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ブルアカスタンプリーから考える京都の『オーバーツーリズム』

お久しぶりです。
はたはた@土木写真です。
今年4月から社会人となりバタバタした生活が続いていましたが、ようやく落ち着いてきました。

今回は、京都でブルーアーカイブのスタンプラリーに参加して来たので、その様子を写真で紹介しながら京都のオーバーツーリズムに関する諸課題を改めて考えてみたいと思います。

ちなみにスタンプラリーに参加した当時は、『ブルーアーカイブ』のキャラクターについてほとんど知らない状態で参加して来ましたので、作品の面白さは抜きとして、『京都の観光地の今』をお話出来るかなと思います。


1.イベントの概要

1-1.ブルーアーカイブとは?

スタンプラリーについて語る前にまずはブルーアーカイブというコンテンツについて軽く紹介しましょう。

ブルーアーカイブは2021年に配信開始されたスマホゲーム。

銃を持った美少女が人口の大半を占めているような世界で、いわゆるキャラゲー的な立ち位置にいる作品です。

一見すると普通のキャラゲーに見えますが、王道に可愛いキャラをはじめ、色々と思考回路がぶっ飛んでいるキャラ、年齢制限にあわよくば引っかかってしまいそうなキャラなど本当に個性豊かなキャラたちが多くの人たちの心を掴んで来ました。

1-2.ブルアカイベントが京都上陸!

人気コンテンツとして名乗りを挙げたブルーアーカイブ(通称:ブルアカ)ですが、リアルイベントも年数回程度、開催されていまして毎回大きな話題となっています。

2024/04/20に『ブルアカらいぶ! いとをかし 春の京都旅行SP』が京都で開催。ゲームの最新情報やファンアート等のコンテンツ結果発表などが行われ、関西圏にいる多くのファンが押し寄せるイベントとなりました。

日本で最も有名な観光地、京都で実施されたイベントということでこれに合わせて様々なイベントが開催されました。それが今回、話題にしたい『スタンプラリー』というわけです。

1-3.スタンプラリーについて

正式名称は、「ブルーアーカイブ ~げにうららか☆京都満喫春の旅!~
具体的には京都市内の8箇所を巡り、スタンプを集めると言ったものです。

スタンプ設置場所一覧
河原町・嵐山・伏見など京都各地を巡ることになります。

スタンプのやり方はキャラクターの等身大パネルにある2次元バーコードを読み取るというもの。
この数年で、昔からあるスタンプを集める形式に変わり、QRコードで読み取って認証する形式がふえています。

キャラクターパネルの左下にあるQRコードを読み取ります。
(このキャラクターパネルは展示用なのでQRコードは貼られていません)
スタンプを獲得するとこのようにキャラクターのイラストが埋まっていきます。

もちろんスタンプラリーだけではなく、現地でしか買えないオリジナルグッズも販売していました。

京都駅を背景としたアクリルスタンド

ちなみにこのスタンプラリー企画は、直接ゲーム会社が担当しているのではなく、『株式会社クラックス』という会社が実際に運営を行っているようです。

株式会社クラックス』さんでは以前にも京都でスタンプラリーを運営した経験があり、その点では信頼できると言えそうです。

以前にはVtuberグループ『ホロライブ』のスタンプラリーも運営されていたようです。

2.スタンプラリーから見えて来た京都という『観光地』

2-1.京都とオーバーツーリズム

さて本題に入っていくわけなのですが、京都市は『オーバーツーリズム』に悩まされています。

国内外の観光需要は急速に回復し多くの観光地が賑わいを取り戻している一方、観光客が集中する一部の地域や時間帯等によっては、過度の混雑やマナー違反による地域住民の生活への影響や、旅行者の満足度低下への懸念が生じています。

★観光庁:オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた取組,2024.03.22,
<https://www.mlit.go.jp/kankocho/seisaku_seido/kihonkeikaku/jizoku_kankochi/jizokukano_taisei/overtourism.html>

オーバーツーリズムとは、観光客がある地域に集中してしまうことで
市民生活に支障が出ることや観光客の満足度低下が起きてしまう問題を指します。

京都市の事例の場合、よく言われています課題として
・京都市営バスを始めとした各交通機関の混雑
・観光客が捨てるゴミの処理
があります。

こういった問題に対して、国も課題の一つとして考えており、
1.観光客の集中による過度の混雑やマナー違反への対応
2.地方部への誘客の推進
3.地域住民と協働した観光振興
を軸に持続可能な観光に向けて支援することを決めているようです。

★観光庁:オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた取組,2024.03.22,<https://www.mlit.go.jp/kankocho/seisaku_seido/kihonkeikaku/jizoku_kankochi/jizokukano_taisei/overtourism.html>

そういった意味では今回のスタンプラリーイベントは5月のGWと重なることがありまして、どのように運営されていたのか大変関心があったのです。

結論としては、『株式会社クラックス』さんの運営方法はよく考えられている一方、そもそも京都でスタンプラリーをやることの難しさというものも感じてしまいました。

2-2.今回のスタンプラリー企画の良かった点

今回のスタンプラリーを通して新たな京都の観光地を発掘する機会となりました。対象となっている場所は神社・寺を中心に小さなお土産さんなど巡る場所も様々あり、飽きることは無かったです。

個人的には小さなお土産さんにおいてブルアカのグッズは一般の商品と一緒に陳列されていたのが興味深かったです。
ブルアカのグッズを買うついでにお店にある商品も一緒に購入しようという方も一定数見かけたのでお店の売り上げにも多少なりとも貢献しているのではないでしょうか。

