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叶わなかった夫婦の絆④

夫と愛人の関係は現在も進行中で丸20年続いている。端から見たら私は大馬鹿な妻だ。人の気持ちは変わるものなのだ。どんなに懇願しようがどうしようもないものなのだ。さっさと別れるべきだったと思われても当然だ。

後ろめたさからか夫は私の頼み事は決して断らない。

今から9年前、夫から婚姻20年贈与を受けて、私は自分だけの誰にも邪魔されない帰る(逃げる)お城(大袈裟)を購入した。スペアキーは他に3個あるが子供達に渡していない。況してや夫なんぞに渡すものか。決して汚されてはならない聖域なのだ。今後未曾有の災害が襲おうが、孤独死になろうが、もう覚悟はできている。

2人の子供も大学を卒業して就職したが何故か家業に就いた。いつの間にか私の職場は実姉を含め家族全員揃った。一昨年弁護士を通して不貞行為の慰謝料を請求した。夫は愛人の分まで私に払った。結局それも夫にとっては驚異ではない額だった。何をやってものれんに腕押しなんだと悟った。私を蛇の生殺しのような状態にして、なぜ夫はのうのうと生きていられるのか、罰が当たらないのか、なぜ自業自得や悪因悪果という報復はないのかと恨んだ。やっぱり神様なんていないのだ。私は男は浮気をする動物だと思っていたので、多少の事では目をつぶっていたけど、今回の夫の行為は「浮気」ではなく「本気」だった。

何十年後、共に手を取り合い老いていく可愛いお爺ちゃんお婆ちゃんになりたかったと思っていた私は幼稚なのだろうか。夫にとっての家庭とは夫婦とはなんだったのか。今更知っても仕方がないが・・・

私は昨秋役員を辞任したが、子供達がいるから完全退職も離婚もしないで居すわり続けている。半世紀以上も生きているのだ今更どこも雇ってもくれない、雇われるのももう勘弁だし、今更離婚したって何の得になるのだ?20年耐えてきたんだしこれからの20年も耐えていけるじゃないか。夫が先に逝ったら全てが丸く収まるではないか。そう、どちらかが死ぬまで傷ついた心は癒やされない。たとえ何億何十億積まれようがどちらかが死ぬまでは・・・

長男は6年前にとても可愛くて愛嬌のあるお嬢さんと結婚して、2人の元気な男の子(孫)を授かった。私は長男を大切にしてくれる、家庭的で子育て上手なお嫁さんに心から感謝している。長男は夫とは全く反対の家庭的なお父さんでホッとしている。2人はとても仲良しだ。

長女も結婚こそまだしていないが、2年付き合っている全く毒気のない年下の彼と来週から同棲生活が始まる。この2人も姉弟みたいに仲良しだ。

愛する人たちが、どんどん私から離れていってしまうと思うと正直寂しいし、未だに心が不安定になる時があるけれど、私の周りには旦那さんを亡くした友人が2人、離婚した友人が1人居るので気楽なシングル同士で遊びに行ったりできるのが(今はコロナ禍で無理だけど)楽しみだし、ひとり旅にも行ける、好きな音楽を誰にも気兼ねする事なく、思う存分一日中聴いていられる。好きなビデオも好きな時間に好きなだけ観ることができる。食べたい物を食べたい時に自分の為だけに作ることができるし、全ての時間が誰にも邪魔されず、自分の時間にできる事にありがたさを感じるようになった。ここまで至るのに相当歳月がかかってしまってかなり無駄に過ごしたけれど、これからは失った時間を、しっかり前を向いて生きていこうと思う。

ビバ!セカンドライフ!





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