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004 語らない豊かさ

どうも、シタシマです.今日も文章ひねりだします.

 今回は建築っぽい話です.ぼくも建築学生ですので、どんな建築がいいんだろうみたいなことは、わからないなりにも考えるわけです.そんな中、そういえば自分の惹かれる建築って、なんとなくあるんだけどうまく言えないなあと思っていました.ところが最近、話を聞いて半歩ほど進んだ気がするので、それについて共有します.

 あるとき、ぼくは切妻屋根の建築に惹かれていることに気が付きました.いわゆる家型というやつですね.岐阜の田舎から秋田の田舎に引っ越して学生生活を送っているのですが、田舎ってそういう家型の宝庫なんですよ.田んぼの端にちょこんと建ってる小屋や、母屋のそばにささやかに佇んでいる倉庫.車を運転しているとしょっちゅう見かけるので、わき見運転しまくりで危ないのですが、それくらいふしぎな魅力を感じていました.
 住宅についても同様で、家型のものに強く惹かれるんですよね.しかし考えてみると、惹かれる理由は何も屋根形状だけではありませんでした.同じ家型の住宅でも、これはそうでもないなというものがありました.では琴線に触れるものにはどんな特徴があるかというと、周辺環境との調和、シンプルな平面形式、洗練された開口、厳正な寸法の操作、素材の慎重な選択などなど.体の感覚を研ぎ澄まして設計されたような建築に惹かれることがわかってきました.建築家で言えば坂本一成氏や長谷川豪氏が代表的でしょうか.その他にも先ほど言った特徴を持つ住宅は目にとまってしまいます.

 と、ここまではよいのですが、じゃあなぜこれが良い建築なのかといわれると手が止まってしまうんです.うまく言語化できず、自分は建物の見た目に固執しているのではないかとむしろ不安になるくらいでした.しかしそこに、ヒントになるお話をしてくれた方に出会うことができたんです.その方も、先述したような特徴を持つ住宅を設計されているのですが、その方は言葉について深く考えられていました.その方は言います.

「建築の雑誌や本なんかを見ていると、言葉が建築を説明するための道具に成り下がっているように感じる.そうではなく、少ない手数でその言葉を純粋に実現させることを考えたい.」

 自分の価値基準に素直に作るという姿勢.それを聞いたとき、今回のタイトルである「語らない豊かさ」が浮かんだんです.ぼくが惹かれる建築たちは、寡黙だけど豊かさが見えるものなのかなあと.おしゃべりじゃない、とでも言いましょうか.惹かれている理由の1つはこれだろうなと、話を聞いて少しだけ自分の関心が深くなったように思います.

 今はわかったつもりになっているのですが、恥ずかしながら坂本一成氏の著作はほとんど目を通したことがありません.またそういった作り方をされた建築は、作れる規模に限界がある気もするなあと思っています.さらに冒頭で出した小屋は、住宅とは違う魅力を放っていますので、その要因もわかったらと思います.欲張りですが、その分いろいろインプットしないといけないですね.だまって勉強したいと思います.

本日もありがとうございました.

ではまた

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