符亀の「喰べたもの」 20220717~20220723
今週インプットしたものをまとめるnote、第九十六回です。
各書影は、「版元ドットコム」様より引用しております。
漫画
「それでもしますか、お葬式?」(4巻(完)) 三奈仁胡(原作)、岡井ハルコ(漫画)
![](https://assets.st-note.com/img/1659277594692-EBlucE27lQ.png)
おくる人たちの様々な事情を受け止めながら、葬儀社の新米社員が自分にできることを探し奮闘する物語。第十八回 (名前だけなら第七十八回にも登場) 以来の紹介です。
最終巻らしく、これまで1巻につき2~3エピソードが基本だったのに対し5エピソード収録 (うち3つは1話完結) という、急ぎ足の巻でした。しかし本作においては、むしろこれぐらいがちょうどよかった気もします。というのも、本作は葬儀にまつわる問題を軸に人間ドラマを演じさせる形式で話が進み、最初と最後の問題提示および解決パートがこの作品の特徴になるためです。1エピソードが長引くほど、単なる人間ドラマの部分が長くなり、他の作品との差別化が難しくなります。むしろ序盤は短いエピソードで本作の特色を出し、キャラを理解して愛着がわいてきた頃に長編を出していたならば、面白さが伝わりやすくもう少し連載が続いていたのかなという気もします。
と批判的なことも書きましたが、お仕事モノと人情モノの面白さを併せ持つ佳作だったのには間違いないと思います。
コマ割を使って2人の目線を対照的に演出するのが上手いなと思いました。上のリンクはtwitterの方ですが、そっちだとページ遷移時にアニメーションが入ってアハ体験的な部分がわかりづらく、pixivで見た方がそこの面白さが増すかもしれません。オチも、皆まで言わなかった部分を別の表現で示してくれる感じが、読解力に乏しい私でも正解を確信できるので好きです。
あとpixiv版、キャプションにトドメを刺されました。そんなんズルいわ。
一般書籍
「なぜ科学はストーリーを必要としているのか」 ランディ・オルソン(著)、坪子理美(訳)
![](https://assets.st-note.com/img/1661339714360-dwhXAixHvq.png)
ハーバードで博士号を取り終身在職権を得つつもハリウッドで監督脚本家になった筆者が、科学の問題を解決するためにストーリーの力を使える可能性を説いた本です。
非常にいい本でした。「そして、しかし、したがって」という接続詞により簡潔にストーリーを示す「ABTテンプレート」をはじめ、知見にあふれた本でした。科学者として研究内容を伝えるにも、ゲーム制作者としてストーリーをボードゲームに導入するにも、有効な知見が詰まっていたと思います。
ただ、無の結果 (意味がないことがわかった) がストーリーのなさからつまらなく感じやすいことは散々示されましたが、それをどう伝えるべきなのかが解説されなかったのは残念でした。そこを伝える、もしくはストーリーに代わる新たな伝え方の理論を提唱してこそ、科学とストーリーの付き合い方に革命を起こせたのではないかと思います。
むしろ、科学関係者以外の方が、ストーリー的につまらなくなることが確定してしまったモノに向き合わなくて済むのでこの本の内容を100%使えるのではないかとも思います。おおABTテンプレートっぽい形に収まったぜ。
Web記事
トレーディングカードゲームであるデュエル・マスターズのアプリ版デュエプレにおける、「サーチカードを使うと3種類しか候補が表示されない」という仕様「探索」についてのnoteです。
「探索」の利点として、今後の展開が読みづらくなって運要素が透けてしまうというのは盲点でした。テンポ面の利点には思い至っていましたが、公開情報部分にもランダム性を持たせることでかえって考え直しによるテンポロスを生んでいる可能性は思いつけておらず、勉強になりました。
アイドルマスターシャイニーカラーズに登場するカードの1枚「夜よこノ窓は塗らないデ」に込められた意味の考察noteです。
ストーリーに複数の軸があり、それがタイトルとして重なることでまとまりと考察のとっかかりを作っている。こういうやり口をいつか真似してみたいものです。
2021年M-1決勝進出者のうち、優勝した錦鯉さん以外の全組へのインタビュー記事です。
全記事読みましたが、かなり充実した内容で満足いたしました。特に、名刺を配るつもりで子どもにもできる漫才を披露したと語るランジャタイさん、しゃべくり漫才にはキャラクターを伝えるための知名度が必要だと語るゆにばーすさんの記事が勉強になりました。
「『僕も含めて99%の人は才能がない…でも天才でなくてもM-1優勝できる』パンクブーブー&笑い飯…M-1王者が芸人志望者に教える“授業の中身”」
上と同じ記者さんが書かれた、吉本の養成所NSCで講師をされているM-1王者2人へのインタビュー記事です。
対談記事3本のうち、一番パンクブーブー佐藤さんの分析が面白かったものを挙げました。私はゲーム制作時、メカニクスが変な分フレーバーは王道にしたがるのですが、逆に「ちょっとだけニュアンスを変える」的な作り方もいいなと思いました。
ボードゲームカフェで同人ボードゲームが遊べるイベント「#otamake」も始まり、新作の制作もそろそろ煮詰まってきて、と地味に忙しかったものの、なんとか厚めの一般書籍が読めてよかったです。問題はそれ級があと十冊弱あることと、セールだったので漫画を数十冊買ったのが来週ぐらいに来ることです。というか執筆が1週間ずれてるのでもう来てます。タスケテ。
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