The FINAL.
欧州各国のリーグ戦も残すところ数試合。
今シーズンはパンデミックや選手コンディション関係で多くの強豪クラブが苦戦を強いられた。プレミアでは、昨シーズンリーグチャンピオンのリバプールが度重なる選手故障で人員を欠き、リーグアンでも絶対的王者のPSGが序盤から怪我人や不調に苛まれた。
その最中、スペインのラ・リーガでは近年稀に見る大混戦となっている。現状では決着が最終節に持ち越すであろうと予想されている。 今回の目次↓↓↓
《プレイバック:ラ・リーガ20‐21》
今シーズンのラリーガを振り返ると、序盤は昨年度王者レアルマドリー、絶対的王者バルセロナが苦しい船出となった。
レアルマドリーはシーズン序盤から怪我人を多く出し、カンテラの選手を起用せざるを得ない状況にまで一時は陥った。更には各内外での戦績不良により、CLのグループステージに至っては敗退も危ぶまれた。
一方バルセロナはというものの、今季開幕前にはメッシの去就やCLバイエルン戦での大敗が尾を引きずり、リーグ戦でも格下相手のゲームを落とし一時はEL圏外にまで沈んだ。新監督クーマンも若手を起用する新しい戦術を試すもなかなかフィットせず苦しいスタートになった。更に追い打ちをかけるかの如く、前会長バルトメウ辞任によって空位のままチームを回すことになった。
上記の2者とは裏腹に、若きエースのジョアンフェリックスや今夏バルセロナから加入したベテランのルイス・スアレスを擁したアトレティコ・デ・マドリード、昨季イングランドの強豪マンチェスターシティを退団し、今夏加入したダビド・シルバが在籍するレアルソシエダが世紀の大番狂わせを起こしていた。序盤はこの2者がリーグ首位を争う形となり、早期の段階で優勝を確信させるような展開であった。
しかし、年が明けてリーグ戦も折り返しにかかると序盤で調子を落としたマドリー、バルサが息を吹き返すように調子を上げてきた。
相変わらず怪我人が多く、控えの選手もギリギリの状態で一時はジダン解任説が浮上したマドリーは中盤のモドリッチ、クロース、カゼミロを基軸にベテランのベンゼマと若手のアセンシオ、ビニシウスの攻撃陣が躍動し次々と勝利を勝ち取っていった。またCLでは同グループの強豪インテルに2勝、ドイツのボルシアMGに勝利して結果的にはグループ首位通過を果たした。これらの活躍を手にしたのはピッチ上の選手たちであるが、チームを指揮し何度もクライシスを乗り越えたジダンにはさらなる信頼が寄せられた。
バルセロナは若手の活躍が目立った。今夏ラスパルマスから移籍してきたスペインの新生ペドリを筆頭に、カンテラ育ちのアラウホ、ミンゲサ、プッチが躍動した。また、彼らに呼応するようにチームの柱メッシ、フライングダッチマン二世の呼び声高いデヨング、快速のデンベレ、魔術師グリーズマンらが調子を取り戻した。CLはパリには敗れてベスト16敗退となってしまったものの、その後は国内の戦いに専念する形になった。
一方序盤から好調を見せていたアトレティコ、レアルソシエダは折り返しと共に失速してしまった。特にアトレティコに至っては、リーグ戦で芳しい結果が得られなかったり、CLでは新監督トゥヘル率いるチェルシーに敗北してベスト16でビッグイヤーへの挑戦は終わった。気づけばリーグ戦で11ポイントあった差も気づけば一桁差にまで縮まっており、優勝に黄色信号が灯りかけている。
そして、ここに来て優勝争いに新たに加わることになったのがセビージャFCである。序盤こそ苦しんだものの、古巣に帰還したラキティッチとストライカーのユスフ・アンネシリ、アタランタより冬のマーケットで加入したパプ・ゴメスらがチームを牽引し4位にまで上り詰めた。
そして、34節が終了した時点でラリーガはアトレティコ(76pt)、マドリー(74pt)、バルセロナ(74pt)、セビージャ(70pt)の4者が優勝の座をかけて鎬を削る大混戦になった。
《プレビュー:2つの天王山》
ここまでリーガを振り返ってきたが、今夜から始まる35節では勝てば優勝に大きく近づく2つの天王山が控えている。
5/8(土曜日)23:15キックオフ(日本時間)
アトレティコ・デ・マドリード(1位) VS FCバルセロナ(3位)
5/10(月曜日)4:00キックオフ(日本時間)
レアル・マドリー(2位) VS セビージャFC(4位)
リーグのスケジュールは既に公開されてはいたものの、ここに来てこの2試合が重要な一戦になるとはだれが予想したであろうか。
バルセロナにとっては前回敵地ワンダメトロ・ポリターノで敗北を喫したためリベンジ戦であり、他会場の結果次第で首位に躍り出る最後のチャンス。アトレティコは前回のホーム戦とのダブルを目指すためであり、今シーズンのほとんどを過ごした首位の座を守る防衛戦で優勝を決定づけるための一戦となる。
一方、マドリーは勝てば結果次第で単独首位に返り咲くチャンスであり、チャンピオンズリーグ敗退で無冠も視野になったためチームの意地をかけた一戦。セビージャにとっては、敗北したその時点で優勝の可能性を一気に遠ざけるため、タイトルレースに長く残るためにも勝利が必須な一戦になる。
何度も言うように、ここ数シーズンを遡ってもこれほどに混戦模様となったシーズンは久々である。近年はバルセロナが国内での絶対的な地位を築いており何人もその聖域に立ち入ることができなかった。また、昨シーズンは中断明け後にマドリーが10戦全勝でわずか4失点と快挙を見せてライバルバルセロナを引き離し、3シーズンぶりの優勝を勝ち取ったことは記憶に新しい。
《終わりに》
今シーズンは序盤から波乱の幕開けとなったが、やはり最後に私たちリーガファンのみならず世界のサッカーファンに興奮を与えてくれるのは彼らであった。三つ巴ならず四つ巴の展開となった今、原動力は己の意地と王座への渇望であろう。最後に笑うのはスペインの2つの心臓か、それともアスルグラナの気高き戦士か、はたまたアンダルシアの情熱の戦士か、最後まで目が離せない。最後に今シーズンのリーガを彩っているかのようなリーグスローガンをそえて締めくくる。
『It's not football. It's La Liga』
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《参考記事》
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