果

イーオンズエンド」のリプレイ性を高めている理由の考察noteです。

キーワード能力の意味がボスごとに変わるというメカニクス、というよりその後の考察で出てくるキーワード能力が強化されるメカニクスは、以前より「カードが直接強化されるデッキ構築」として考えていたものなので先に言われたのが悔しいですね。まあむしろ、うちばこやさんと発想が被ったのは誇るべきでしょうか。


〈すごろくや〉代表・丸田康司さんに教わる、最新ボードゲームの世界。

ボードゲームのこれまでとこれからについて、すごろくや代表の方に聞いたインタビュー記事です。

ボードゲームの認知が広がったきっかけとして、ヒットを打ったら伊集院さんのラジオで宣伝してもらえる企画を挙げてらっしゃったのが面白いと思いました。こういう当事者だけが知っているちょっとした歴史を文字に残してくださるの、とてもありがたいですね。


【いくら稼げるの!?マーダーミステリー!?~クリエイター編~】
【いくら稼げるの!?マーダーミステリー!?~店舗編~】

マーダーミステリー作家兼マーダーミステリー専門店代表のイバラユーギさんが、その売り上げと稼ぎ方のポイントを公開された記事です。

まず、シンプルに (おそらく業界トップクラスではあるでしょうが) ここまでマダミスの売り上げ額が大きいとは思っていませんでした。そのうえで、3年前に制作されたシナリオがまだ一線で活躍しているということは、供給が飽和してレッドオーシャンなことにはなっていないのかなとも感じました。市場規模的にも一発ホームランは確かに難しそうですが、記事にある通り継続して制作できるクリエイターにとっては夢がありそうですね。


だれに聞いても『パラノマサイト』の評価が高い。その理由を制作者に聞いてみたら、プレイヤーを飽きさせないために連載漫画のようなライブ感で見せ場を差し込みまくっていた

パラノマサイト FILE23 本所七不思議」のディレクター兼シナリオライターである石山貴也さんへの、本作の魅力に関するインタビュー記事です。

全部切り出したいぐらい、学びに満ちた記事でした。それでも1つだけ抜き出すなら、「大切なのは時間的なボリュームではなく『密度』」「でも評判がよくなかったらその前提がすべて崩れる」のところでしょうか。短時間で面白いゲームを作ろうとしている私にとって、その方針は時流に合っていると太鼓判を押してもらいつつ、面白くなければ意味がないと喝を入れられたような気分になりました。

他にも、キャラクターはいい人ばかりでいい、テンポのよい文章のためには「『見てわかることは言わない』とか『感情をセリフに込める』」、立ち絵だとアクションは難しいが視線の演技はできる、あえて詰まる部分を作って体験を共有してもらう、配信を見る人は配信者のファンで元々買う予定がない人のはずなので配信禁止にする意味は薄い、とその時々に応じてどこが刺さるか変わりそうな良記事でした。題材のゲームは遊べてないので、セール時に買いたいですね。(これ書いてるときにはもう終わってた)


世界初公開|「#拡散の科学」なぜ人はリツイートするのか?

Twitterで拡散してもらうために、人がツイートを拡散したくなる気持ちやどのようなツイートが拡散されているのかを調べた記事です。本編のpdfはこちらです。

熱量の広がり方を、「自分が感じたもの共有したい (直感)」「情報をみんなに知っておいて欲しい (知識)」「他人の意見を借りて自分の意見を主張したい (主張)」「自分と同じ価値観に触れられて嬉しい (納得)」「誰かの/何かの力になりたい (声援)」「自分の欲望を満たしたい (欲求)」の6つに分け、それらを細分化しながら3つずつポイントを挙げた、勉強になるpdfでした。私のゲームだと、相性がいいのは「直感」の中の「WOW」ですかね。


Tokyo Witch - YouTube
We On The Night (ANKI Remix) - YouTube
黒鉄たま (CV: 秋奈) - いただきバベル (Aiobahn Remix) [Official Music Video] - YouTube
Change - YouTube
PEEK-A-BOO feat. Masato Suzuki & Cateen(Hayato Sumino) with Azabu Gakuen OB+Orchestra/PIKOTARO(ピコ太郎) - YouTube

今週はYoutubeのレコメンド機能がかなりいい仕事をしてくれたので、お気に入りをまとめました。

特にTakahiro Aokiさんの上2曲は再生回数1桁とかの時にレコメンドされてドはまりしたので、再生回数だけ見て無視しなかったあの日の私に感謝ですね。再生回数の3%ぐらいは私です。


ハヤシさん主催のABCオフに参加しました。会場がnote placeというnote関連の施設で、駅チカかつ広々としたオシャレ空間でゲームができる、とてもいいイベントでした。私のゲームも遊んでいただけましたし、「シリアリアン」でお世話になっているすごろくやの方にもご挨拶でき、大変ありがたかったです。このイベントについてnoteでなんか書くと次回開催がしやすいかもとか言われましたので、今更書きました。

で、その帰りにtwitterを見て知ったのですが、私がルールを担当しました「RATORO ラトーロ」がTable Games in the Worldさんの新作評価アンケートで21位にランクインしたそうです。このランキングと私のゲームが相性が悪い (好みが分かれる系は低評価も一定数受けるため、平均が4.0以上になりにくい) のでこれまでランクインを逃し続けていましたが、初の入賞でありがたい限りです。投票してくださった皆様、ありがとうございました。


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