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SendからStay。そしてメタバースへ。

コミュニケーションが、大きく進化しようとしている。

「あそこに行ってみて!」とゲームを囲んで盛り上がる子どもたち。娘と甥っ子、その兄弟達がまわりで観戦。自分が子供のころ、夏休みに親戚の家に遊びに行き同じように盛り上がったのを思い出す。長期休みで一族が実家に集う昔ながらの光景だ。

しかし、いまは少し事情が違う。これは、東京と愛知でのやりとりの話だ。Zoomで会話しながら、マイクラで遊んでいる。「明日は、何時からね!」と約束して毎日会っている。まるで近所の友達と遊ぶように。

インターネットの歴史は、コミュニケーションの進化の歴史だ。手紙の代わりのメールから始まり、短いショートメッセージになった。頻度がリアルタイムになり、会話に近いチャットになった。N:NでつながるSNSも生まれた。使用料金も劇的に下がっていった。昔は高くて気軽にできなかった遠距離電話も今では無料だ。ビデオ通話すらもほぼ無料である。これらを、常時接続することが誰でも可能になった。この技術進化が東京ー愛知での遊びを可能にしているインフラだ。

インターネットのコミュニケーションは、リアルの代替として進化してきた。手紙はMail, おしゃべりはChatと対応する語源がある。情報伝達、メッセージ、会話。コミュニケーション自体が目的だった。しかし、コミュニケーションの効能はそれだけではない。例えば、食事を考えてみよう。人はなぜ集まって食事をするのか?準備を効率的にし、栄養を吸収するため?いや、食事をとおして「同じ時間を過ごすこと」を楽しんでいる。おいしい食事がリラックスさせ、何気ない会話が場を温め、一緒にいる時間をつくる。ここでのコミュニケーションは目的ではなく、潤滑油のようなものだ。こういう体験はリアルならではのものだと思っていた。だが、子供達の様子を見ていると、そうでもないかもしれないと思えてくる。

「食事のようなもの」に変わってきているのがオンラインゲームだ。今までのオンラインゲームは、共同でゲーム自体を遊ぶことが目的だった。食事に例えれば、食事そのものが目的だ。これがマイクラやフォートナイトなどのゲームを見ると「同じ時間を過ごすこと」に主軸が変わってきている。潤滑油となるリアルタイムのコミュニケーションがそれを可能にした。それだけでなく、誰かのLIVE実況を見る「スポーツ観戦のようなもの」も人気がでている。これらは、大きな変化の始まりに見える。

Send a message to X から Stay there with X へ。

手紙の代替から始まったインターネットのコミュニケーションは、「そこ」で「誰かと過ごす」ための潤滑油へと進化している。そして、StayがLiveになった世界、それをメタバースと呼ぶのだろう。

Cover Photo by Florian Klauer on Unsplash


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