見出し画像

スポーツスキルの構築と影響

皆さんこんにちは。
ジムトレーニング担当の鈴木です。

本日は、4つの領域のスポーツスキルを中心に、その構築や他3つの領域に与える影響を考えてみましょう。

スポーツスキルはその名の通り、スポーツ特有の動作となります。同じ「投げる」という動作でも、野球、ラグビー、アメフト、ハンドボール、それぞれにスポーツ特有の「投げる」があります。陸上ハンマー投げも「投げる」です。「打つ」という動作でも、野球やテニスではそれぞれ。そして「走る」でもマラソンと短距離は違いますね。私は陸上競技出身ですので、陸上短距離に関して言うと、同じスプリント種目でも、100m、200m、400mはそれぞれ微妙に違うと感じています。ハードル種目や跳躍系の助走スプリントも特有のスプリントと言えます。

スポーツ特有の動作ですので、最終的に磨きをかけていくには、その練習を積んでいくことが絶対です。しかし、そのスポーツスキルにどんな運動能力や体力が関与しているかを考えながら行っていくことは、さらにレベルを高めていくことに必要です。
また、学生の皆さんは新しいスポーツを始めるということもあるでしょう。新しいスポーツスキルを習得しようとする際、習得のスピードが早く、自分なりのコツを掴むことが早くなるのか。それは、それまでに経験してきている運動経験を元にして、新しいスポーツスキルを構築していくこととなります

例えば、サッカーでのドリブル中のスプリントが速いことや、野球の盗塁が速い、というようにスポーツ特有の動作はあります。しかし、これらのスポーツスキルのポイントは「速く移動する」ことなので、人間が速く移動できる仕組みについては概ね共通していると言えます。人が最も速く移動できる手段とは「スプリント」になります。となると、正しいスプリントテクニックを習得していることは、あらゆるスポーツにおける速く移動するという動作に応用できる可能性が高いのです。動作の類似性、生理学的、また感覚面等、あらゆる面で応用ができると考えられます。正しいスプリント動作が身についていることで、スポーツスキルの質を高める可能性もあります。

さて、少し話がそれますが、特に育成年代の選手ではスポーツスキルの習得について様々な問題があり、その1つとして近年、スポーツを専門化する年齢が若年化する傾向にあります。早くからそのスポーツに特化することで能力を高めていく狙いがあるのかと思います。様々な考え方があるので、この全てを問題とするわけではありませんが、運動=専門スポーツの練習のみ、という形になるのは問題があり、主に2つ考えられます。

① 負荷耐性低下、ケガのリスクが高まること
以前も別のnoteで書きましたが、特定の動作を繰り返すということは、特定の箇所に負荷がかかり続けるということです。若いうちからその回数や時間が多ければ当然蓄積させる負荷も大きくなります。さらに、発育段階にあり関節等の体の器官が十分に形成されていない為、それは助長されます。そして他の運動経験がほとんどない状態がなく身体操作の神経系統や感覚が乏しくなることも要因となるでしょう。

② 最終的な競技パフォーマンスの頭打ちが早まる可能性
陸上日本代表の選手への調査で、代表選手はどの年代でもトップ選手であったのか調査があります。その調査で、陸上日本代表になり、小学校で全国大会出場経験がある選手は約4%、入賞経験がある選手に関しては約2%という結果がありました。中学段階でも、全国入賞経験は約20%、出場経験は約40%。高校段階でようやく、入賞経験は約60%、出場経験は約80%です。つまり、小学生や中学生段階のパフォーマンスは将来のパフォーマンスに直結せず、寧ろその後、伸び悩むことの方がはるかに可能性は高いということです。トレーニングによってパフォーマンスが向上する伸びしろのことをトレーニングリザーブと呼びますが、早期の若年化はトレーニングリザーブが早くなくなってしまうと考えられており、それが上記の数値にもでていると言えます。もちろん、早く競技特化することに可能性がないということではありません。フィギュアスケートや体操のようなスポーツでは、実際その方が有利と言え、他スポーツでも早期の競技特化で高いパフォーマンスを出し続けることはあります。あくまで、傾向や可能性の問題です。

身体形態、体力、運動能力、スポーツスキル。この4つ内部因子が複雑に絡み合ってパフォーマンスが構築されていること。それらがどう影響し合っているかを簡単にお伝えさせて頂きました。ぜひ、選手の方は自分のパフォーマンス、指導者の方は選手がどうパフォーマンスを発揮しているのか、考えて頂くきっかけにして頂けたら幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?