ALL OUT!!をよんで

雨瀬シオリ先生のALL OUT!!を読みました。
こちら、Tumblrの先生のイラストを見て気になって電子版を購入しました。
アメフトマネージャー経験者なのもあって、学生時代を少し思い出しました。

とても小柄でその体格に対してコンプレックスを拗らせてしまったが故にスポーツ経験がないまま高校生となった主人公がラグビーと出会って、切磋琢磨しながら花園を目指すお話。
構成としては前半が合宿・練習試合編、後半が予選試合編となっており、それぞれのキャラが身体的にも精神的にも成長しているのが見られます。

また試合を通して、主人公の所属校(神高)以外に他校のキャラの人間ドラマも垣間見ることができ、人物のかきわけが秀逸です。総じて見応えのある作品となっています。
個人的に籠さんとと赤山君と大原野君が好きです。籠さんのあの哀愁ある表情しかり、佇まいしかり、私の癖にぶっ刺さってます。赤山君は初っ端からオーラあるしメンタルも比較的安定してますし、スクラム組んでいる時のあの色気ダダ漏れ具合が、高校生とは思えません。
大原野君、スカしていて、何かと面倒くさい男の子ですが、彼の良さは最後の最後で分かります。

印象的なエピソードをいくつか。

①8〜9巻の天竺高校との練習試合。
天竺高校の主将とエースが余りにも大阪の強豪校らしい雰囲気で面白かったです。主将と副将が可愛らしい。下級生から懐かれているのも頷けます。チームの雰囲気がギスギスし、神高相手に練習試合で敗れるのですが、そこからの最終巻の彼らを見ると、選手もコーチもあの試合によってひと皮むけて強くなったのだと少し感激しました。関西人なので余計に。

②望が丘高校との初戦。
このキャプテン新君と富江コーチのやり取りが、もう筆舌に尽くし難いですね。母子家庭で育った彼に対し否定することなく真正面から向き合ってくれた大人の男性が富江コーチだったのでしょう。回想シーンとラストシーンのそれぞれ向かい合った時の身長差で涙出ました。

③そして鎌倉との準々決勝戦。
鎌倉は監督の独裁恐怖政治の下勝ち上がってきたチーム。多分鎌倉高のキャプテン、斜視とチック症状入ってるような…多分根が真面目で人が良くて下からも慕われやすい人なのだろうと感じました。最後の覚悟決めた表情でなりふり構わず向かってくる様が辛くて涙しました。皆まだ子供なのに。
そして、副将と1年エースがこのチームの狂気を物語ってましたね。このチームのどのメンバーも過去の壮絶な経験だったりコンプレックスだったりを抱えていたからこそ、居場所を保持するのに必死な所も見られて、痛ましい。皆まだ子供なのに(2回目)
本題に入って、この試合、ラストの試合描写なだけあってこの漫画一番の手に汗握る泥試合。
これまでスマートさにこだわっていた大原野君の泥臭いプレー、完全にぶっ刺さりました。弟君もアレ見てまたラグビー始めようって思ってくれたと思う。
そして試合後の鎌倉の主将と副将。
やっぱり主将はなるべくしてなった方だな、と。思いやりの深い方。

④最終的に準決勝(負けた試合)の描写はないまま、花園の全国大会のシーン。
嶺蔭おめでとうございます。キャプテン、冷静にチームを見ながらも何かと不憫な立場だったので報われて良かった。華のあるトップチームに見えつつも、それぞれの選手の苦悩や血の滲むような努力が垣間見られるのがリアルで良かったです。

作品としてはワンシーズンです終わりですが、次のシーズンの彼らの活躍も見たくなる作品でした。

最後まで長文駄文を読んで下さり、ありがとうございました。

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