先生やお友達におもちゃを見せたがる心理
子どもが幼稚園や保育園に新しいおもちゃを持っていて、先生や友達に見せたがるのは、親にとっては手間のかかる場面です。そもそも、園側のルール(教室の中には持ち込めない等)や他の子どもたちへの配慮から、親としては「持っていかないで」と諭す場面も多いでしょう。本人が納得せずに、おもちゃを持参する形になるとして、毎朝のようにどのおもちゃを持っていこうか、洋服選びと同じように手間取ると、とにかく早く選んでほしいという気持ちになります。
しかし、この行動は発達過程における自然な心理であり、やがて落ち着く一時的なものです。
子どもたちは成長とともに自分を他者に示したいという欲求が徐々に変化していき、自己表現や評価の方法も変わっていくのです。
4歳児くらいの子どもが新しいおもちゃを見せびらかすのは、自己表現の一環であり、他者からの承認を求める動機が背後にあります。子どもは自分の持ち物や体験を通じて、他者に自分の存在を認識してもらいたいと考えます。これは、成長過程における健全な自己発見や社会的つながりの一部です。友だちや先生におもちゃを見せることで、「自分も大切な存在だ」と感じ、自信を育てる場にもなっています。物を通して社会的な関係を築くことは、特に幼少期において重要な発達の一側面です。
大人になった今、私もまた、こうした欲求をSNSやブログ、NOTEといったプラットフォームで表現していることに気づかされます。大人がSNSに投稿したり、自分の仕事や生活に関する記事を発信するのは、まさに他者とのつながりや承認を得たいという基本的な欲求に根ざしています。新しいプロジェクトや達成した目標、生活の中で見つけた小さな喜びをシェアする行為は、他者からの反応を得ることで、自己の価値を確認し、満足感を得るものです。
例えば、私たちが新しく買ったものや体験したことをSNSでシェアする際、多くは他者からの「いいね」やコメントを期待しているでしょう。それはまさに、4歳児が新しいおもちゃを持って自慢する行動と似た心理です。「見てほしい」「認められたい」という承認欲求は、年齢を重ねても変わらない人間の本質的な動機のひとつです。
ただし、大人になるとその表現の方法が変わり、SNSやブログ、仕事の成果の共有といった形で現れるのです。仕事の成果という形に消化できるならこの欲求は生活を支える健全なものといえるでしょう。
大人になって残るといっても、この欲求は成長とともに自然に弱まっていくもののようです。子どもたちはやがて、物を通じた自己表現から、内面的な満足や他者との深い交流へと関心が移っていきます。同様に、私たち大人も、外部からの評価に依存するのではなく、自己の成長や達成感に重きを置くようになる時期が来るでしょう。個人差があり、さまざまな説がありますが、8歳から10歳頃を境にシフトするようです。
4歳児が新しいおもちゃを持って自慢するのは、成長の一部としてよくあることです。このようなかわいらしい行動を見られるのも、ほんの短い時期だけです。後になってからその時間に戻ることはできません。そう思うと、もう少し優しい気持ちで子どもに接することができそうです。
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