見出し画像

呪縛を解放するクラウドベースの作業

文科省提唱のGIGAスクール構想に対応したパソコン、タブレットが今でも新しく発売され続けています。先日はアイリスオーヤマがノートパソコン市場に参入というニュースもありました。そこで発表されたノートパソコンのスペックが高いものではなかったので失望した向きもありましたが、GIGAスクール対応PCとしては標準的なものです。金額に見合うかは人それぞれでしょう。

あのスペックでWindows10を搭載しているから見劣りするわけで、Chromebookだったら十分なものです。重い作業になるようなソフトウェアをほぼインストール出来ないChromeOS上でしたら評価も変わるでしょうけれど、それはそれで結局割高感が出てきますね。

Chromebookほどではないにしろ、Windows10でもブラウザ上での作業は徐々に一般的になってきました。Microsoft謹製のSkypeもブラウザから使えますし、OneDrive上のOfficeファイルも、インストールタイプのWordやExcelとほぼ同等に利用出来ます。

MicrosoftOfficeの正規版(買い切りでも365でも)にお金を出さなくても、無料版のOneDriveにアップしてブラウザ経由で使うなら、たいていの機能や関数は使えます。おそらく、個人ユースの大半の利用者はこれで事足ります。業務上や研究で特別な関数やらマクロやらVBAやら必要なら別ですが、家電量販店で売られているパソコンを買う層には、プリインストールのオフィスなんてほぼ無用です。

もはや、クラウドベースでは全く使えない機能やサービスが時代遅れになりつつあります。パフォーマンスは多少落ちても、ブラウザ上で使った方が楽なことが多くなってきました。

パソコン初心者にとってはむしろクラウド利用の方が分かりやすいのではないかとも思います。上述のOneDrive上のオフィスファイルは、ブラウザで開いている限りは文字を打ったりセルを編集したりする度に自動で保存してくれます。

クラウド上ではなく、パソコン内蔵ストレージに保存しているWordやExcelを使っていて、フリーズやクラッシュで数分〜数時間の作業結果が吹っ飛んだ経験をしたことがある人は、おそらく世界中で数億人はいるでしょう。Officeには自動保存機能があるので、運が良ければクラッシュ直前の状態のファイルを復活出来ますが、その辺は自分でコントロールするのは非常に難しく、こまめに上書き保存(Ctrl+S)をしていくしかありません。そのうち、キーボードショートカットを癖で行うくらいになります。

自動保存はおろか上書き保存もままならないパソコン初心者こそ、クラウドでの作業を中心にした方が良いかも知れません。ファイルを作成する、ファイルを保存する、ファイルを開く、という概念はパソコン、特にローカルデータを扱う際に特有のものです。

ファイル保存、データ保存を利用者が意識しなくなる時代は、クラウドベースにすればもう来ているとも言えます。

あとは、文字コードについてもパソコン初心者にとっては難問であり鬼門でもあります。そもそも文字コードとは何かを教えるのも大変ですし、よく知らないという人が大半でしょう。紙の文書なら存在しない概念です。

文字コードとはコンピュータ上で、文字を表示するために割り当てた番号のことです。コンピュータは0と1で全て成り立っていますが、アルファベット26文字の大文字小文字と数字の0〜1を2進数で表すなら、2の6乗は64ですので、0と1の組合せを6個並べれば区別できます。しかし平仮名片仮名、そして膨大な漢字を表すには割り当てを増やす必要があります。この割り当て方が色々あって、シフトJISとかUnicodeとかがそれです。

アクセント記号のあるフランス語や、同じ漢字でも異なる中国、ハングルを持つ韓国、その他たくさんの文字が世界中には存在しますので、それらを統一して扱うためにUnicodeが規格として作られました。

しかし日本においてはシフトJIS全盛期が長く続いていたので、まだまだUnicodeの普及が進んでいませんし、Unicode自体にもUTF-8やUTF-16という違いも出てきてなおさらややこしくなっています。

今ではまず出くわしませんが、一昔前のウェブサーフィンでは、ブラウザがサイトの文字コードを適切に読み取れず(というかサイト作成者がいい加減な作り方をしていて)、文字化けすることがありました。

ローカル環境にあるデータでも、テキストファイルでもWordファイルでも文字コードの設定はあるのですが、個人で使うだけなら気にする必要はないですし、会社や組織なら使うデバイスも似ているでしょうからまず問題にはなりません。全くの他人が使う可能性があるときには、文字コードも気にする必要はありますが、最近のソフトウェアでは自動で認識してくれます。

コンピュータの歴史なんかどうでもいいから世界中で統一しろよ、と言いたくなるのはパソコン初心者だけでもないでしょう。個人的にはもはやシフトJISの時代でもあるまい、と思い出来る限り意識してUnicodeで作成するようにはしています。ただ、これまでの互換性とかを考えると、企業でも官公庁でも統一というのはもっと先でしょうね。

世界中で統一された規格なんて、メートル法、時間、アラビア数字と太陽暦くらいなんじゃないでしょうか。

基本、Unicodeで表示も作成もされるウェブブラウザ上での作業が当たり前になれば、文字コードのことも気にしなくていいようになるでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?