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森山満穂 mitiho moriyama
2016年9月26日 19:29
鼻孔に香ばしい匂いが広がった。これは我が家のカレーの匂いだ。今朝もカレーか。そう思いつつ、重い瞼を開けた。目の前には見慣れない天井の色があった。僕の家ではない。目を開けるまで家の自室で寝ているものとばかり思っていた。今いる場所を確認しようと僕は慌てて起き上がった。だがその瞬間、体の節々が鈍く痛み出した。同時に脳がふわっと浮かび上がる感覚に襲われる。瞬きするとその感覚も失われ、鼻の奥がツーンとこそ