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君を笑顔にする 二酸化炭素の功罪(6)

夏本番間近、ビールの美味い季節がやって来た!

「ガスボリューム」という言葉がある。1Lの液体に1Lの二酸化炭素が溶けている場合、1ガスボリュームというそうだ。気体は1モルが22.4Lなので、二酸化炭素1Lは約0.0446モル、二酸化炭素の分子量は44なので、約1.96g/Lの二酸化炭素が溶けていることになる。

ちなみに、ビールのガスボリュームは2.5-2.8、コーラは3.7、最近ではガスボリューム5を超える強炭酸の飲料も販売されている。

液体に溶ける気体の濃度割合は、周囲の気体の分圧(全体に占める割合)に比例する、ヘンリーの法則だ。二酸化炭素100%の雰囲気(1気圧)中での飽和濃度は室温で約1.45g/L、ガスボリューム0.74に相当する。温度が低いほど溶解度は大きくなる、つまりガスボリュームが大きくなる。冷たいビールが美味しいわけだ。

ガスボリュームを高めたければ、二酸化炭素の圧力を高めればよい。飲料業界で使われる「カーボネーター」という特殊な設備では、二酸化炭素の圧力容器に液体を霧状に噴霧するなど液体の接触面積を増やして効率よく溶かしている。生ビールサーバーでは、冷えたビールにCO2ボンベから高い圧力で気泡を吹き込む方法が採られているようだ。

CO2水

上の図は、純水製造装置などに使われる逆浸透(RO)中空糸膜を応用した水へのCO2溶解技術だ。精製水の場合、水道水などイオンを含んだ水に圧力をかけることで、イオンを通さず水分子だけが膜を透過することで水を精製さしている。この分子篩を利用し、中空糸膜の中に水を通過させ、その圧力以上の外圧でCO2を水に効率よく溶解させるのである。この装置で、今も高濃度炭酸水を作って、植物の炭酸水耕栽培実験を繰り返している。【詳しくは、深呼吸をしよう 二酸化炭素の功罪(3)を見てくださいね。】

巷では、「生ジョッキ缶」が売れているそうだ。ポイントは、泡をきれいに見せる技術だそうである。缶の内側に細かい傷をつけ、そこから過飽和の二酸化炭素が細かい泡となる仕組みだそうだ。

二酸化炭素の溶解技術や炭酸水には、まだまだ君を笑顔にする要素がありそうである。

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