符亀の「喰べたもの」 20240407~20240413

今週インプットしたものをまとめるnote、No. 186です。



漫画

コワい話は≠くだけで。」(3巻(完)) 景山五月(漫画)、梨(原作)

提供者のコワい話を、深掘りなどせずただ聞いて描いてまとめただけの怪談集です。No. 148以来の登場です。

いやー、すごい。見事なギミックと完璧な終わり方で、今年面白かった漫画ランキング暫定1位に躍り出ましたね。

オチについては本編を見ていただくとして、それによってこれまでの話の意味付けを変えてしまったのに、つまりは全て仕組まれた話にしてしまったのに、陳腐な印象を受けなかったのもすごいと思います。ギミックが上手いというのは、裏を返せばうまくいくような話を作り上げたということで、作り物であると明かされた怪談ほど怖くないものはないはずなので。

その理由は、その意味付けが、これまでの仕込みによって読者が抱いていた謎に対する答えになっていたからかなと思います。言い換えれば、読者が望んでいたものが来たから、そこに対して反発しなかったのかなと。これまで読者が「景山さん」の結末を一番気にするように誘導されていたために、その答えによってこれまでの怪談の格が落ちようと、答えが得られたのだからどうでもいい状態になっていたのかなと。そして、その答えがちゃんとホラーだったうえに斬新で見事な解決だったから満足してしまったのかなと。だいぶまどろっこしい言い方になってしまっているの、ネタバレに配慮しているせいであって私の筆力の問題ではないと信じています。

あ、あと、単行本オマケの原作→ネーム→編集長コメント→本編の流れがあまりに最悪で笑ってしまったので、ぜひ連載を追っていた人も単行本で読み直して欲しいですね。

このオチによって、本作は安全図書となりました。すべておしまいです。みなさまもあんしんしてお読みください。


ニクバミホネギシミ」(1巻) パレゴリック

オカルト雑誌編集者だった叔母の死の理由を探るため、彼女と友人の心霊経験を探る回顧録ホラーです。

以前「安全だと思っていた消費者の世界がメタ的な手法により予想外の方法で脅されたとき、人はホラーを感じる」という仮説を立てましたが、その観点で言えば、本作は「ヒロイン枠が死ぬ」という形で読者の安心を脅かしてきます。メインキャラがこんなにグロく死ぬなら、いつ何があってもおかしくない。そういう安全圏の侵し方もあるのだなと勉強になりました。

ただ、逆に言えばもう1人のメインキャラは死なないことが確定していますし、話の都合上ヒロインが死ぬ話をしたら連載も終わるはず (つまり、結局メインキャラは死なないはず) なので、冷静になると何が起こるかわからない漫画ではないんですよね。まだ1巻ですし、怪奇現象のビジュアルは無茶苦茶いいので、ここからさらに想定外の脅かし方をしてきてくれるのを期待しています。


3つの願い

どんな願いでも3つだけ叶える「悪魔の首」を手に入れた大富豪の願いを描いた、コメディ読み切りです。

これ、初見も笑いましたしこの記事書くために何回か読み直したときも笑いましたし、無茶苦茶面白いと思います。読み返しすぎて、もう最初のシリアスさすら面白い気がしてきました。いや冷静に考えたら、たった3ページで状況説明とシリアスな雰囲気によるフリとを両立しているのもすごいんですけども。

このシリアスからギャグへの転落が自然なのも素晴らしく、序盤から予想される展開から一気に脱線するので、普通は読者がついていけなくなったり白けたりすると思うんですよね。ですが、本作では読者と同じように困惑する「悪魔の首」を配置して、作中のテンポと読者がズレるのを避けています。さらにボケ役、つまり読者と「悪魔の首」を振り回す役である大富豪もすぐに茶目っ気を見せ、ギャップにより読者の興味を引くのに成功しています。予想外の展開を作りながら読者の心を離さないやり方の一例として、いい参考文献になる作品に感じました。


気に食わない女の話。

92歳のおばあちゃんと、「気に食わない女」である老人ホームスタッフと、癒しである近所の少女とを描いた読み切りです。

(以下、本編のネタバレが含まれます。)

時系列の誤魔化し方が上手い作品でした。最初の3ページ分、冷静に見ると「デイサービスやデイケアでなく老人ホームにいるおばあちゃんが家に帰っている」「ページが変わると車椅子から降りて元気に立っている」「クリスマスから数ヶ月後のはずなのに数歩しか走っていないはずの女の子の息が白い」と無茶苦茶ですが、モノローグの流れを追っかけてしまうのと漫画自体が読みやすいのとで、初見は違和感に気づきませんでした。こういう大きな仕掛けがある作品ではネタバラシまでにどれだけ伏線を仕込めるかが肝だと思うのですが、本作はその隠し方も見事ですし読み返せば堂々と仕込まれているしで、すごくきもちいい作品だと思います。


なんか、久々にホラー漫画の週になりましたね。おかしいな、「コワい話は≠くだけで。」と同時にあと5冊は買ったはずなんですけど。彼らは一体どこに積まれてしまったのでしょうか。


一般書籍

ゲムマ前になってきて読む時間ないです!と思いきや片道1時間半電車に揺られないといけない日があったので1冊読み始めました。さあ読み終わるのはゲムマ前か後か。


Web記事

ボドゲ制作費用(中量級ゲーム「イグナイター-魔窟の結晶-」の場合)

ゲームマーケット初出展の方が、そのゲームの制作にかかったお金の収支についてまとめられたnoteです。

シュリンクをテープ付きのOPP袋にするなど一部もっと安くする代替案もありますが、基本的にはそこまでやるならそれぐらいかかるだろうという金額で、ボドゲ作るのってお金がかかるんだなあと思いました。7年ボドゲ作ってるやつの感想か?


アイドルマスターは変わりつつある ヴイアライヴ“最終声明”ライブに見た筋書きのないドラマ

アイドルマスターの「PROJECT IM@S vα-liv(ヴイアライヴ)」において、そのアイドルデビューを賭けたライブと、これまでのヴイアライヴやアイドルマスターシリーズのバーチャル展開についてのまとめ記事です。

私はヴイアライヴを追っかけていないのですが、それでも応援してきたプロデューサーの人たちの感動が伝わってくるようなまとめでした。後半のアイドルマスターシリーズにおけるバーチャル展開の歴史も含め、どこかで見返したくなりそうな気がしたので、ここにメモしておきます。


デッサンとかいらなくね?に答えてみる。

絵を文字として捉え、デッサンをその書き取り練習として説いた記事です。

この概念は知りませんでしたし、デッサンを読み書きの練習だとする考え方はこれまで聞いてきた話をよりわかりやすくする導線になってくれたと感じました。


漢字螺旋

漢字を上下または左右に分解して繋いだ、パズルのような作品です。

折れ曲がるところで味変がなされる螺旋状の配置、部首を白抜きで配置することによる見た目のアクセントや整列感と、企画自体の発想以上に魅せ方が上手いと思いました。


アニメ スナックバス江

ハッハッハ。


ボードゲームトライ!」に出展しました。こういう試遊ありのイベントは、過去作もお求めいただけるのでありがたいです。むしろゲムマ直前にしては新作の需要が小さくて、宣伝できていない現実を叩きつけられた気もしますが、まあゲムマ本番で見せつけてやればいいんですよハッハッハ。


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