組織の長の個性というリスク

今回の新型コロナウイルスに関する対応を巡り、トランプ大統領がWHOを厳しく非難し拠出金の停止まで持ち出しています。トランプ大統領は2月頃までは中国の対応を褒めそやしていたのに、3月には厳しく非難し始めましたので、WHOに対してもコロッと態度を変える可能性がないわけでもないでしょうけれど、そもそもアメリカ合衆国という超大国は国連などの国際組織に対してはあまり積極的には関わりません。もちろん巨額の拠出金を出してはいますが、相対的な国力の差があるからそう見えるだけで、アメリカはアメリカのために存在する、と言う考えが保守派の中に存在することは間違いありません。

今回のWHOとの軋轢も、その歴史的な保守的思想も加わってのWHO批判ではあるのですが、WHO、テドロス事務局長に対する憤懣は多くの国に存在するのではないでしょうか。

1月下旬、武漢での感染拡大が明らかになってきたときにも、まだ緊急事態ではないので中国との行き来を封鎖するべきではないと公言していたのはどこの誰かと言ってやりたいくらいです。

それが、今ではWHOの言うことを聞かなかったから世界がこんなことになったと言っているので開いた口が塞がりません。

歴代のWHOトップの名前など一人も知りませんが、今のテドロス事務局長が過去最低の事務局長だということは分かります。

さて、トランプ大統領が批判しようがしまいが、今のWHOに問題があるのは明白だと思います。

じゃあどのくらい問題があるのかというと、一般人には分かりませんが、

・トップ一人が腐っているのか
・WHOの一部が腐っているのか
・WHOの全部が腐っているのか

このどれかでしょう。おそらくは、WHOの中でも現場で奮闘しているような人たちには優秀な人がいっぱいいるのだと思いますし、そう思いたいですが、そういった方たちの頑張りを一気に無にしてしまうほどのミスを、この数ヶ月間でWHOの主要幹部が犯してきたのではないでしょうか。

いわば、トップのパーソナリティによって組織全体のイメージが損なわれてしまうことになります。

もしトップ一人が腐っているために、致命的な判断や行動のミスが生じるとしたら、WHOはトランプ大統領とアメリカ合衆国を批判できないでしょう。そもそもアメリカ合衆国における大統領はそれほど権限が強くありません。国内での相対的な独裁的な権力は、韓国やロシアに比べると低いです。

そのトランプによってWHOへの拠出金が止められ、複数の国がWHO改革を公言するようになっています。テドロス事務局長の対応失敗によってWHOそのものの存在意義が揺らいでいるのであれば、世界的にみて大きな損失です。WHOにとってだけではなく、保健衛生が未発達な発展途上国にとってもダメージは大きい話です。その発展途上国に対して、直接あるいは間接的に中国が支援を行うとしたら、結局のところWHOと中国の巨大なマッチポンプと言わざるを得ないでしょう。

さすがにWHO全体を改革すべきだとは思いませんが、今回のテドロス事務局長の対応については疑問を覚えざるを得ません。はっきり言うと交代(あるいは更迭)が無い限り、かつてのようなWHOとの協力体制を維持することが出来ないという国がアメリカ以外にも出てくるのではないでしょうか。そうなったときに、WHOはトップの首を切れるのか。いわば自浄作用が働くのか。ことはWHO内部の権力闘争だけではなく、世界の公衆衛生にも関わる問題ですので、迅速かつ果断をして欲しいところです。

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