草と樹から学ぶ競争のサイエンス

画像1 @唐沢山 草と樹の違いをご存知だろうか? 樹も草も光を求めてヨーイドンの競走だ。スタートダッシュで出遅れると負けて枯れてしまい、子孫を残せない。そこで樹はより速く上に伸びることを思い付いた。上に伸びるのには、耐力壁が必要だ。筋交い(セルロース)を入れ、隙間に充填(リグニン)して固めていく。これが細胞壁の木化(リグニフィケーション)である。太る(形成層の分裂による肥大成長)、年輪が出来るで説明されるが、本質的には競争に勝つために上に伸びたのであろう。
画像2 ユーカリ ナイテンス これはしたたかである。早く上に伸びて生き残る術をいくつも編み出した。先ず光合成。大きな葉(幼葉)をたくさんつけて稼ぎまくる。草に勝つとやれやれ、葉の形を鎌形に変えて垂れ下がる(成葉)。葉が大きく多いと風に吹かれて倒れるが、ヤナギのように細い葉は風を拭き逃がす。幼い葉には、シカに食われにくいよう匂いや苦み成分でたぶらかす。先端の葉は乾いた冷たい風に吹かれて枯れないよう包み隠す。
画像3 ユーカリ ベンサミー 風に吹かれても幹や枝が折れないよう、多方向に筋交いを入れまくる。きっと複雑な細胞壁をしているに違いない。ケヤキもしかりである。
画像4 ユーカリ ファスティガータ Fastというだけあって、きっと成長が速いに違いない。一体どのような仕組みを隠し持っているのだろうか?知りたくてウズウズする。競争に打ち勝つには、他が持たない術を見つけ、それを伸ばして強固にしていくことに他ならない。樹を眺めているとつくづくと色んなことに気づかされる。

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