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トレーニングの干渉作用の最小化

皆さんこんにちは。ジムトレーニング担当の鈴木です。
前回のメカニズムからの続きで、今回は筋力を高めつつ持久力を高める為に、トレーニングの干渉作用を最小化することについて考えていきましょう。

エネルギー収支
筋力筋量を向上していくためには、基本的には体重が減少していかなないことが重要です。つまり、エネルギー収支がマイナスにならないことです。
そのためには、食事による摂取カロリーがトレーニングや日常生活における消費カロリーを下回らないよう、食事をしていくことが大切です。それにより、どうしても筋力トレーニングも持久トレーニングも同時に進行しなければならずトレーニングボリュームが増えても、トレーニング効果を損なわないようにできます。もちろん栄養バランスも大切ですが、体重の増減に直結するのはまずは摂取カロリーです。

トレーニング強度
一概に持久トレーニングと言え、トレーニングの仕方が変われば強度もかわります。そして、持久トレーニングが低強度であれば、筋力トレーニングへの干渉も小さくなると考えられています。つまり、いくら干渉作用があるとはいえ、例えば、高強度の筋力トレーニングをした後に20分ウォーキングをしても、強度が低いのでそれが干渉作用になるとは考えられないということです。低強度の持久トレーニングの目安はどれくらいなのか、という疑問があるかと思いますが、最大心拍数の70~75%ほどまでが、低強度と捉えられると考えられるでしょう。このあたりから、主観的にややきつい、という感覚になると考えられる目安です。最大心拍数は220-年齢で求められます。私は30歳ですので、(220-30)×0.75(75%)で、142.5となりますので、1分間の心拍数がこれを超えてくるとややきついと感じるということになります。ただ、単に年齢だけでなくトレーニング経験にもよるので、あくまで参考の1つとして捉えて下さい。ややきついと感じるまでが、低強度の持久トレーニング、と考えていいでしょう。このように、トレーニング強度を操作すると干渉をおさえることに繋がります。

優先すべき要素の見極め
筋力も持久力どちらも必要なスポーツをしている方であれば、まずどちらを優先すべきなのか分析し、優先順位をつけることで干渉を抑えることも手段の1つです
例えば、既に持久力はある程度能力を備えており、すぐに取り組むべき課題でなければ、筋力トレーニングを優先し、持久トレーニングは補助的に行い負荷を小さくするなどです。その逆も然りです。
例としてそれを年間単位で進めているあるラグビーチームがありました。1年目は主に、筋量が減ろうが体重が減ろうがとにかく持久トレーニング実施。2年目は徹底的に筋量と筋力を向上させる、といった方針です。10対0ではなく、あくまで何がメインなのかということではありますが、同時並行的に進めた時よりも、数年後に持久力面でも筋力面でも大きな結果を残せたということです。しかし、これにはデメリットもあります。この場合、ラグビーというスポーツの特性上、体重が減少してしまうことはパフォーマンスに直結します。実際に、1年目の試合ではコンタクトで相手に負けることが非常に多かったようです。つまり、数年単位で目標を定めており、それくらい時間を要して育成することができる状況でなければなかなか難しい取り組みである上に、それに対し選手の理解が必要となります。ただ、もちろんそうできる状況であるならば、どちらの能力もじっくり鍛えることができるのです。
また、ここまでの年単位ではなくても、似たような考えで、ブロックピリオダイゼーションという考えがあります。簡単に言うと、時期によって特定の能力に絞って向上させ、パフォーマンスアップに繋がる考え方です。やはり、優先的に高めたい能力を絞って数か月単位でトレーニングを計画することは非常に重要であると考えられるでしょう


トレーニング日時を考える
前回の、干渉作用のメカニズム、で酵素やホルモンの要因もありました。持久トレーニングをした際の酵素であるAMPKは筋力向上に影響を与えるmTORC1の働きを阻害するとお伝えしました。これら酵素の活性時間に注目しお互いの干渉を小さくできるのでは、という考えがあります。
AMPKは持久トレーニングから約3時間、mTORC1は約6時間活性している状態が続きます。これに戻づくのであれば、持久トレーニングの後に筋力トレーニングするなら3時間以上、筋力トレーニングの後に持久トレーニングをするのであれば6時間以上時間をあけると干渉作用を小さくできると考えられます
しかしこの時間には個人差もあると考えられ、また1日でどちらも激しいトレーニングをすることは、非常に体に負荷がかかります。できれば、どちらも負荷の高いトレーニングをするのであれば、別日に設定することが望ましいでしょう。

干渉作用について数回にわたってお伝えしてきました。
もし、能力が伸び悩んでいると感じたり、トレーニングをより効率よく効果的に行っていきたいと考えている方の一助になったら幸いです

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