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循環型社会の「食」の優等生 森林資源基盤型産業のリサイクル(5)キノコ

「森」の恵みの一つに「樹の子」がある。秋になると落ち葉の中から多様な姿を見せてくれる。アカマツの林に生えるマツタケ、ナラの榾木に生えるシイタケ、天然の香りは、秋の味覚の王様といえる。

近年は、人工(菌床)栽培技術の普及によって、食卓にも様々なキノコが年中並ぶようになった。シイタケを筆頭に、マッシュルーム、エノキタケ、ブナシメジ、ハタケシメジ、ナメコ、エリンギ、マイタケ、ヒラタケなど、全て菌床で栽培できる。この菌床、実は木材加工時の端材がおが粉にされリユースされて作られている。ナラ、クリ、ブナ、トチ、カバ、ハン、シデなど飛騨高山に豊富に在る広葉樹が用いられる。スギやヒノキなどの針葉樹は生育阻害があり向かない。ホオは、飛騨高山で朴葉みそなど保存食に使われるが抗菌成分を含むため菌床には混ぜないそうだ。米ぬかだけでなく、近年は、使用済みコーヒーや野菜くずのようなレストランから排出される有機系ごみを循環させる取り組みが始まっており、キノコ栽培は循環社会の優等生となりつつある。

またキノコ収穫後の廃菌床は、堆肥や炭にするなど「土」へリサイクルされている。ペレットにして「熱」サーマル再利用し、栽培床の温度管理にも使われている。家畜の敷材や飼料にも再利用される。

人工栽培できるキノコは、木材腐朽菌の子実体で、菌糸は木材成分であるセルロースを分解してくれる「森」の循環にとって無くてはならない存在でもある。ところが、マツタケやトリュフのような高価なキノコは、菌根菌といって生きた樹木の根に寄生していることから、人工栽培に成功していない。かつてアカマツ林の根に培養した菌糸を植え付けて林地栽培を試みたが、うまくいかなかった。ところが、他の雑菌を排除する性質があることがわかった。どうやら、「森」に生息する生物は、他の生物と匂いなどの香り成分でコミュニケーションしているらしい。続きは明日。。。

「森」と「人」を繋げる社会、キノコは「森」と「食」を繋げる優等生でもある。

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