【アメリカのお酒メモ②】カリフォルニアのワイン
カリフォルニアワインについての知識を備忘用にまとめてみました。以下のバーボンのまとめポストのワイン版です。これまた完全に人が見て意味があるものかは全く自信ありません。
概要
アメリカのワイン生産量の8割がカリフォルニアで生産されている。
アメリカは世界最大のワイン消費国であるが、一人当たりのワイン消費量でいうと、フランス等に比べて非常に少ない。
ラベル規制
ヴィンテージの表示規制
アメリカ法上は、95%以上その年のブドウを使わないとならない。
ラベルの詳細
“Estate Bottled”とは、生産者がワインに使用するブドウのブドウ畑を所有していることを意味する。
“Grown, Produced and Bottled By”とは、生産者が全てのブドウを栽培したことを意味するが、ブドウが調達された畑は、ワイナリー所在地とは別のAVA(政府公認ブドウ栽培地域)である可能性がある。
“Produced and Bottled By”とは、生産者が75%以上のブドウを発酵させたことを意味し、他社が発酵したワインをブレンドすることも許容されている。
“Made and Bottled By”とは、生産者がワインの原料となる葡萄の少なくとも10%を発酵させたことを意味する。
“Cellared and Bottled By”又は”Selected and Bottled By”とは、生産者が発酵したブドウの量が10%未満であることを意味する。
“Vinted and Bottled By”とは、生産者が他の場所で作られたワインを購入してブレンドしたり、他のセラーで保管してもらっていたりしたことを意味する。
産地名の表示
カリフォルニアの場合、エチケットにカリフォルニア州の名前を表示する場合には、100%カリフォルニア産のブドウを使う必要がある。County(郡)の場合には、75%以上、AVAの場合には、85%以上、という米国の規制が適用される。
Napa County内のAVA
Napa Valley
Napa Countyの約半分を占める大きなAVAであるNapa Valley。San Pablo Bayの北端に接し、東西を二つの山脈(東のVaca Mountainsと西のMayacamas Mountains)に挟まれている。太平洋側から来る雨雲、内陸からやってくる暑さが山脈によって防がれ、ブドウの生育にいい状況が作り出されている。Napa Valley AVAの中にも、16個のSub-AVAがあります。
Los Carneros:南端。西隣のSonoma Valleyと共有されている。San Pablo Bayの影響で、南に行くほど平均気温が低くなるのがNapa Valleyの特徴。PN、CH、MR、SY中心。
Oak Knoll
Yountville
Stags Leap:Yountvilleの東。
Oakville:最も人気のあるAVAの一つ。気温温暖。日較差が大きく酸味を保ちやすい。ボルドー品種主体。
Rutherford:Oakvilleと共通。やや土っぽさを感じるのがこのAVAの特徴。
St. Helena
Calistoga:北端。夏の猛暑で知られる。
Howell Mountain:山腹斜面のAVA。東側のVaca Mountainsの北寄りのAVA。標高が高く、降霧線の上に位置するため、他のAVAより暖かく、乾燥している。長熟向きのCSのイメージ。
Atlas Peak:東側のVaca Mountainsの南寄りのAVA。
Chiles Valley
Wild Horse Valley:東隣のSolano Countyと共有されている。
Coombsville
Diamond Mountain:西側のMayacamas Mountainsの北寄り。Calistogaの横。
Spring Mountain:西側のMayacamas Mountainsの北寄り。St. Helenaの横。CSに加えて、MRでも有名。
Mt. Veeder:山腹斜面のAVA。西側のMayacamas Mountainsの南側を構成する。谷底平地のAVAと比較すると、涼しく、温度差も乏しい。
Youtvilleにある主要ワイナリー
Dominus Estate:Robin Lain(Inglenookを相続したJohn Daniel Jr.の娘)とペトリュスのオーナーMoueix(ムエックス)家が共同で作ったワイナリー(今ではMouiex家が完全所有)。Inglenookの畑だったNapanookを使っている。サルコジ元大統領の晩餐会ではドミナスがサーブされた。
Domaine Chandon:シャンパーニュのChandonが1973年に設立。
Kapcsàndy
Stags Leapにある主要ワイナリー
Stag's Leap Wine Cellars:パリスの審判でフレンチワインに勝ったワイナリー。Stags' Leap Wineryはまた別のワイナリー。
Clos Du Val:ラフィットのテクニカルディレクターの息子だったBernard Portetが1970年にアメリカに渡って始まった。
Shafer:CS(Hillside Selectが有名)、CH、MR、SY(Relentless)が有名。
Oakvilleにある主要ワイナリー
Robert Mondavi:Constellation Brands(Double DiamondやPrisonersといったワインのブランドだけでなく、Corona ExtraやModeloといったビールも保有する会社)が2004年に買収。SBでも有名。
Opus One:Robert MondaviとPhilippe de Rothschild(シャートー・ムートンを保有するパリ・ロチルド(ロスチャイルド)家のロンドンの分家の家系)のコラボレーションによって生まれたワイナリー。ラベルのシルエットは二人の横顔である(右がロチルド)。1984年がファースト・ヴィンテージ。Robert Mondaviの買収とともにConstellation Brandsに持ち分が移行した。