巡った場所の中では『壬生寺』が面白かったです。新選組にゆかりのある土地であるほか、壬生狂言という伝統芸能があるよう。今度じっくり見てみたいと思います。

2-3.混雑状況(オーバーツーリズム)は果たして…

さて、本題であるオーバーツーリズムについてはどうだったでしょうか。
今回は混雑状況について気になった3エリアについて話していきます。

①祇園四条駅・京都河原町駅エリア

まずかなり混雑が激しいと感じたのは『祇園四条駅・京都河原町駅』エリアです。このエリアは京都の繁華街として発展しており、外国人観光客だけではなく、周辺住民の遊ぶ場所として賑わっている場所です。

混雑はかなりしているのですが歩道も十分整備されており、危険と感じた場面は見受けられませんでした。

このエリアにおけるスタンプは家電量販店の中と博物館入り口にあるお店の中の2か所に設置されていました。そのため、キャラクターの等身大パネルを撮影する際、誰かの邪魔になるということも無く、スタンプ設置個所として全く問題無かったと言って差し支えないでしょう。
ただし、このエリアに到着する京都市営バスの一部は混雑していたため、訪問する際は京阪、阪急などの鉄道を用いたほうが良さそうです。

漢字ミュージアム ショップ「祇園祭ぎゃらりぃ」に置かれていた等身大パネル
最近は変わった博物館もあるんですね。

②嵐山エリア

嵐山は京都の一大観光地の一つです。ここも外国人観光客をはじめ、多くの人で賑わっていました。

特に混雑していたのは嵐電の嵐山駅周辺から渡月橋の北側です。多くのお土産屋、飲食店がひしめき合うエリアです。
このエリアにも歩道は整備されていますが、少々キャパオーバーかなという感じでした。歩道の無いところを渡ろうとしていた人が車にぶつかりそうになっていた場面に遭遇しました。秋は大変混雑するんでしょうね。

スタンプは渡月橋の北側のまさに混雑しているエリアに設置されていました。ここでは店の外に置かず、小さな店の中に等身大パネルを設置するという対応を取っていました。等身大パネルも何とか全体を撮影できるかなという状況でした。

意外と感じたのは渡月橋から南側は比較的混雑していなかった点です。
渡月橋はギュウギュウで橋の上から写真が撮れないことをイメージしていましたがそんなことは無かったです。
嵐山にアクセスする際は阪急の嵐山駅からアクセスするのが一番混雑から逃れることが出来そうです。

渡月橋の様子。確かに混雑していますが、キャパオーバーしている様子では無さそうでした。

③伏見稲荷エリア

伏見稲荷神社は外国人観光客から人気のあるスポットの一つです。今回、混雑状況が最もひどいなと感じたエリアです。

このエリアには十分な幅の歩道は整備されておらず、狭い道路を多くの観光客と車が往来する状況となっていました。

特に混雑していたのはJR稲荷駅~京阪伏見稲荷駅を結ぶ道路です。
JR稲荷駅・京阪伏見稲荷駅と伏見稲荷大社の往来で混雑していました。

株式会社クラックス』さんもそのことについては織り込み済みだったのか、ある一つの工夫をされていました。それが…

JR稲荷駅~京阪伏見稲荷駅を結ぶ道路を避けて
伏見稲荷大社より南側にあるお店に等身大パネルを設置したことです

え?と思う方もいるかもしれませんが、実は①京都河原町や②嵐山などの観光地とは異なり、
JR稲荷駅~京阪伏見稲荷駅を結ぶ道路
だけが混雑しているのです。

どうやら観光客は『伏見稲荷大社』に行くことだけが目的であり、周辺の施設へ行くことは全く目的としていないようです。

そのため、JR稲荷駅から南側を歩いてみると観光客がほとんどいなくなるのです。
ただし店の前は車も通行する狭い道路であるため、車・歩行者の往来の邪魔にならないよう配慮してほしい旨の注意書きは置かれていました。

歩行者は少なくても車の往来は一定数あったのでパネル撮影には少々工夫が必要でした。

①京都河原町や②嵐山のような昔からの繁華街であるような地域はある程度観光客を受け入れることが出来ますが、③伏見稲荷のように元々観光客を多く受け入れることを想定していなかった街では『歩行者の混雑』に苦しんでいるのではないでしょうか。

正直なところ、現状の混雑状況では『伏見稲荷大社』を他人にお勧めすることは出来ないなと思っています。

3.京都という『観光地』の現状

改めて京都市内を観光してみて感じたのは『京都=混雑している観光地』という言葉だけでは片づけられない点です。

例えば、今回のスタンプラリーで訪問した場所のうち、下鴨神社はかなり空いていました。(訪問した時間帯が遅かったというのも影響してそうですが…)

下鴨神社

個人的に下鴨神社のある出町柳駅周辺や伏見・宇治など京都駅から少々離れているエリアは、桜・紅葉などの時期と被らない限り穴場だと思っています。

また混雑しているエリアにおいてもその要因を調べてみると問題の根幹となっている点が異なっていることが見えてきました。より深く調べてみると私たちが賢く京都を観光出来るヒントや観光地としての京都のこれからを考えるヒントが隠れているかもしれません。

時期・時間帯によっても混雑状況が変わって来そうなので今度は秋ごろ改めて調査してみても面白いなと思った次第です。

ガミガミ色々お話してきましたが、スタンプラリー自体は大変楽しいものでした。『株式会社クラックス』さんが様々なことに配慮していることは伝わってきました。どこのスタンプ設置箇所でも誰かしらブルアカスタンプラリー参加目的の同業者を見かけましたし、総合して今回のスタンプラリーは大成功と言って差し支えないと思います。
改めて素晴らしい企画をありがとうございました。

今回、設置された8人の等身大パネル
少しずつ名前覚えようか…

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