キャッシュレス決済の先にあるカードレス決済、そしてその先にあるのは?

政府が大々的に多額の費用をかけて用意したマイナンバーカードは、不用意にカード番号を他人に知らせないように、ということになっています。誰も好き好んで個人番号を晒したりするわけがないのですが、マイナンバーの取扱いについて慎重さを強調することによって、マイナンバーを使いうるサービスの提供者側にとっては使いづらい印象もあるのではないでしょうか。

マイナンバーはもし流出したりしたら番号そのものを変更可能なので、もし万が一のことがあってもそれほど大きな問題にはならないはずなのですが、ハッキングなどのセキュリティ被害を想定し、またマイナンバー制度そのものに反対している人達への配慮・言い訳のためもあって、マイナンバーの取扱いがあまり便利の良いものではなくなっています。

本当にこのマイナンバーシステムが本格的に使われていくのか、政府関係だけで終わるのではないかという疑念が尽きません。

一方、数ヶ月前に鳴り物入りでサービスインされたAppleCardでは、そのチタン製(100%チタンではないらしいですが)のカードにはクレジットカード番号は記載されていません。クレジットカードの本体はiPhoneにあります。iPhoneでのカード機能を使えないリアル店舗でクレジットカードを利用するときに、物理カードを用いるというシステムになっています。

クレジットカードの券面にカード番号が無くてもいい、と言われると確かにそうです。クレジットカードの黎明期ではカード番号そのものをお店が控えたり、エンボス(番号のでこぼこ)を複写式の伝票でガッチャンと写し取ったりしていました。しかし磁気部分やICチップでカード情報を読み取るようになったので、カード番号そのものは券面には不要です。無い方がセキュリティ的には好ましいはずです。

券面にカード番号が無いクレジットカードを単体で利用するのは不便かも知れません。何か別の紙とかでその番号の控えが無いと、ウェブショッピングなどでは利用出来ないです。

そもそも現代社会において、クレジットカードを店頭で使用する回数よりも、ウェブサイトでカード番号を入力して購入することの方が多いかも知れません。そしてその購入時に使用するデバイスはすでにパソコンからスマートフォンに移行しています。そのスマホ(iPhone)内部にクレジットカードがメインとして存在し、サブとして物理カードを準備する、というAppleの戦略は時代の流れに沿ったものと言えます。

そして、リアル店舗の決済では既にカードレスが進んでいます。日本ならFeliCa、他の国でもNFC技術を用いた非接触決済が普及しつつありますし、QRコード決済も浸透しています。そのようなカードレス決済をスマホで行う場合、その支払の原資はクレジットカードや銀行口座からの引き落としとなります。事前のチャージや後払いで行われます。もはや店頭でクレジットカード番号そのものが必要なシチュエーションは存在しません。

Appleが進めるクレジットカード改革は、iPhoneが前提ですが、そのiPhoneは指紋認証・顔認証でロックを外し支払を完了させますので、カード番号で特定するのではなく個人の生体認証がカード代わり・カード番号代わりになるわけです。

その情報そのものを、決済に関わる会社(カード会社とは限りません)が所有するようになれば、そもそも端末すら要らないはずです。店頭のレジにある生体認証用のカメラに顔を向けたり指紋を読み取らせたりするだけで決済を完了させられます。

さすがにそうなるには個人情報の取扱いに関して相当な管理が必要になるでしょうし、反対もかなり大きくなるでしょうけれど、カード決済→カードレス決済→デバイスレス決済という流れはいずれ起きることは間違いない気がします。

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