Silver Oak Cellars:アメリカン・オークでの熟成が特徴。
Harlan Estate:カルトワインの代表格。
Screaming Eagle:これまたカルトワインの代表格。
Lokoya:Jackson Family傘下のワイナリー。
Far Niente:Nickel家のワイナリーの一つ。1979年にNickel家が買収した。
Dolce:甘口ワイン専門のワイナリー。醸造はFar Niente内でやっている。SMとSBのソーテルヌ・スタイルに近い。
Rutherfordにある主要ワイナリー
Caymus
Frog’s Leap
Dana Estates
Beaulieu:1900年設立。現在では、Treasury Wine Estates(Stag’s Leap等を保有する会社)が保有するブランドの一つ。
Inglenook:1879年にフィンランド人のGustave Niebaumが設立した初のプレミアムワインを作ることを目的としたワイナリーである。今はCoppola傘下である。Coppolaが商標権を取り戻し、名前を復活させたことは有名。
Hall
Quintessa:ボルドーブレンドの"Quintessa"のみ。
Sloan
Scarecrow
St. Helenaにある主要ワイナリー
Belinger:1876年に設立された長い歴史を持つが、現在はBeaulieu同様、Treasury Wine Estatesが保有するブランドの一つ。
Spottswoode:CSだけでなく、SBでも有名。
Joseph Phelps:ボルドーブレンドのInsigniaが有名。
Duckhorn:ダンとマーガレットのダックホーン夫妻がNapaに設立したWinery。主要品種としてMRに焦点を当てた初の近代的なWinery。夫妻がポムロール・サンテミリオンに旅行し、ボルドー右岸ワインにほれ込んだのがMRに注力した理由。
Colgin Cellars:カルトワインの作り手。ボルドー系だけでなく、シラーの作り手としても有名。
Merryvale:Harlan EstateのBill Harlanが設立したワイナリー。
Continuum:Robert Mondaviの次男Timのワイナリー。
Calistogaにある主要ワイナリー
Chateau Montelena:1976年のパリの審判で1973のシャルドネがフランスワインに勝利したことで有名。ブルゴーニュを目指した控えめなシャルドネが特徴。エステート・カベルネのCSの新樽の比率は25%で、バランス重視型である。
Araujo(アラウホ):カルトワインの代表格の一つ。クラシックな造り。現在は、シャトー・ラトゥール
Aubert:ブドウの供給地としてはソノマが多く、CHとPNのみ。Helen Turleyの弟子であるMark Aubertのワイナリー。
Diamond Creek
Schramsberg
Schrader Cellars:ブドウを供給している多くの畑はOakvilleに位置するものの、ワイナリーはCalistogaにあるよう。2022年にWSで年間ベストに選ばれたDouble Diamondが有名(スコア自体は94だが、コスパが評価された格好)。Constellation Brandsのブランドの一つ。
Los Carnerosにある主要ワイナリー
Saintsbury:PN、CH中心のワイナリー。
Oak Knollにある主要ワイナリー
HdV Wines:畑自体はLos Carnerosにある(Hyde)。DRCのオーナーの一人であるAubert de Villaineが設立したワイナリー。CH、SY、CS。
Trefethen Family Vineyards:1886年に設立された歴史あるワイナリー。1968年にTrefethen家が買い取って、今の名前になった。
Mt. Veederにある主要ワイナリー
Hess Collection
Diamond Mountainにある主要ワイナリー
Diamond Creek
Atlas Peakにある主要ワイナリー
Kongsgaard:CHのThe Judgeで知られる。
M by Michael Mondavi:Robert Mondaviの長男のワイナリー。
Wild Horse Valleyにある主要ワイナリー
Kenzo Estate:日本で有名なワイナリー。カプコンの辻本氏が設立したワイナリー。紫鈴(ボルドースタイル)、あさつゆ(SB)、紫(ボルドースタイルの上級)、藍(CS)、結(ロゼ)といったブランド。
Sonoma County内のAVA
Sonoma Countyの概要
太平洋とNapa Countyに挟まれた場所にある。太平洋岸であるため、基本的に、夜は涼しく、日中も穏やかである。Sonoma Countyの中には、18のSub-AVAが存在している。
沿岸部、中央部、北東部、南東部の4つに分かれていると考えるとわかりやすい。
沿岸部:Sonoma Coast AVAという巨大なAVAが存在し、その中にFort-ross Seaview・Petaluma Gap・Russian River Valley(RRV)といったAVAが(一部)含まれている。(なお、ここではRRVは中央部と整理している。)冷涼な気候に適したブドウ中心。
北東部:6つのAVA(Rockpile、Dry Creek Valley、Alexander Valley、Knights Valley(左の三つを含むNorthern SonomaというAVAもある。)、Pine Mountain - Cloverdale Peak(Mendocinoと共有))を有する。温暖な地域が多い。
中央部:RRV(以下のsub-AVAを含む。)、Green Valley of RRV、Chalk Hill、Fountaingrove DistrictといったAVAを有する。
