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米中貿易戦争と日米貿易摩擦とその後

 昨年から続くアメリカと中国の貿易交渉はまだまだ終わりを見せていませんが、この米中貿易戦争は1980年代における、日本とアメリカの貿易摩擦と比較している論説をよく見かけます。時代も国も違いますから、当然ながら似ている部分もあれば異なる部分もありますけれど、この文脈で無理矢理に解釈するのならば、HUAWEI社創業オーナーの娘がカナダで逮捕された事件、及びHUAWEI・ZTE製品の排除といった一連の事例は、80年代におけるスパコン問題やBTRON除外、あるいは東芝ココム事件といった歴史と対比できるのではないでしょうか。

 日本人としては、過去の日米貿易摩擦におけるアメリカの圧力に対する不満がありつつも、今回の米中貿易戦争ではアメリカの肩を持ちたいというような複雑な心境があります。アメリカとしては、80年代に世界経済の覇権をうかがった日本を叩いたのと同様に、習近平政権になってから鄧小平の韜光養晦路線を捨てて露骨にアメリカに挑み続けている中国を叩くのはそれほど違いが無いのかも知れません。

 そうなると米中貿易戦争でも勝つのはアメリカということになりますが、すんなり勝つかどうかは別として、アメリカの勝利に終わるとすると、負けた中国がかつての日本のように長期不況に陥るとなると、代わりに出てくる国もあるでしょう。それが日本であればいいのですが・・・、どっちかというとまた新興国でしょうね。人口ボーナスを享受できる国ということでしたら、第一候補はインド、次いでブラジル、インドネシアあたりでしょうか。人口が現時点でも多く、かつこれからも人口増加が見込まれる国で経済も発展していき、資源もありますから当然ではあるのですが。

 株価指数を見てみると、確かにインド・ブラジル・インドネシアは米中貿易戦争が本格化した昨年秋からずっと上がっています。ロシアやクアラルンプールの指数はその期間上がっていませんから、市場も何らかの理由で選択しているのだと思います。

 人口や資源などを考えると、アフリカ諸国、中でもナイジェリアもあるかなと思うのですが、ラゴスの株価指数は反応がないみたいですので、市場関係者はナイジェリアの政情不安による影響を強く見ているのでしょうか。

 米中貿易戦争で中国が勝利したらそれはそれで新しい時代に突入することになりますが、アメリカが急に弱体化するとは考えにくいですから、アメリカ・中国・EU・日本・イギリスなどが乱立する多覇権体制・多極化の状態になるのでしょう。そうなると、1980年代が90年代の再現ではなく、19世紀後半の列強による帝国主義に近い状態、あるいは19世紀前半のナポレオン戦争以後のウィーン体制に近い状態になるのではないでしょうか。第二次世界大戦後は、先進国同士が直接戦争を行ったことはなく、今後もまずないでしょうから、軍事力ではなく経済力を他国に行使する形でということになると思います。直接的に血が流れないからといってそれを平和と呼んで良いかどうかは米ソ冷戦と同じですね。

 勝者が米中どちらになるにせよ、冷戦終結後からリーマンショックまでの比較的安定していた世界経済構造が無くなるのは間違いないと思います。

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