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身体形態

皆さんこんにちは。
ジムトレーニング担当の鈴木です。

先週は、パフォーマンス構造の4つの領域の内部因子について整理しました。4つの領域のうち基本ともいえる「身体形態」がどのように影響を及ぼしているのか見ていきましょう。

「身体形態」は「体力」に影響を及ぼし、「体力」は「運動能力」に影響を及ぼし、さらに「運動能力」は「スポーツスキル」に影響を及ぼす先週noteの最後にこのような基本的な考えを書きました。
中でも、競技スポーツにおいて、身体形態はパフォーマンスを左右する非常に大きな要因となり、パフォーマンスの基礎となると考えられます。もちろん様々な選手をみてきて、これが全てだとは毛頭思ってはいません。しかし、自然率としてその競技、ポジションに適している、または求められる身体形態は概ね傾向としてまとまっていきます。

そして多くのスポーツにおいて、身体形態が大きい方が有利になり、小さい方が不利になる可能性が高くなることは、現実として受け入れる必要があります。なぜなら、その方が絶対値として筋力やパワーなどのエネルギー系の「体力」を備えやすくなり、その大きな力を「運動能力」として、大きなパワーやスピードを生み出しやすくなるからです。反対に、比較的小柄の方が優位性あると思われるスポーツやポジションもあることも事実ですが、選択肢が増えるのはやはり身体形態が大きい方と言えるでしょう。

それでは、小柄だと戦えないのかと言うとそうではありません。
ここで重要なのは、自分の授かった身体形態で、取り組んでいるスポーツでどう生き残るかを考えて、体力や運動能力を向上させる必要がある、ということです。

例えば、100m走の選手で、大柄な選手と小柄な選手では、100m走における戦略は異なるでしょう。大柄の選手の方が、四肢の長さを生かし比較的中盤以降のスピードを維持する局面では有利です。そうなると、小柄な選手は中盤以降の勝負は分が悪いです。前半や中盤地点で並んでいたら、その時点で勝負ありと言えます。つまり、小柄な選手は、中盤以降のスピード維持局面で不利な身体形態の為、前半に飛び出すレースをする必要があります。そして、そういった能力が必要なトレーニングをする必要があるので、より筋力の立ち上がりのスピードを高められるトレーニングを行う必要があります。また、脚長がない分、大柄な選手よりも正確なスプリントテクニックが必要になるでしょう。大柄な選手の方が、多少接地等が雑になっても、四肢の長さ等を生かして推進力を得ることが可能だからです。

対して、大柄の選手ですが、もちろん、100mの選手である以上、前半の爆発力を得ていくことは必要です。大柄な選手としてポイントを上げるとするなら、大柄で四肢が長くなる分、体幹部の安定性の能力は小柄な選手よりも必要と考えられます。手足が長い分スピードを出すことや維持することには長けていますが、長い四肢を振り回せば、当然、遠心性の力(遠心力のような力)が体にかかりますので、それを制御する能力が必要なのです
基本的に身体形態が大きい方が有利と書きましたが、逆に長身の選手ほど、自分の動作をコントロールや制御する能力がなければ逆にその大きな身体形態が弱点となってしまいます
そのおおもとなる「体力」が体幹部分の安定性となるわけです

もちろん身体形態に関わらず基礎となる部分、共通して必要なことはあります。ただ、自分の身体形態で、そのスポーツで戦うにはどう戦ったら生き残れるか、そのためにはどうトレーニングする必要があるのかを考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

最後に、余談ですが、とはいえどうしても身長で線引きされるケースは現実問題としてあります。その例と、その時の考え方についてお伝えしたいと思います。
私が所属しているサッカークラブだと、GK(ゴールキーパー)がその最たるものです。どんなにジャンプ力があり、反応スピードが速く、キャッチングが優れていても、身長の大きな選手が選ばれることが多いです
特に、育成年代の選手では、将来の最終的な身長を予測して育成していきます。その中で、将来の高身長が見込めない場合、GKとして戦うことは厳しい為、フィールドプレイヤーに転向することも含めてトレーニングすることもありますし、時期によっては本人にそれを伝えることもあります。
その時に、GKとして勝負したいというのであれば、身長のハンデを払拭できる相当な武器がなければなりません。その時に我々コーチ陣は、彼の体力運動能力の適正から選択肢を提示しますが、最後は、GKに拘るのか、ポジション拘らずサッカーで活躍したいと考えるのかそれは本人次第です
もちろんどんな選択でも我々は最大限サポートしますが、GKという選択を選んだ場合、厳しい状況になることは予想できるので、それは本人にしっかり伝え、本人に理解してもらったうえでサポートをします

つまり、あるポジションや競技で勝負することが目的なのか、活躍することや勝つことが目的なのか、という選択です。場合によっては身体形態1つでそれを問われることがあります。どちらが正解で間違っているとも言えません。少し話がそれましたが、身体形態1つで、選手に何が目的なのか問うことがあります。このような考えは人生でも起こりうることだと思うので、何かこういう状況があったら、考えるきっかけにしてみて頂けたら幸いです。

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