アオアイベバレジってなんぞや

 MIELO 6 という蜂蜜酒ミードを製造している、アオアイベバレジ株式会社で、代表取締役とヘッドブルワー(醸造責任者)の仕事をしている萬福大夢です。
 3月から販売を始めて、目まぐるしく動いて、幸か不幸か、このコロナ禍で少し考える時間ができたので、noteを始めました。
 お陰様で少しづつ販路も広がってきて、「美味しい」だけのプロダクトにならないように、書きます。

 まず、アオアイベバレジがどういう会社なのかを知って欲しくて、僕が考えている事、僕たちが大事にしている事、世界観を少しでもお伝えできたらな、と思います。 
 もし少しでも共感してもらえる人がいて、原動力になれたり、ブランドを知ってもらえたら、超嬉しいです。

1. 信条

 僕は、伝統と革新という一見相反するものを尊重し、自由競争を信奉している。
酒の持つ、「酔い」をもたらす不思議な魔力と、時代を超えて飲み継がれる普遍性に魅了され、僕のポリシーを表現しようと考えた。
 日本の凝り固まってしまった酒類業界には、新規参入に対してベルリンの壁も、万里の長城も驚く程、高い壁を設定し、既存の価値観の中で既存の作り手偏重の業界構造になっているように感じる。
 
 それでは、僕はどのように「らしさ」を表現するか。

 僕が選んだものは蜂蜜酒・ミード だった。
 ミードは世界最古の酒であり、歴史の中に埋もれてしまった酒。しかし、古来より脈々と受け継がれてきた文化は東欧、中南米、アフリカで成熟し、小さいながらも世界各地に息づいている。
 その文化を、味だけでなく、哲学として、現代的な解釈を加えて日本に伝えたい。まっさらな市場に恣意的な要素を込めず、革新を求める人たちで、歴史と伝統を受け継ぐ。
 当然僕にも、業界の高い壁が立ちはだかるが、その思いが日本に根付くその日まで、進み続ける。

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 この文言はアオアイベバレジのカルチャーとしてそのまま転用していて、リクルーティングの際にまず話している。
 だからこれは僕個人の信条であり、アオアイの信条。スタッフたちも良く理解してくれていて、突然ミードのポーランド語の文献を引っ張ってきたりする。誰も読めないよ、ごめんね。
 日本にミードで食ってる人なんていないから、1から勉強。

2. 使命

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 僕たちは「暮らしに即した、伝統的技法で創られる飲料を、革新的に解釈し、人々の「生きる」を豊かにする事」を社会的責任として自分たちに課している。
 これはどういう事かというと、「受け継がれてきた教えはきちんと守ります。だけど、時代のニーズに合った作り方・飲ませ方・売り方はさせてもらいますね。」という事。
 アオアイベバレジの社名の由来は「出藍の誉」、つまり「青は藍より出て藍より青し」。
 どれだけ奇抜な事をやろうとも、そこに教えと理論が無ければ、ただの傾奇者。
 だから、きちんと教えは守るけど、古いやり方の押しつけは、もうたくさんです。


3. ビジョン

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 僕たちは100年後の日本の、バーで、レストランで、果ては食卓で、どこでも普通にミードが飲まれている社会を夢見ている。
 しかし、ミードを押し付けるつもりは少しもなくて、選択肢として、ミードがあればいいと思う。
 「〇〇部長、乾杯はビールじゃなきゃ、とか言っててマジダサいよね。今時ミードでも何でも好きなもので乾杯でしょ」とか言ってる若手女子社員がいたら超クールだ。
 
 そして、100年後の国産ミード文化の担い手は僕たちじゃなくていい。というか僕たちだったら市場の形成が不健全だ。
 優秀な後進たちが僕たちが繋いだ伝統を、時代に即した価値観で表現してくれるだろう。きっと美味いんだろうな。


4. 価値観

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 これは会社として、僕含めた全スタッフに徹底させている事。
 僕たちは職人であり、改革者。これからの職人集団として、1つのギルドとしてまとまる為に提示している。
 特に大事にしているものはⅤとⅥ。
 「飲み手」を意識しない酒に価値はない。酒の「用の美」は日常的に飲める事。それが節句であれ慶弔であれ、生活に即している事。
 ドレスアップするのはバーテンダー。マリアージュ(結婚)させるのはソムリエ。僕たち造り手の役目は、自然が産んだ酒を愛しんで、育てる事。

5. 最後に

  僕たちのチームには、バーテンダーもソムリエもいる。
 だからこそ、僕たちの独自の解釈、創造性が発揮できると思う。

 僕はアオアイの職人たちを英訳するときに、"Artisan"と表現する。
"Artisan" とは、元はフランス語で、技術的には熟練し精妙な腕を発揮しながらも,芸術的感動に乏しい作品を作る人々を批判的にいう言葉だ。
 
 「用の美」を追求する僕たちにぴったりじゃないか。
 批判されたっていい、僕たちが見据えているのは、ずっとずっと先。
 1つ1つ、愚直に向き合って、常に"Artisan"でいようよ。

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