南東部:5つのAVA(Sonoma Valley(以下の3つのsub-AVAを含むAVA)、Bennett Valley、Sonoma Mountain、Moon Mountain District、Los Carneros)を有する。Napa Valleyに似た気候で、Napaのライバル的な位置づけ。比較的冷涼なLos Carnerosを除けば、CSが主流。
Sonomaの人気AVA
Los Carneros:Napaで触れたとおり、NapaとSonomaにまたがるAVA。CH・PN中心。
RRV:沿岸部同様、霧と海風の影響が強いため、比較的冷涼。PN、CH、ZFが人気。大きなAVAのためAVAの中でも温暖差は大きい。
Alexander Valley:東側の山脈の斜面にブドウ畑が集中。生育期間は基本的に暖かく、乾燥している。CS、CH、ZFが人気。
Dry Creek Valley:山に挟まれた平坦な土地。比較的温暖で、ZFが一番多く(樹齢が古いブドウの樹が残っている聖地といえる。)、CS・SBが次ぐ。PN・CHも一定の人気あり。
Sonomaの人気ワイナリー
Buena Vista:Napaと接するSonoma Valleyにあるワイナリーで、カリフォルニアの初の商業的なワイナリーとされる(1857年設立)。ハンガリー人のアゴストン・ハラスティ伯爵が300品種、10万本のブドウの苗木をヨーロッパから持ち込み、北カリフォルニアに導入した。カリフォルニア最古のワイナリーの一つ(Sonoma County初の深い貯蔵トンネル)。2011年にブルゴーニュの名門ネゴシャンのBoisset(ボワセ)家のアメリカ法人ボワセ・ファミリーエステートが保有し、ワイナリーを再建した。Los CarnerosのSHやPNが人気。
Arnot-Roberts:RRVにあるワイナリー。
Flowers:Sonoma Coastにあるワイナリー。PNは、単一畑のCamp Meeting RidgeとSea View Ridgeのブランドが重要。
Littorai Wines:Sonoma Coastにあるワイナリー。ビオ・天然酵母を用いる自然派。
Marcassin:Sonoma Coastが誇る高得点続出のワイナリー。
Simi:Alexander Valleyにあるワイナリー。Constellation Brandsの一員。
Peter Michael:Knights Valleyにあるワイナリー。
Hartford Family:Green Valleyにあるワイナリー。PN、CH中心にZFも。
Santa Barbara County内のAVA
Santa Barbara Countyの概要
Central Coast AVAの最南端に位置する。Countyの西半分は冷涼気候向きのブドウ栽培に適している。比較的南側にあるAVAだが、西から南が太平洋に向かって開かれているため、海から冷たい風や霧が流れ込み、冷涼な気候が作り出される。Santa BarbaraからLos Olivosに朝向かっている途中に数メートル先も見えないような濃霧に出会ったときにそのことを実感した。温暖な東側はボルドー・ローヌ品種に適している。7つのsub-AVAを有する。
Santa Maria Valley(太平洋の冷たい空気がそのまま流れ込んでくる。非常に風が強く、冷涼。CH、PN、SY主体。ソムリエ教本によると、砂質ロームと粘土質ロームの土壌。)
Sta Rita Hills(PNの有名な産地。)
Ballard Canyon
Happy Canyon
Los Olivos
Santa Ynez Valley(上記2. 3. 4. 5.を含んでいる。ソムリエ教本によると、石灰質を含む土壌。東側では海の影響がやや弱まるので、CS、CF、SYが多く作られる。)
Alisos Canyon
人気のワイナリー
Paul Lato Wines:Santa Maria Valleyのワイナリー。
Au Bon Climat:Santa Maria ValleyやSanta Ynez Valleyの畑を使ったPN・CH中心のワイナリー。Jim Clendeneが1982年に創設した。
Sanford Winery:Sta Rita Hillsにて1970年代からワインメイキングを始めていたサンタバーバラの老舗。
Brewer-Clifton:Sta Rita Hillsの作り手。個人的にはCHが好き。
AVA-Santa Lucia Highlands
Monterey Countyの中にあるAVAで、PNの有名な産地。Montereyからやや南西の場所にある。La Tacheから枝木を持ち帰ったという伝説で有名な畑Pisoniを有する。
AVA-Paso Robles
概要
San Luis Obispo County(私が高速で速度違反で捕まって裁判所に罰金を支払ったCountyです。。。笑)の中のAVA。「オークの峠」という意味。SYの産地として有名。ほかにはZF、CSが生産される。
主要なワイナリー
Alban:高品質SYで知られる。
Saxum:高品質SYで知られる。
AVA-Lodi
Central ValleyにあるAVA。Central Valleyは内陸で酷暑なので高級ワインの生産には向かないとされる。ただLodiのZFには一部良いものがあり、7 Deadly Zinsなどは日本でもよく見かける、手ごろでよいZFである。
品種ごとの生産量が多い地域
CH
Sonoma、Monterey、San Joaquinで多く生産される。
SB
Lake、Sonoma、Napa、San Joaquinで多く生産される。
CS
Napa、Sonoma、San Luis Obispoで多く生産される。
PN
Sonoma、Monterery、Santa Barbaraで多く生産される。
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