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【一般的な外科手術と自毛植毛FUEの違い②】

前回は、外科手術手技という視点で、一般的な外科手術と自毛植毛FUEの違いについて述べてみました。

今回は、看護師という視点でお話をしてみようと思います。

「看護師をイメージしてください」と言われたなら、どんな看護師像をイメージするでしょうか?



外来の看護師
でしょうか?
それとも病棟の看護師でしょうか?
はたまた手術室の看護師でしょうか?

看護師と一括りにいっても、さまざまな業務があります。
(↓  サラっと読んでみてください)


1. 外来の看護師

外来の看護師は、医師の外来診療をサポートします。

  • 患者の問診とバイタルサインの測定

  • 診察の準備

  • 医師の指示による処置や検査の実施

  • 患者への健康指導

  • 患者教育

さまざまな疾患や症状を持つ患者と接するため、幅広い知識とスキルが必要です。


2. 病棟の看護師

病棟の看護師は、入院患者のケアを担当します。

  • 患者の状態観察とバイタルサインの測定

  • 医師の指示による処置や検査の実施

  • 患者の食事や排泄の介助

  • 患者の精神的なケア

  • 患者家族への説明

療養上の世話と呼ばれる看護師の本来的業務が主体です。


3. 手術室の看護師

手術室の看護師は、手術が円滑に行われるようサポートします。

  • 手術の準備

  • 手術中の器械や薬品の準備

  • 医師の指示による処置の実施

  • 患者の状態観察

  • 手術後の患者のケア

手術室の看護師は、看護師の業務のなかでもちょっと特殊ですよね。


このように、それぞれの看護師は異なる役割を持っていますが、患者さんのサポートするという共通の目標を持っています。


FUE植毛看護師の "重要性" と "特殊性"


「手術」は、医師が主体的に行う施術です。
医師の監督下であれば 看護師は、”ある程度の幅”で手術に関わることが可能です。

”一般的な外科手術”において、手術室の看護師は具体的に何をしているのでしょうか?


  • 手術の器械を受け渡し

  • 術野を展開する際に鈎を引く

  • 糸を切る

  • 術野の血液を拭く、吸引する

  • 汗を拭く

  • 外回りの業務(点滴の調節や手術経過記録など)

などをしています。


"一般的な外科手術"では、肝(キモ)となる重要な組織に直接的に触れ、操作を加えるという機会は、看護師という立場では、そう滅多にあるものではありません。

ホクロの除去などの小手術であれば、助手が付かず、医師一人で手術を完結させることもあります。


それに対して、

”FUE植毛”に携わる看護師は、何をしているのでしょう??


  • 採取の介助

  • グラフトのチェックや株分け

  • 毛穴作りの介助

  • 植え込みの実施

  • 外回りの業務(点滴の調節や手術経過記録など)

などをしています。


FUE植毛では、縫合したり、術野を展開したりということが一切ありません。
器械の受け渡しや外回り業務以外は、"一般的な外科手術"とは全く異なる業務であり、かなり特殊な業務です。


また、言葉だけではなかなか伝わりにくいかもしれませんが、植毛の手術では、看護師が肝(キモ)となる「グラフト(株)」に直接触れたり、操作を加える機会が非常に多く、看護師がより手術に「直接的」に関わっているという特徴があります。

植毛の手術は、積み上げ方式なので、どこかの過程で”しくじる”結果に影響を及ぼしますので注意が必要です。

特に、「株の植え付け」は、ほとんどのクリニックで看護師が担当しており、手術結果を左右する比重が大きいため、誰でも良いという訳にはいきません。

当院では、グラフトに極力ダメージが加わらないように注意を払ってもらいながら、植え付けをしてもらっています。
いくら良いグラフトを採取してきても、最後の最後の植え付けでダメージが加わってしまえば、細くなって生えてきたり、最悪生えてこなかったり、元も子もありません。。

ちなみに植え込み時にグラフトが「J状」にねじれて挿入されてしまうと、発毛率が30%低下するといわれています。

J Hair


また、どこにどういったグラフトを配置するかに関しては、ある程度指示は出しているものの、1グラフトごとに詳細な指示を出すことはできません。

実はグラフトには1グラフトごとに個性があります。
例えば、同じ1本毛でも細めのものもあれば、太めのものもあります。
ご自身の”生え際の1本毛””こめかみの ほそ〜い 1本毛”を見比べていただけば、質感が異なるのは一目瞭然でしょう。


そのため、最終的には看護師の判断に委ねられ、看護師の「個性」「センス」が光る場面だと思っています(←これが非常に大切!!)。


こうしたことから植毛の看護業務は、”一般的な外科手術”と比較して、ある意味においては、「一歩踏み込んだ手術看護業務」といっても良いのではないかと思います。


看護師自身も、"私は手術に直接的に関わっているのだ" という肌感覚が強いはずで、非常にやりがいのある仕事
ではないかと思います。


また、手術全般に言えることですが、介助についてくれる助手の技量で、術者の手術の”しやすさ”が格段に変わります(当然結果にも結びつきます)。
これは外科医であれば異論はないことと思います。


植毛はひとつひとつの工程が非常に大切なので、信頼できる看護師やスタッフがいないとなかなか良い手術ができません。


技術職である以上、すぐに習得できるという訳でもありません。
先程もお話ししましたが、 ”FUE植毛”における看護業務というのは、かなりの特殊性があります。
通常、手術室の経験がある看護師であれば、他の外科系のクリックに転職した際、即戦力になります。しかし、植毛の場合は、ほぼゼロからのスタートとなります。


一人前の植毛看護師に成長するまでは、教育の仕方とかもあるとは思いますが、結構センスみたいなものがあって、スクスクと成長していく看護師もいれば、なかなか成長できなくて脱落してしまう看護師もいて、かなりバラツキがあります。
そして、センスがあったとしても一人前になるにはそれなりの時間を要します。


まとめると…

”一般的な外科手術”の手術結果は、「医師による要因が大きい」

のに対して、

”植毛”の場合は「チーム的要素が強い」

という特徴があります。

チームとしてのレベルアップが求められます。


※ ”一般的な外科手術” でチーム的要素がないと言っている訳ではありませんからね。あくまでその比率が異なるということです。


以上、看護師という観点から、"一般的な外科手術"と"自毛植毛FUE"の違いについて述べてみました。


最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!!
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